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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

最新バイオマス事情 バイオエタノールは本当に地球と人に優しいのか

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誰しもある程度は興味を持っていながら、今ひとつ他人事だと思ってきた環境問題や地球温暖化問題。しかし昨今の記録的な原油価格の高騰で、我が身の問題と して実感された方も多いのではないでしょうか。7月の特集は、救世主ともいわれた何とも不思議な新燃料、バイオエタノールについてです。

最新バイオマス事情

そもそもバイオエタノールとは?

Written by IRISA Kouichi 入佐孝一

バイオ=生物。つまり、バイオエタノールとは、生物(植物)でつくるエタノールのこと。

あれ、我々がいつも飲んでいるお酒は、米や麦、芋、そば、サトウキビ、シソ、ゴマ、昆布、ジャガイモ...など大抵は植物から作られていますよね。まれに、牛乳で作られた焼酎なんて言うのもありますが、これも動物性とはいえ生物由来ですね。

では、なぜ今になって植物からつくられたアルコールがそんなに話題になっているのでしょうか。

バイオ燃料

ひとくちにバイオ燃料といっても、いくつか種類があるようです。これらをまとめてバイオマスエネルギー、または単にバイオマスと呼んだりします。

1. バイオガス
生ごみなどの有機性廃棄物や家畜の糞などを発酵させてメタンガスとして回収したもの。
2. バイオエタノール
サトウキビやトウモロコシなど植物中の糖分を発酵してエタノールを抽出したもの。
3. バイオディーゼル
菜種油や大豆などの植物油にエタノールを加えて合成したもの。普通のディーゼルエンジンで使用可能。使用済みの廃食用油からのリサイクルなどが有名。
4. 木質燃料
薪やおがくずのペレットなどが該当。
図:バイオマスのエネルギー利用体系

バイオエネルギーは地球に優しいか

自然エネルギーに対する注目度は非常に高まっていますが、バイオエネルギーに関しては、太陽光や風力エネルギーなどと比べるとやはり、注目度は低いのではないでしょうか。

その理由としてはいくつか考えられますが、もっとも大きな理由は、「バイオエネルギーといったって、それを利用するとき、つまり燃やすときには結局CO2もガスも排出するのだから、クリーンエネルギーとはいえないのではないか。」と思われているためではないでしょうか。

確かに「バイオエネルギーがCO2を排出しない」というのは間違いです。しかし、バイオエネルギーを燃焼することで排出されるCO2というのは、実のところ、数年~数十年前に大気から植物が固定したものをまた元に戻した形にすぎません。

一方、石油を例に同じく考えた場合、ほんのわずかな時間で吐き出したCO2を再びその「体内」に固定するには、数億年(?)という非常に長いスパンが必要です。これに比べるとバイオエネルギーの場合は、吐き出す時間は石油と同じでも、それを固定する時間は非常に短くて済みます。つまりバイオエネルギーは、気体として自然環境に負荷をかけている時間が短い分、石油をはじめとする化石燃料や石炭よりも地球に優しいエネルギーだといえるのではないでしょうか。(石炭だって元々は木なのだからバイオエネルギーだ!と考える人もいるかもしれませんが、石炭ができるまでにどれほどの年月が必要かを考えたら、石油と同じことが言えますよね。)


バイオエネルギーのこの先

現在の日本は食糧自給率が著しく低下しています。食べ物をたくさん作り、それを国民みんながたくさん食べれば問題ないのですが、飽食の時代、食べ物は作る側ではなく食べる側が選択するのです。無理に大量に作ったからといって、それらを食べてもらえる保証はありません。こんな贅沢な現代日本ですが、世界的には、エネルギー以前に食糧が不足している地域もたくさん存在します。やはり、エネルギーよりも自分たちの食料を作る方が先だと思いますね。地球温暖化対策だからといって、CO2を吸収する森林を破壊して、バイオエネルギーのための穀物を作る、なんと言うことはやはり本末転倒ではないでしょうか。


植物にはほぼ必ず、食べられる部分とそうでない部分が存在します。その「食べられない部分」である麦わらや籾殻(もみがら)、雑草なども、すでに燃料化されているサトウキビやトウモロコシの繊維と同じセルロース系のものですから、エタノール化は可能なはずです。技術の開発を進めて将来的には、食べられる部分は食べて、残りの部分でエタノールを製造する、なんていうことにできれば良いのですね。


ところでディーゼルって...

それにしても、日本は、まだまだディーゼル自動車の優秀さに対する認識が低いように感じます。現在のディーゼルエンジンは技術の大幅な進歩によって、黒煙をもうもうと撒き散らしていた一昔前のものとは異なり、ガソリンエンジンよりもクリーンなものとしてヨーロッパでは認識されています。ちなみに、ドイツの機械技術者ルドルフ・ディーゼル氏はなんと1900年にすでにピーナッツオイルを燃料とするディーゼルエンジンを発表していたと言われているから驚きです。


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