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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

未電化村落に灯りを 開発途上国の地方電化事業

  • 海外事業

灯りのある生活が当たり前の私たちですが、もしも明日から電気が使えなくなってしまったら…?今月は、私たちの生活に欠かすことの出来ない電気について考えてみたいと思います。

未電化村落に灯りを

電気のある生活

イルミネーションが美しい季節になってきました。

日本では当たり前のように使われている電気ですが、開発途上国(中でもサハラ以南のアフリカ)では電気が使えない世帯がまだまだ多く、 全世界で約16億人が未電化地域で生活していると言われています。

今月は、アフリカで実施された地方電化事業の事例を通して、我々の生活に欠かすことのできない電気について、考えてみたいと思います。

未電化村落での生活

アフリカの未電化村落では、照明用のエネルギーとして灯油が一般的ですが、現金収入の少ない貧困層家庭では、 1ヶ月のうち3日程度しか灯油ランプを利用できないのが実態です。この灯油ランプは照明としては暗く、また煤煙(すす)により呼吸器系の疾患をもたらすことも問題となっています。 また、自家用ディーゼル発電機も富裕層では利用されていますが、高価な燃料費のため使用頻度は限られています。 このため、未電化村落の一般的な住民は、灯油ランプの燃料を節約するため、朝は日の出とともに起床し、 夕方は日没後早い時間に眠りにつくという生活を送っている場合も多いようです。

調理用のエネルギー源として、薪や灯油が使われていますが、通常薪拾いは女性や子供たちの仕事となっており、 大きな負担となっているほか、森林伐採による環境への影響も懸念されています。

学校や診療所等の公共施設では、電気が使えない不便な生活を嫌がり、先生や医者が集まらない事が問題となっています。 また、診療所では照明機器や風土病のワクチンがないため、出産や救急患者対応の場合には、付近の電化された村まで患者を搬送しなければなりません。 また、村の道路に街路灯がないため、特に女性や子供にとって夜間の外出は危険ですし、サソリやヘビ等の小動物に襲われることも多いです。

ウガンダ
【ウガンダ国】
地方部の未電化地域で
利用されている灯油ランプ

灯りをともすには

一般的に、途上国で未電化村落に灯りをともすには、日本と同じように電力会社の配電線を延ばしていくか、 もしくは家庭ごとに太陽光発電設備などの分散型電源を設置するか、どちらかの方法が適用されます。

前者の場合には、電柱や電線等大規模な設備が必要となりますので、ある程度大きな村落で、しかも既存の送配電線から近い村落から優先して電化されることになります。 配電線を延ばすための資金が確保できない場合には、個別に太陽光発電設備(ソーラーホームシステムと呼ばれます) を設置するケースが多いですが、この場合には電気事業に不慣れな村落レベルの組織(組合)により運営されるため、 料金徴収やシステム故障時の対応など、専門家による十分な技術移転が必要です。

その他にも、太陽光発電が導入される前の段階として、アフリカの未電化村落では、自動車のバッテリーを電化された村落まで運んで充電し、 各家庭に持ち帰って照明機器やラジオ等の電気製品を利用することが一般的に行われています。 やはり、未電化村落においても、何らかの形で電気を利用したい、というニーズが非常に高いことを表していると思います。


電気が使えるありがたさ

電気が使えるようになると、蛍光灯など照明機器が使えるようになり、子供は夜間学級や家庭で勉強することができるようになり、 また女性が副収入を得るために農作業の補助や手工芸品製作など、生産的な活動に携わることができます。 家庭レベルで電気が使えるようになるには、高価な電気料金を支払えるだけの収入があることが条件となりますが、 アフリカの地方部では農業中心で現金収入のない家庭も多く、電気を有効に使って収入を改善するための方策を提案していくことも重要です。

電気が使えるようになると、学校や診療所など公共施設のサービスが大きく改善されます。照明機器以外にも、診療所では無線装置、 滅菌装置やワクチン保存用の冷蔵庫などの医療装置がつかるようになります。 イスラム教の国では、モスクから毎日決まった時間にコーランが流れてきますが、この音響装置にも電気が使われます。 商業施設では、これまで生ぬるい飲み物しか出せなかった商店で冷えたジュースが提供され、 また陽気な気性のアフリカでは大音量の音楽が村に響き渡っていることも珍しくありません。

このように、電気が使えるようになると地方での住民生活も豊かになるため、 快適な生活を求めて都市部で生活していた人々が地元に戻り、大都市への一極集中といった社会問題を解消することにもつながります。


地方電化プロジェクトの完了を記念する「引渡式典」では、初めて電気設備にスイッチを入れる電化点灯式が行われますが、 点灯時には住民から盛大な歓声・拍手が沸き起こり、電気という文明の恩恵に初めて浴した人々の喜びを肌で感じることができます。 日本では当然のように使われている電気ですが、 上記のような未電化村落を調査すると、改めて電気が使えるありがたさを実感することができます。

ナイジェイリア1
【ナイジェリア国】
地方部のモスクに導入された
太陽光発電による室内照明

ナイジェイリア2
【ナイジェリア国】
未電化地域の現地調査風景

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