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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

最新まちづくり事情 犯罪に強いまちづくり

  • 社会計画

この頃よく、路上や公園といった日常の暮らしに身近な場所で起きた凶悪犯罪のニュースを耳にします。私たちコンサルタントも、まちづくりという視点で皆さ んの暮らしに深くかかわっており、こうした対策にも力を入れています。今月は、日常を脅かす「犯罪」の防止に焦点をあてた“まちづくり”についてお話しし ます。

~犯罪に強いまちづくり~

Written by BEPPU Tomoya 別府知哉

求められる、犯罪に強いまちづくり

私たちの日常生活の安全や安心に関わるものとして、犯罪の発生を未然に防止する「防犯」という視点は非常に重要な要素です。しかし、ピッキング被害や地下道における犯罪など、これまで考えられなかったような犯罪が多発しており、犯罪に対する人々の不安感が強くなっています。

では、こうした犯罪対策に力を入れたまちづくりとは、どのようなものでしょうか。

最近の犯罪の動向

実は、犯罪の発生件数自体は、近年、減少傾向にあります。これは、警察による対策が強化されていることに加えて、防犯への取り組みが盛んになってきていることも関係しています。

しかし、犯罪は減ってきているのに私たちの「不安感」は拭えません。また、不安感が強すぎて子どもを外で遊ばせられないなど、大人たちの過剰反応が、子供たちの健全な社会活動を制限していることも最近では問題となってきています。

刑法犯の認知・検挙状況の推移

私たちコンサルタントは、このような状況を踏まえながら犯罪の起きる環境などに着目し、人々が安全で安心して暮らせるまちづくりを目指しています。つまり、犯罪の誘発要因を除去し、安全で快適な環境づくりを行う「防犯まちづくり」を進めています。

防犯まちづくりとは?

「防犯まちづくり」は、以下のような視点から取り組みます。

【防犯環境設計という視点】
様々なまちづくりの施設整備の計画段階から防犯の視点を取り入れ、効果的でバランスのとれた環境づくりを進めること
【地域の力という視点】
安心して暮らせるコミュニティづくりと連携して進めること
【継続的な取組という視点】
まちの中のありとあらゆるストックを活かし、低コストでも対応できる身近で小さな取組を積み重ねること
【連携という視点】
防災や交通安全、福祉などの他の既存分野と連携し、より高い「安全・安心」を目指すこと

防犯環境設計(CPTED(セプテッド))とは?

我が国でも、少し前までは、犯罪発生件数の増加と検挙率の低下傾向が続いていたこともあって、市民レベルでの防犯意識は年々高まっています。また、これまでは犯罪発生後に対症療法的な環境整備が進められてきましたが、今後は犯罪の「予防」という観点を予め取り入れた設計・整備が求められます。

防犯環境設計(CPTED = Crime Prevention Through Environmental Design)は、日本ではまだ新しい研究分野ですが、これからのまちづくりは、こうした手法を取り入れたものが標準仕様になってゆくものと予想されます。

以下に、防犯環境設計の4つの原則、被害対象の強化・回避、接近の制御、領域性の強化、監視性の確保の概念図を示します。

防犯環境設計の4つの原則

防犯まちづくりではどのようなことをやるの?

「防犯まちづくり」は、防犯環境設計の視点に基づきながら、さらに、以下のような取り組みを進めます。

◆ 防犯に関する指針や行動計画づくり

住民の皆さんが安全で安心して暮らせるまちを目指す上で、それぞれの地域の課題にあわせた環境づくりを進めていく必要があります。

そのためには、犯罪状況等の客観的な指標を用いて、その地域の防犯上の課題を明らかにし、課題にあわせた積極的かつ計画的な対策を実施することが効果的です。

そこで防犯環境設計(CPTED)手法を用いて、行政が主体となって取り組むことや、関係する主体に働きかける行動を、「防犯まちづくり行動計画」として取りまとめます。

また、道路や公園、駐車場、住宅など、行政や住民が防犯対策を実施する上で参考とすべき事項を「防犯まちづくり指針」として整理します。

「防犯まちづくり」のフロー

◆ 地域の防犯診断ワークショップ実施~みんなで考えた防犯対策の実施~

身近で発生している犯罪に対し、地域住民や行政、警察などの関係者が協働で、犯罪の起こりにくい環境づくりを検討する方法のひとつに、防犯診断ワークショップがあります。

ワークショップは、まず、地域の方々が中心となって、行政や警察と連携しながら道路や公園、駐車場(駐輪場)、住宅などを防犯の視点で診断し、防犯上の問題点を抽出する「防犯診断」を行います。

その防犯診断の結果を踏まえて、課題の整理や改善案の検討を行い、マップへのとりまとめ(「防犯診断マップ」作成)を行います。

そして、この結果をもとに各種の防犯対策を検討し、実施していきます。

◆ 地域で進める防犯まちづくりの手引作成~取組を広げよう~

防犯まちづくりを進めて、人々が安全で安心して暮らせるまちを実現するためには、地域が主体となって防犯まちづくりに取り組むことが非常に重要となります。

そのため、私たちコンサルタントは、住民の皆さんが防犯まちづくりのための各種施策に参画しやすくなるよう、「防犯まちづくりの進め方」や「防犯診断ワークショップの進め方」、その他「防犯環境づくりの事例」などを丁寧に分かりやすく紹介した「防犯まちづくりの手引」等を作成しています。


身近なところから取り組みをはじめてみよう!

地域の目が行き届く「領域性の高い」場所には犯罪企図者は近づきにくいと言われています。皆さんは積極的に地域活動に参加されていますか?また、近所の知り合いの方と挨拶をかわす生活環境にありますか?

最近は、行政が犯罪状況を携帯電話などに配信するサービスを推し進めています。その地域でも起きている犯罪情報を知ることで、身に降りかかる危険を回避するだけでなく、一人ひとりが常に防犯意識を高めることで、地域全体による監視力を養う効果も狙っています。皆さんもこうしたサービスを積極的に活用して、自分自身の防犯力を高めましょう。

ところで、お子さんがいらっしゃる方は、犯罪に巻き込まれることに対して、特に不安感が大きいのではないでしょうか。

タウンセキュリティという、地域ぐるみのセキュリティサービスも普及してきています。このようなサービスを活用するのも一つの方策ですが、地域とのつながりは、防犯という側面ではなく、防災や交通安全、福祉など、多面的な側面で欠かせないものです。

あなたも安全・安心のまちづくりの一環として、一度、地域の皆さんと一緒に考えてみるのはいかがでしょうか?


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