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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

外来種問題-2 知らないじゃすまない外来生物法

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3月からお届けしている外来種問題、実はみなさんにとって身近な話題であり、「外来生物法」という規制も既にはじまっていることをお伝えしました。「4月 の特集」では、まず何を考えればいいのか、そして私たち八千代エンジニヤリングが始めている取り組みについてお伝えします。

外来種問題

悪意は絶対にない!でも…

Written by Takeshi Yoshida (吉田 武司)

むかし飼っていたペットが、何かの事情で飼えなくなった時「自然に返しましょうネ!」と言われて近くの林や野原、池などに放した人は多いと思います。きっと、かわいいペットが幸せに生きていくハズだと思って。確かに拾ってきた場所、採ってきた場所に返す、つまり戻すのであれば問題はないでしょう。

でも、まったく違う環境に放したとしたら、ペットにとっても、そこに棲む生き物にとっても迷惑な話だったりします。だって、自分が知らない外国に置き去りにされたら寂しいでしょう、生きものたちも本来の住むべき場所があって、そこではじめて幸せに生きることができるのです。

 

みんなで守ろう!

現在、海外から持ち込まれ定着してしまった動植物は、2,000種を超えると言われます。特に侵略的外来種による生物の多様化、産業や人の生命・身体への影響は、深刻な事態となっています。このために、平成17年6月に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(略称「外来生物法」)が施行されました。この中で被害予防三原則として次のような事が記載されています。また、この法律の施行により、特定外来生物に対する規制および罰則等が設けられています。

予防三原則
入れない 生態系等への悪影響を及ぼすかもしれない外来生物は、むやみに日本に「入れない」ことがまず重要
捨てない もし、すでに国内に入っており、飼っている外来生物がいる場合は、野外に出さないために絶対に「捨てない」ことが必要
拡げない 野外で外来生物が繁殖してしまっている場合には、少なくともそれ以上「拡げない」ことが大切
 

 

詳しくは > > > > > > > > 環境省 自然環境局「外来生物法」のページ

八千代エンジニヤリングが始めていること

現在、私たちはこの特定外来生物の一種を「拡げない」ことを目的とした取り組みに携わっています。ここで少し紹介しましょう。

「拡げない」こと、つまり防除のためには、防除対象種の生態特性や、分布地域の特性に応じた手法が必要となります。しかし、こと外来種が相手となると、これらの情報も不足になりがちであり、また、国内の学術研究の中でもあまり対象とされていない種が多いのが現状です。

防除事業を実施していく上では、捕獲情報の収集および分析、対象種の生態特性の把握、捕獲の効率化、捕獲による生態系への影響評価、多様性保全の検証、事業の経済的評価、地元とのパートナーシップ形成などの総合的な検討を実施していく必要があります。

このように多岐にわたる複雑な課題が山積みになる中でも、これまでの建設事業において培ってきた技術を活用できる場が多々あります。

 

業務 業務内容
沖縄島北部地域生態系保全事業委託業務特定外来生物(マングース)の北上防止柵設置基本検討業務 やんばる(沖縄島北部)地域の貴重生物の保護を目的に、生物導入されたマングース(外来生物)の防除として、柵(フェンス)の設置ルートの検討ならびに柵の実験および設計を行いました。設置ラインの検討にはマングースの分布密度、貴重生物の分布状況、土地利用状況などを総合的に検討した結果から、SFラインとしました。柵は、琉球大学での生態実験の結果から形状を検討し、高さ1.2mのパネル付きの形状としました。さらに、GISによる解析、モニタリングの検討を行いました。検討結果は委員会を3回開催して、その中で評価を行いました。
平成17年度沖縄島北部地域生態系保全事業
(マングース対策事業)
沖縄県やんばる地域の貴重種が生息する生態系を脅かしているマングースは、特定外来生物に指定された哺乳類です。本業務はこのマングースの完全排除を目的に検討されている「マングース防除実施計画」の一環として実施されたものです。かごワナによる捕獲と捕獲サンプリングデータの分析、GIS解析、定期協議、有識者・地元を含めた検討委員会を開催して、捕獲の向上と事業評価を行いました。その結果、総捕獲個体数は641頭に達し、前年度よりマングースの生息数を減少させました。解析・検討の結果から、今後10年間で完全排除を行うための捕獲努力量と開発などの課題を抽出しました。
平成17年度大保ダム周辺における外来動物調査業務 大保ダム建設工事が外来生物の特定動物であるマングースへの影響を調査することを目的に、ワナ24箇所における捕獲調査を実施したものです。捕獲調査の実施は合計85回行いました。本調査結果からマングースの生態系へのダム事業の影響を評価しました。また、マングースの北部域(貴重種が生息する地域)への侵入防止を目的にマングース北上防止フェンスを設置する計画があります。本業務ではこの計画の具体化として、大保ダムでの柵の設計と設置箇所の選定を行いました。
嘉瀬川水系植物調査業務 本業務は国土交通省が全国109の一級水系を対象に定期的に実施している河川水辺の国勢調査であり、嘉瀬川水系における植物の生育実態の把握を目的として実施するものです。調査方法は、河川水辺の国勢調査マニュアル河川版に基づきました。今年度の調査結果では95科475種の植物種が確認されました。また、生態系に影響を与える可能性のある外来種は、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」対象種では1次、2次対象種12種中2種、「佐賀県の環境保全と創造に関する条例移入規制種」では対象種18種中8種が今回の調査で出現しています。

 

後世になにを伝えるか

私たちの国は、南北に長い島国であることや国土の自然環境が多様であることにより日本特有の生態系が形成されています。移入種対策の目的は、いうまでもなく生物多様性の永続的な保全であり、外来種の防除は、その一過程にすぎません。現在、環境省をはじめとして様々な外来種問題に対する策が講じられていますが、もっとも効果のある方法の1つとしては、私たち一人ひとりが意識をもって生きものに接するということです。

外来生物は人の手によって持ち込まれ、ずさんな管理や管理者の無知によって拡大してしまい、日本の自然界に大きな影響を及ぼしてしまいました。日本の多様性に満ち溢れた豊かな自然の大切さを、後世に伝えるためにも、今日から生きものへの接し方を改めて、少しずつ人の手でもとに戻していきましょう。

同時に大人たちが、責任をもってペットを飼うこと、面倒をみること、生きものは大切にすること、責任をもって生き物に接することなどを、身をもって子供たちに伝え、継続的に健全な日本の自然を維持することも、今から始めましょう。

引き続き、皆さんのお考え・ご意見をお聞かせ下さい!多くの視点に立って私たちはコンサルティングを展開していきます。

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