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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

水と暮らし 井戸のありがたみ

  • 環境

おばあちゃんが実家で、スイカを井戸に冷やして待っている…井戸と聞いて、そんなノスタルジックな情景が思い浮かびませんか?今月は、いまだ現役、暮らしにかかせない存在である井戸について、ご紹介します。

~あふれる窒素をどうするか?~

井戸ってどんなもの?

Written by Washimi 鷲見浩司

「井」とは、水の集まる場所という意味で、昔は泉や川など水を汲むところを言ったそうです。「井戸」は、その水の出入り口を掘って作ったもののことで、古くは弥生時代に、その原形があったと言われています。

井戸は、条件さえ良ければ常に地下水をジワジワ集め続けられる優秀な水源です。都市部からは少なくなりつつありますが、全国を見ればまだまだ現役で頑張っているものがたくさんあります。

井戸水を上手に使って生活している方は多く、そのありがたみは不変のものです。

水の確保が暮らしのかなめ

昔から人びとは、川の流れている近くや、山ぎわの湧き水があるところに住居を構え、人が集まるとそれが集落となりました。人口が増加するにつれ生活環境は変化していき、水の確保はさまざまな工夫により行われていきました。
例えば、稲作用の用水路があります。用水路を作る技術は歴史が古いのですが、のちに上水道を引く技術へと発展を遂げました。雨水も容器に貯めることにより大事に使われてきました。ただ、時間が経つと悪くなってしまい、飲み水としては適していなかったかもしれません。

そんな中で、地面を掘ってつくる「井戸」も登場し、暮らしの中で大切な存在となっていきました。
ところで、井戸といっても、どのように地面の中の水を探り当てれば良いでしょうか。そして、その水をどのように汲み上げれば良いでしょうか。井戸づくりの困難さはここにあり、水を求めて、これまでに長い技術改良の歴史がありました。現在、私たちが見かける井戸は、手作り感いっぱいの原始的なものから、こうした長い歴史の産物まで、様々なものがあります。

井戸のありがたみ
写真1:まいまい井戸(八丈島)

たて穴式井戸に螺旋状の道をつけ、グルグル歩いて水を汲み上げた。
※「水と暮らしの文化史」より
井戸のありがたみ
写真2:手こぎポンプ

レトロなおなじみの形です。

井戸のいろいろ


ここでは、今までに私が出会った井戸たちを紹介します。

【横井戸】
水平方向に地面を掘り、しみ出てくる地下水を貯めます。もともと湧き水のあるような斜面を掘って広げたものが多いようです。


【掘り抜き井戸(ここでは人力のもの)】
地盤を掘り抜き、地下水を探り当てます。
一般的に、井戸と言えばこのイメージではないでしょうか。
井戸を人力のみで作るにはとても大きな労力がかかります。掘り進めるほど、孔壁崩壊・孔内の酸素不足など作業に伴う危険が大きくなるし、掘った土をかき出すことが困難になります。実際に、「えっ、こんな深くまでどうやって掘ったの?」という井戸がたくさんあり、水を必死に追い求めた方たちの姿が目に浮かびます。
深く掘るための「工法」としては、江戸時代にその始まりがあると言われます。先端にのみを付けた鉄棒を、竹の弾力を利用して地面に打ち付けるものです。その後、改良が加えられ、明治の末頃には現在でも知られる「上総(かずさ)掘り」が生まれました。


【ボーリング井戸】
機械ボーリングにより地盤を掘り抜きます。最も深くまで掘り進められます。


【打ち込み井戸】
鋼管を重機などにより地面に打ち込みます。鋼管の側面にあらかじめ穴を空け地下水が入り込むようにしてあり、地上に設置した電動ポンプで汲み上げます。河川の伏流水など、比較的浅い深度にある地下水を対象にしています。

井戸のありがたみ
写真3:横井戸
井戸のありがたみ
写真4:堀り抜き井戸

石組みで壁を補強。
中をのぞくのが怖い...
井戸のありがたみ
写真5:ボーリング井戸

塩ビ管(穴あき)を入れてある。電動ポンプで地下水を汲み上げる

工事の影響


井戸は全国様々な場所で利用されていますが、道路・トンネル・鉄道(地下鉄)などを新設する際に、井戸(地下水)への影響が懸念される場合があります。
このような時、①井戸に影響しないためにどのような計画・設計がされるべきか、②影響が避けられない場合、例えば新しい水源を設ける(井戸拡張?新設?)など、どうすれば満足のいく暮らしを守れるか、を考えなければいけません。
そのためには、地下水は地面の中のどこにあって、どう流れているかをまず知ることが大切です。その上で、工事の影響予測や、水源維持・確保の方法を考えていく必要があります。

資源としての水利用


水は資源として、生活用水、農業用水、工業用水に使われます。
世界を見渡せば、これらの水はどれも慢性的に不足していることが多く、地域によってはその少ない水資源を平和的に分かち合えるような管理体制が作れない状況にあると聞きます。


井戸などに頼った水源開発でさえ厳しい地域では、以下のような新しい技術が求められているそうです。

①海水・汽水を利用する技術
②雨季の水を貯留し利用する技術
③排水を浄化して再利用する技術etc...

水は、地下にも地上にも(空中にも)あり、互いに繋がっており行き来しあえる関係です。このうち、地下の水は見つけづらい上に、利用するには不確実さが常につきまといます。複数の人が水資源を有効利用できるように管理するとなれば大変ですが、人が生活していくにはかかせないことです。井戸職人が昔からやってきたように、見えない地下をじっとのぞき込み、トライ&エラーの末に、新しいアイデアを生んでいくことが、技術を育む第一歩だと感じます。

井戸のありがたみ
写真6:横井戸に祀られる神様(新年1月)

地元では、この水で洗うと眼病が
治ると言われる。
参考文献

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