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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

yecの廃棄物対策 マレーシア・国家ごみ減量化大作戦!

  • 海外事業

「3R」。環境問題への取り組みのひとつであるこの政策、実は日本だけでなく海外でも推進されています。また、途上国での推進については、日本も技術面等で支援をしています。今回はマレーシアでの、3Rを通したごみ減量化への取り組みを紹介します。

防災

3R

Written by YAMAUCHI Hisashi 山内尚

みなさんは、「ごみ」と聞いて何を思い浮かべますか?

汚い、くさい、分別が面倒くさい、いろいろあると思います。でも環境問題がメジャーになった今では、地球環境のためには減らしていかなければならないものである、ということはひとまず認識されているのではないでしょうか。

それでは、「3R」はご存じでしょうか? たぶんほとんどの人が目にしたことがある、または聞いたことがあるのではないかと思います。最近、「3R」のテレビコマーシャルも放映されていますね。いま日本では、年々増加していくごみを減らすため、また限られた資源を大切に使うために、様々な取り組みをしています。この「3R」も、その取り組みのキーワードの一つです。

3Rとは

3Rは、廃棄物の発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)の3つの英語の頭文字を表し、それぞれの意味は次の通りです。

Reduce
リデュースは、使用済みになったものが、なるべくごみとして廃棄されることが少なくなるように、ものを製造・加工・販売すること
Reuse
リユーズは、使用済みになっても、その中でもう一度使えるものはごみとして捨てないで繰り返し使うこと
Recycle
リサイクルは、再使用ができない、または再使用された後に廃棄されたものを資源として再び利用すること

3R活動とは、上の3つのRに取り組むことでごみを限りなく少なくし、そのことでごみの焼却や埋立て処分による環境への悪い影響を極力減らすことと、限りある地球の資源を有効に繰り返し使う社会(=循環型社会)を作ろうとするものです。

国は、これら3つのRを進める「3R政策」を推進しています。

ごみをきちんと分別して再資源化することも取り組みの一つです。

各自治体でもごみの分別方法が決められていますね。皆さんはごみをきちんと分別していますか?

他にも毎日のくらしの中で、ごみを減らす工夫はいろいろあります。不必要なものは買わない、もらわないこと。ものを大切にすること、資源物は分別してリサイクルに回すこと。また、買物ではお店でレジ袋をもらわずに、マイバッグをもっていくことなど、たくさんあります。みなさんも、ぜひ、挑戦してみてください。

日本の貢献

実は、この取り組みは日本のものだけではなく、海外でも進められています。特に途上国では、3Rの推進について、日本が技術面などでサポートしています。

環境省は、日本の経験を海外に発信するために「3Rイニシアティブ」を進め、各国の閣僚や国及び国際機関の廃棄物担当官等を対象にした会合を開き、情報交換や議論を行っています。

また、JICA(独立行政法人 国際協力機構)でも、「3R」を通した廃棄物の減量化の推進を目的としたプロジェクトを実施しています。

今回は、このうち当社が実施した「マレーシア国固形廃棄物減量化計画調査」を紹介します。

マレーシアのごみ

マレーシアは、他国の例に漏れず、1980年代中期以降、経済発展に伴う急激な都市化の進展、国民の生活様式の多様化等により、廃棄物の量の増加、処理コストの増大や埋立処分場の確保等の問題を抱えています。

現在では、全国で毎日約22,900トンのごみが排出されています(廃棄物の内訳は右図参照)。

資源物もずいぶん高い比率で含まれていますが、リサイクル業者に回って再生されるものは、わずか4.5%。残りの廃棄物は収集された後、最終処分場に運ばれて埋め立てられています。

日本でごみを出す時は、きちんと分別することが決められていますね。しかし、マレーシアのほとんどの都市では、分別やリサイクル品の回収は体系的には実施されていませんでした。個人個人が自主的にリサイクル品を分別し、街中にあるリサイクル収集/買取センターに持っていくだけです。その他の廃棄物は自治体が収集していますが、資源物を分けて回収することはしていません。すべて一緒に回収され、(クアラルンプール市などの場合は中継基地を経由して)最終処分場に運ばれ、リサイクルされずに埋立てられています。

このようにマレーシアでは、リサイクルが主に民間業者によって、つまり市場原理に基づいて実施されています。そのためリサイクル率は品目によって大きく異なっています。価値の高い品目のリサイクル率は高くなり、価値の低い品目のリサイクルは進みません。

マレーシアで都市廃棄物を管轄しているMHLG(住宅地方自治省)が先頭に立ってリサイクルシステムの構築及び推進を実施していますが、上記のような理由から大きな効果は得られていませんでした。

マレーシアにおける廃棄物の内訳

混ぜればごみ、分ければ資源

リサイクルを推進するためには、まずごみを分けることが必要です。「混ぜればごみ、分ければ資源」です。

このプロジェクトでは、マレーシア政府とともにモデル都市を選び、分別収集の導入を試験的に実施しました。選定された都市は、スバンジャヤ市、ペナン市、ミリ市です。

まず資源物の回収の仕組みを整備するために、市内で事業を行っているリサイクル業者やNGOを明らかにし、彼らと現状の問題点や改善方法などの議論をしながら、分別後の資源物の回収・処理ルートを確定しました。

その後、ごみの排出者である一般家庭や商店に対しては、排出時にごみをきちんと分別してもらうために、住民に分別容器を配布し、分別方法の説明を行いました。

また、リサイクルをさらに推進するために、リサイクル業者の連絡先を冊子にまとめて住民に配布しました。

分別収集のパイロット事業は、3ヶ月間続けられましたが、実施中は23~35%と、比較的高い参加率を得ました。住民を対象とした意識調査でも、プロジェクトが進むにつれて、3Rに対する認識や意識も高まってきたことがわかりました。今でも、ペナン市などでこの分別活動は継続、そして拡大されています。

配布された冊子

そして教育

リサイクルは、システムを整えるだけでは進みません。一人ひとりが廃棄物の現状について認識し、廃棄物減量化の必要性と緊急性を十分に理解して初めて、継続的な行動になっていくものです。しかし、成人に対して意識啓発を促すことは、いったん身についてしまった習慣的な行動を改めさせることになる場合もあり、非常に難しいことです。そこで本プロジェクトでは、小中学校の児童をターゲットにした環境教育プログラムを実施しました。

マレーシアの小中学校では、これまで単発的なリサイクル教育プログラムはありましたが、継続的な活動がされている学校はほとんどありませんでした。学校教師は何か活動をしたくても何をしてよいのかわからない、といった状況でだったのです。そこで本プロジェクトでは、学校教師が学校で継続的な3R活動を計画・実施できるように、学校3R活動推進ガイドラインを作成しました。これに基づき、サラワク州ミリの学校、及びジョホール州の学校6校で、学校教育プログラムを実施しました。

本プログラムでは、まず学校に3Rチームを設立しました。そして現状を把握するための簡単な調査を行い、アクションプランを作りました。このアクションを継続させるためには、無理な計画を立てるのではなく、実行可能なことから順次進めていくようなプランをつくることが大切です。

そこで今回は、各学校の活動レベルに合わせて、プランを立てました。レベル1の学校では、教室内に分別用のごみ箱を設置、また3Rコーナーを作って不用品を使った工作を展示しました。レベル2の学校では、食堂で使われているビニール袋の削減です。マレーシアの学校食堂では、テイクアウトの飲み物にはビニール袋が使われ、一日に多くの袋が廃棄されていました。それを何度も繰り返し使うことができるガラスやプラスチックのコップに取り替えたのです。そしてレベル3では、学校を飛び出して、自宅での活動を実施しました。子供達がごみ調査シートを各自の家に持って帰り、自分達の家でどんなごみが捨てられているのかについて調査し、どうしたら減らせるのか家族と考えました。

もったいない

本プロジェクトで実施したセミナーやワークショップ、イベントを通じて、3Rをあらわす日本語、「もったいない」をマレーシアの人たちに伝えていきました。この「もったいない」は、英訳の難しい言葉ですが、マレー語、中国語でもやはり直訳はできません。しかし!マレーシアの人たちはその精神はよく理解していました。カウンターパートと一緒に食事をしてご飯を残すと、「もったいない!!」といって残させてくれませんでした。

また、日本の取り組みの例として、「ふろしき」の紹介をしました。調査の最後に実施されたセミナーでは、日本の環境省の方にご協力頂き、「もったいないふろしき」などのふろしきの展示を行いました。マレーシアでも同じような伝統があったということで、とても好評でした。

「もったいない」と言う
マレーシアの人々

広がる3R

八千代エンジニヤリングは現在、JICAの技術協力プロジェクトである「ベトナム国ハノイ市における3Rイニシアティブ活性化支援プロジェクト」を受注し、2006年11月から実施しています。ハノイ市では、ごみ発生量のうち生ごみがかなりの部分を占めていることから、生ごみの分別収集・リサイクルの導入を進めようとしており、当社は、ハノイ市におけるこれら活動の実施機関であるハノイ市都市環境公社をサポートしています。

ベトナムではまだ「3R」そのものが馴染みのないものなので、3RのCMを流したり、オペラハウス前の広場でイベントを実施するなど、大規模なPR活動を実施しました。2007年3月には、明治大学教授の北野大先生にコミュニティミーティングに参加頂き(ハノイにて)、プロジェクトでつくった「マイバッグ」のプロモーションをして頂きました。地元の人たちに大変好評でした。

今後は、住民への十分な説明をするためのコミュニティミーティングや、環境教育を実施したうえで分別収集、そしてリサイクル促進をしていきます。


当社はこれからも、発展途上国での3R推進を強力に支援していきます。

マイバッグのプロモーションをする
北野 大 先生

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