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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

不法投棄はなくせるか? 不法投棄の現状と対策

  • 環境

水質汚染や土壌汚染など環境への影響、悪臭や有毒ガス…。私たちの安らかな暮らしを脅やかす「不法投棄」は、今や全国各地の地域住民が頭を悩ます大きな社会問題となっています。 今月は、この不法投棄問題の現状と対策について、コンサルタントの視点から斬りこんでみます。

不法投棄の現状と対策・不法投棄はなくせるか?

ルールです。

Written by YOSIMURA 吉村裕明

何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならないというルール(廃棄物処理法第16条に定められている。)があります。にも係わらず、ルール(法律)を犯してまでも廃棄物を投棄(捨てる)する行為。これが不法投棄です。
不法投棄問題は、テレビや新聞等でもしばしばとりあげられていますがあなたはそれを他人事としてながめていませんか?
最初はほんの軽い気持ちで誰かがした「ポイ捨て」。しかしその「ポイ捨て」が「ポイ捨て」を呼び、不法投棄場となるのは本当にあっという間なのです。

廃棄物処理のルールと罰則

家庭や事業所などから排出される一般廃棄物は、市町村で定められている排出方法に従って分別し、適正に処理する必要があります。
 一方、産業廃棄物を排出する事業所は、廃棄物処理法(正式名称「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」)で定められた処理基準に従って自ら処理するか、もしくは処理業者に委託して、産業廃棄物を責任もって適正に処理する必要があります。

産業廃棄物

不法投棄は他人事ではありません!廃棄物の処理を委託した事業者、個人にも責任

不法投棄は、実際に実行した処理業者に責任があるのはもちろんのこと、処理を委託した人(事業者や個人)も責任を負う義務があります。※1
 つまり、廃棄物を排出した人は、廃棄物の処理が適正に行われるまで責任があり、処理を委託した後は、知らんぷりというわけにはいかないのです。
 不法投棄は、テレビや新聞報道の影響で、ある一定の人たちが犯す犯罪であるという印象がありますが、決してそうしたケースばかりではありません。処理業者だけでなく、企業や個人も知らず知らずのうちに犯罪の一旦を担っている場合だってあるのです。
   なお、個人が不法投棄した場合も、厳しい罰則が科せられることは言うまでもありません。

 
 
  • ※1 排出責任者:廃棄物の処理に伴う環境への負荷の低減に関しては、その一義的な責任を排出者が負わなければならない。排出者責任とは、廃棄物を排出する者が、その適正処理に関する責任を負うべきであるとの考え方であり、廃棄物・リサイクル対策の基本的な原則の一つである。
 

不法投棄を犯した人には厳しい罰則があります!5年以下の懲役または1000万円の罰金

不法投棄した場合、5年以下の懲役または1,000万円(法人には1億円まで加重ができる)以下の罰金にするなど、厳しい罰則が設けられています。(法25条 投棄禁止違反、投棄禁止違反未遂)


不法投棄の実態


厳しい罰則がある不法投棄ですが、全国で不法投棄されている件数や量はどれくらいだと思いますか?


1年間に500件以上、13万トンを超える不法投棄量!

下図は全国で1年間に不法投棄された件数と量の推移を示したグラフです。この図をみる限りでは、年々不法投棄件数及び量は減少傾向にありますが、直近で最も少ない平成18年度においても1年間に554件、13.1万トン、1日あたりで1.5件、360トン(10t積みダンプトラックで約36台分)の不法投棄が全国各地で発生しています。

  • 注1:投棄件数及び投棄量は、都道府県及び政令市が把握した産業廃棄物の不法投棄のうち、1件あたりの投資量が10t以上の事案(ただし特別管理産業廃棄物を含む事案は全て)を集計対象とした。
  • 注2:岐阜市事案(56.7万t)は平成15年度に、沼津市事案(20.4万t)は平成16年度に発覚したが、不適正処分はそれ以前より数年にわたって行われた結果、当該年度に大規模事業として発覚した。
  • 資料:環境省

産業廃棄物の不法投棄件数及び投棄量の推移

 

不法投棄された廃棄物の種類

平成18年度に新たに確認された不法投棄を産業廃棄物の種類別にみますと、がれき類、木くずなど建設廃棄物が投棄件数の72.6%(402件)、投棄量の60.0%(8.9万トン)を占めています。(平成20年度環境・循環型社会白書より)


不法投棄の検挙数

近年、廃棄物処理法違反によって検挙される産業廃棄物の不法投棄事犯は平成15年をピークに依然として高い水準にあります。平成19年に廃棄物処理法違反で警察が検挙した産業廃棄物不法投棄事犯は535件、767名でした。(平成20年度環境・循環型社会白書より)


不法投棄の検挙数


不法投棄の種類

不法投棄をケース別に見ると、公道等にゲリラ的に投棄されるケースの他に、収集運搬業者などが自社用地に大量に不適正保管するケース、中間処理業者が処理能力を超えた量を受注し行き場を失って不適切な処理がなされる場合など、さまざまなケースがあります。

不法投棄の種類画像

不法投棄する理由

廃棄物処理のルールに従わずに、不法投棄する

◆廃棄物処理のルールを知らない。

◆適正処理するために必要な費用を払いたくない。

◆社会的モラルに反する人が多い。

◆適正処理できる施設の数自体が少ない。

◆処理施設までの距離が遠い。


不法投棄する理由を裏返して考える

◆廃棄物処理法がわかりづらい。

◆処理費用が高い。

◆環境保全への意識が低い。環境教育が不足している。

◆処理施設の建設が困難である。(近隣住民にとっては迷惑施設ということで、施設の建設自体が難しい。)

◆人々の生活圏内では建設が困難なため、施設は自ずと遠方の地に建設される。

不法投棄がもたらす環境への影響


不法投棄現場写真(支障は火災)※

※(財)産業廃棄物処理事業振興財団HP原状回復事業実績事例より

不法投棄された現場における、生活環境保全上の支障が発生するおそれ

不法投棄された廃棄物が原因で、不法投棄現場には、崩落、火災、水質汚染(表流水、地下水)、有毒ガス・悪臭、土壌汚染(廃棄物下層の汚染土壌)、大気環境(粉塵)などの生活環境保全上の支障が発生するおそれがあります。

例えば、堆積された廃棄物から火災が発生した場合、火災に伴い、粉塵や悪臭が発生します。実際の不法投棄現場調査の経験から、火災に伴う悪臭は、ひどい臭いであり、30分程度現場にいるだけで、体に悪臭が染み付き、めまいがし、気分が悪くなります。


不法投棄対策~不法投棄対策には私たちの税金も!~

不法投棄対策は、不法投棄された場所を原状に回復する措置と、不法投棄されない仕組みをつくる未然防止対策があります。


原状回復措置

いったん、不法投棄されると、原状回復するためには、廃棄物全量撤去や汚染拡散防止対策などを行う必要があるため、莫大な経費が必要となります。これらに係る経費は、基本的には原因者(不法投棄を行ったものや排出者)が負担することになりますが、実際は原因者に経費を負担する資力がない場合や、原因者を特定できないケースが少なくありません。

その場合の措置として、都道府県、政令指定都市や保健所設置市が原因者に代わって原状回復を行う行政代執行が行われ、生活環境安全上の支障を取り除く対策が実施されることになります。行政代執行に必要な経費は、一時的に国民の税金(国からの補助金)や産業界からの出援金があてられ、代執行終了後に、原因者に求償していくことになります。

しかしながら、原因者には資力がない場合や原因者を特定できない場合に代執行を実施するため、現実的には税金は返却されない可能性が高くなります。


未然防止対策

上述の通り、原状回復装置には莫大な経費が使われることになるため、「不法投棄対策の最善策=未然防止対策」であることは言うまでもありません。未然防止対策として考えられる対策を以下に挙げます。


廃棄物の減量化

単純なことですが、不法投棄する廃棄物がなくなれば不法投棄する必要がありません。従って、排出抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の3Rを推進し、循環型社会形成を推進することで、不法投棄されている廃棄物を削減することが最も重要です。


排出者責任の徹底

不法投棄は、実行者だけでなく排出者のも責任があります。そこで、廃棄物を排出する者の責任を徹底し、不法投棄させない社会づくり構成することが望まれます。


拡大生産者責任の徹底

不法投棄される廃棄物は、その処理が困難な廃棄物が多いことが原因の一つであると考えられます。従って、製品づくりを行う段階から、製品の使用後に廃棄物にならない製品づくりを行うことが重要となります。例えば、有害なものを入れない製品づくり、できるだけ分解しやすい製品づくりが必要であり、製品を売る側にこのような配慮が求められます。


廃棄物処理施設整備の促進

不法投棄する理由にも記述したように、廃棄物処理施設は一般的には迷惑施設と認識されていることから、施設を建設することが困難状況となっており、処理処分する施設の絶対数が不足していると考えられます。従って、不法投棄される廃棄物の受け皿(処理処分施設)づくりを促進させることが必要です。

不法投棄の原状回復措置に係る経費は、結局のところ国民の税金に頼る可能性が高くなります。ですから無駄な税金を投入しないためには、効率的かつ適正に処理処分できる施設を整備するとともに、不法投棄の未然防止に努めることが重要なのです。


経済的インセンティブ

不法投棄の発生は安きに流れるという経済原理が根本にあります。つまり不法投棄がなくならない最大の理由は、経済的な魅力(=費用対効果)にあるともいえます。このことから単に廃棄物の減量化や排出者責任の徹底、また、拡大生産者責任の徹底や監視・罰則を強化しても、不法投棄がなくなる可能性は低いともいえます。

ではどうすればよいのでしょうか。

公共関与のもとで廃棄物の受け皿を整備し、指導も絡めながら処理処分費用を安価にする体制を構築することが重要になってくるのです。


リスクコミュニケーション(情報の共有化)

不法投棄の撲滅には、行政、事業者、市民パートナーシップが重要であり、そのためには情報の共有化が不可欠です。3者は共有の情報のもと、不法投棄の未然防止に努めていくことが重要です。


八千代エンジニヤリングの取り組み

当社では、皆さんが健康的に過ごせることを願いながら、前述した不法投棄対策のコンサルティングを行っています。

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