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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

空間利用 地下構造物のアレコレ

  • 道路・鉄道

今月と来月は、「トンネル」のお話です。まず今月は、主に都市部の地下や海底に築造するトンネルの「地下構造物」についてご紹介したいと思います(来月は、「山岳トンネル」を予定しています)。

~空間利用~

「トンネル」とは?

Written by KAZUHIKO kanai 金井和彦

皆さんは、「トンネル」と聞くとどんなものを連想されますか?

新幹線や自動車に乗っていると突然携帯電話が圏外となる、うっとおしい空間。
幽霊が出るという言い伝えのある、うす暗~い場所。
「サードのトンネルエラーで8連敗!長いトンネルから抜け出せません!!」
...あまりいいイメージがありませんね。

「トンネル」を辞書で引くと、「英語:Tunnel、日本語:通路、地下道、(動物の住む)穴」と書かれており、専門的な定義としては「断面の大きさに比べて軸方向に長い地下空間」といったところです。

悪いイメージのある「トンネル」ですが、実はこの地下空間が私達の生活を支えているのです。

地下構造物の種類

ところで、地下トンネルや海底トンネルは、技術的な言葉で「地下構造物」と呼ばれています。

地下構造物には、皆さんが毎日目にしている生活必需品から、一生見ることのない縁の下の力持ちまで、さまざまなものがあります。すべては紹介しきれませんので、ほんの一例を...。

■地下鉄

皆さんの最も身近にある地下構造物といえば、地下鉄ではないでしょうか。

東京ではかつて、トロリーバスや路面電車(現在でも都営荒川線が残っています)が道路上を走っていました。しかし高度成長期以降は、大型バスの出現や自動車の増加などによる交通事情の変化に伴い、それらの多くが廃止され、地下鉄に取って代わりました。

右の写真は、都営地下鉄大江戸線の新宿駅です。掘削機械(シールドマシン)で2本の丸い穴を掘り、切り開いて繋げた構造となっています。(工法については、後述の「地下構造物の造り方」の項を参照してください。)

都営地下鉄大江戸線新宿駅 【都営地下鉄大江戸線新宿駅】
■道路

先日開通した首都高の山手トンネルや東京湾アクアラインなど、渋滞の解消・観光や物流を促す目的で多くの道路が地下に造られていますね。この2本のトンネルも大部分が大規模な掘削機械(シールドマシン)で掘削されました。

■地下河川

地下河川とは、水かさの増した川の水を地下へ逃がす治水施設です。これまでは、大量の雨水を安全に流下させるには、既存の河川の幅を広げるか、新しい河川を掘らなければなりませんでした。しかし、都市部ではすでに市街化が進み、建物が密集しているため、こうした方法も難しくなってきています。そこで近年は、道路下などの地下空間を有効に活用する治水施設として、地下河川が造られています。

首都圏外郭放水路 【首都圏外郭放水路】
■アンダーパス(鉄道・道路との立体交差)

既存の鉄道や道路との平面交差を回避するため、既設工作物を防護しながら(通行止めなどをせずに)新設の函体(かんたい)(箱型のコンクリート製構造物)を構築することができます。アンダーパスの施工には、交差部横で製作した函体(かんたい)を、押し込みながら土と置き換えていく工法など、さまざまな方法があります。

JR九州鹿児島本線との交差道路 【JR九州鹿児島本線との交差道路】

■他にもあります、地下構造物

地下構造物の例を挙げればきりがありませんが、その他には次のようなものがあります。
■海底トンネル(沈埋(ちんまい)トンネル)
■ライフライントンネル(下水道、上水道、電線などなど)
■地下駐車場、地下貯蔵庫...
いずれも私たちの生活に無くてはならないものばかりです。


地下構造物の造り方

構造物を地下に築造する方法も、既設構造物との位置関係や築造する深さ、地質条件などにより施工方法が異なります。 主な工法には、①地中に壁を造成し突っ張り棒で壁を抑えながら掘り下げていく開削工法(図1)、②丸や四角いトンネルを掘削機械(シールドマシン)で掘りながら構造物を築造していくシールド工法(図2)、③分割された函体(かんたい)を地上で製作し、海底などに沈めてから繋ぎあわせる沈埋(ちんまい)工法、などがあります。

開削工法 図1:開削工法                                                                         ①開削工法による道路建設工事
シールド工法 図2:シールド工法                                                                         ②四角いシールドマシン
                                                                                                       出典:株式会社IHI HPより

日本は、国土の約73%を山地が占めており、狭い平野部に人口の半分がひしめいている状況です。人や物資の輸送、生活に欠かせないライフライン、人々の生活を守る治山・治水など、さまざまなものが必要となっていますが、地上ではその空間が限られています。人の生活スペースを求めてビルが高層化するのと同様、生活の便利さ・安全を求めて土木構造物も地下にその空間を確実に広げています。

市街地道路下の地下イメージ図 【市街地道路下の地下イメージ図】
出典:国土交通省 関東地方整備局 東京国道事務所HPより

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