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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

yecの国際防災事業 モルディブ津波災害

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一瞬で全てを跡形もなく奪い去っていく津波。四方を海で囲まれた日本は、いつもその脅威にさらされていることになります。今回はスマトラ沖大地震・津波被害復興支援を紹介し、業務を通じて学んだ防災教育について考えてみます。

モルディブの津波災害

珊瑚礁の島国「モルディブ」

Written by YAMAMOTO Hisayuki 山本寿幸

モルディブ国は、インドやスリランカ国の南西に位置し、約1,200のサンゴ礁の島々で構成されている島国で、南北の長さは実に約900kmに及びます。

そのうち、一般住民が居住する島は約200島、外国人向けの観光用リゾート島が87島(2003年統計)、残りは全て無人島です。各島は地域ごとに密集した20の環礁群(アトール)から形成されていて、海抜2mを超える場所は少なく、地球温暖化の影響を最も受けやすいと想定されている島嶼国の一つです。全国人口は約28.5万人で、そのうち首都マレ島(周囲約5.0km)は約8万人が居住する人口密集地です。

photo:
<< 左写真:首都・マレ島

Tunami - プロジェクトの背景 -

2004年12月26日(日)現地時間午前7時58分50秒に、インドネシア国・スマトラ沖で、マグニチュード9.3という史上最大規模の地震が発生しました。この地震は2003年に起きた十勝沖地震(Mw.8.3)の約30倍のエネルギーに相当します。

震源地とモルディブ国の位置図 震源地とモルディブ国の位置図

この地震により大規模な津波が発生し、インドネシア国・アチェ州、スリランカ、インド、タイ、マレーシア、モルディブなどインド洋沿岸諸国で30万人を超える死者と50万人の避難者を出す最悪の津波被害となりました。震源地より約2,000km離れたモルディブ国では、朝6時20分頃に揺れを感じ、その後、9時20分頃、大津波に襲われました。大津波は大型ジェット機以上のスピードでインド洋を伝わり、島国を襲ったことになります。この悲報に対して、日本国政府は直ちに救急医療隊の派遣や救援物資の支給を行なうと共に、国際協力機構(JICA)のもと、復興・復旧のための緊急調査団の派遣を決定しました。

調査団を構成するコンサルタントには当社も選定され、2005年3月より現地入りしました。

Damage - モルディブ国の津波被害 -

photo: 全壊の民家
photo: 津波の直後に避難した人々

スマトラ沖地震の大津波によって、インドネシア・アチェ州で約14万人、スリランカで3万人余、インドで1万人を超える死者を出しています。

モルディブでも、死者83人、行方不明者26人、そして1.5万人以上が避難生活を余儀なくされました。約200島の有人島のうち、58島で全住宅の再建が、75島で修復が必要とされました。そして、離島港湾施設の崩壊、海岸保全施設や島と島を結ぶ連絡道(コーズウェイ)、および島事務所等の損壊など、公共施設に甚大な被害がみられましたが、とりわけ同国の重要産業の一つである漁業産業における被害は、島民の生活に直接的な大打撃を与えました。また、津波による被害は観光産業にも深刻な影響を与え、同国を訪れる観光客は半数以下に減少しています。

しかしながら、最大の人口密集地である首都マレ島では、1988年~2002年までに日本国無償資金協力で建設されたテトラポット護岸(当社とパシフィックコンサルタンツインターナショナル社がコンサルタント業務を担当)によって守られたため、一人の死者も出さずにすんだことが不幸中の幸いでした。

Operation - 緊急調査団の活動内容 -

被災地の現地調査結果と他ドナー国との協調・調整、およびモルディブの災害復旧の国策等を鑑みて、日本国が復旧支援する被災地は、津波被害が甚大であったラーヌ環礁(首都マレ島より南方約250kmに位置する)となりました。復興支援のキーワードを下記の3つとし、それぞれに適正な復興計画を協議・立案・設計して短期的実施につなげました(実施は緊急開発調査関係が2005年3月~2006年3月、実施監理が2005年6月~2006年10月)。

  1. 短期復旧計画:社会経済インフラの迅速な復旧を支援する技術協力
  2. 中期復興開発計画:社会経済インフラの早期実施に資する調査
  3. デモ・プロジェクト(住民参加型復旧支援事業):被災地の生活環境復旧事業
調査対象地とプロジェクト名
区分 活動内容 プロジェクト名
短期復旧計画 インフラ・行政施設など公共施設の調査・計画・設計・積算 ①配電網復旧計画
②コーズウェイ復旧計画
③行政施設整備計画
◆合同行政庁舎の建設
◆島行政事務所の建設
◆太陽光発電システムの調達・据付
④下水処理システム改善計画
中期復興計画 円借款事業の支援 ①離島港湾施設・護岸施設の建設
②緊急行政無線システムの建設
③下水処理システム改善計画
デモ・プロジェクトの実施 住民参加型災害復旧支援事業 ①瓦礫リサイクル及び生活環境復旧
②避難場所建設
③防災教育

緊急調査団の活動内容(プロジェクトの詳細)

ラーヌ環礁プロジェクト位置図 ラーヌ環礁プロジェクト位置図(拡大) ラーヌ環礁における各プロジェクト位置図
(画像にカーソルを合わせると拡大します)

Education - 防災教育:yecの今後の取り組み -

2005年1月の国連防災世界会議において、小泉前首相は150年前より伝わる日本の民話「稲むらの火」を紹介しながら、防災教育についての重要性を世界に訴えました。

link:「稲むらの火」について(内閣府防災担当サイトより)


photo: NGOによる防災教育(おはしもの歌)

今や「Tunami」という言葉はモルディブの小さな島々の小学生でも知る単語となっています。

災害時には行政と地域住民が津波の危険性を正しく認識し、適切で迅速な避難行動を取ることができなければなりません。そこで当社はモルディブ支援において、阪神淡路大地震の復興経験をもとにNGOと連携しながら、島民の協力精神の重要性をテーマとした様々な防災教育を実施しました。たとえば、防災意識の向上・持続化を目的として「お・は・し・も」(押さない・走らない・しゃべらない・戻らない)の歌を現地語に翻訳し覚えてもらったこともその一つです。

当社は現在、2006年5月に発生したインドネシア国・ジャワ中部地震の災害復興支援に携わり、現地コンサルとの共同監理で小中学校を9校・保健センターを5箇所同時に工事中です。今後はこうしたハード面での支援に「防災教育」といったソフト面での支援をよりいっそう色濃く加え、島民の皆さんが一日も早く安らかな暮らしに戻れるよう、日々頑張っています。

Bonus - モルディブ国よもやま話 -

写真:ハイビスカスの花 写真:モルディブの少年たち 写真:ブーゲンビレアの花 写真:女の子の笑顔 写真:太平洋にしずむ夕日
お酒が飲めない!

モルディブは100%モスレムの国で、お酒は観光島以外では飲めず、国外から持ち込みも厳禁とされており、入国時に取り上げられてしまった調査団員も何人かいます(出国時には返してくれますが)。"飲んべえ"にはなんともつらすぎる国です。さらにカラオケ・ゴルフなど娯楽施設も一切ありません!

離婚率90%以上!

モルディブでは、とにかく5回や6回の結婚・離婚はあたり前のようです。良い相手が見つかるとすぐ離婚してしまうらしいです。同じ相手と結婚・離婚を繰り返せるのは連続3回までと民法で定められていて、4回目は一度他の相手と結婚しなければなりません。ただし、最近は罰金制度ができたおかげで離婚率は下がっているとか。

食事は毎日カレー!

地方島の食事は朝昼晩、毎日毎日カレーです。汁の多いカレーです。大晦日も正月もカレーでした。ところで一口にカレーといっても何種類かあるのですが、うっかり一度でも「おいしい」と言おうものなら、次の日からは毎日その種類のカレーだけが出てくることになりますので要注意!

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