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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

大切な人を守りたい 浸水被害を減らすために

  • 河川・水工

今月は、皆さんの生活地域(自宅、職場、学校、生活ルート等)の浸水状況を離れた所からでもいち早く察知し、その被害を軽減するための公共事業について、ご紹介します。

~浸水被害を減らすために~

大切な人を守るために

Written by TAKEMURA hitoshi 竹村仁志
Written by YAMASHITA kensaku 山下健作

大雨や集中豪雨が起こったとき、お子さんの帰り道や自宅周辺、遠方に住むご両親の地域が今どういう状況なのか気になりませんか?

大雨のときに心配なことは何ですか?

「これから台風到来の季節を迎え、大雨や集中豪雨による災害が発生しやすくなる中で、あなたが心配なことは何ですか?」

河川流域の住民の皆さんにこのようなアンケートをしたところ、次のように、様々な不安を感じていることが明らかになりました。

「子どもの通学路での浸水が心配」「年老いた両親が心配」「地下駐車場においてある車が心配」「家族がバラバラのときに被害が起きることが心配」「被害の後の片付けが心配」「ちゃんと避難できるか心配」「近くの川があふれるのが心配」...(図1)。

大雨のときに心配なこと図1:大雨のときに心配なこと...

浸水被害を軽減するための公共事業を知っていますか?

洪水などの水害を防止するための公共事業は、直接的な被害を抑制するための治水事業(ダム、堤防等)による「予防措置」と、被災箇所拡大を阻止する水防活動などによる「減災措置」から成り立っています。

平成12年9月の東海豪雨を始めとする重大水害の度重なる発生を受け、近年は、「減災措置」の中でも特に住民の適切な避難行動に寄与するリアルタイムの情報提供の重要性が高まっています。(図2)

今回ご紹介する浸水モニター制度(システム)も、人々のこうしたニーズを受けて、取り組みが始まったものです。

水害防止のための公共事業の種類図2:水害防止のための公共事業の種類

※皆さんのまちのハザードマップに関する情報は国土交通省ハザードマップポータブルサイトで紹介されています。

yecの浸水モニター実証実験の取り組みをご紹介します。

■浸水モニターってなに?

近年、局所的な大雨等による甚大な浸水被害が日本各地で頻発しています。しかしながら現在のところ、大雨の際に市民自らが、各地の浸水状況をリアルタイムで確認できる仕組みは、まだ確立されていません。このため、情報不足による避難行動の遅れが、大雨の度に懸念されています。

今回ご紹介する浸水モニター制度は、各地の浸水情報を地域住民から携帯電話で収集し、これをデータベース化して、リアルタイムで市民に浸水状況を提供することを目指しています。

■浸水モニター実証実験はこのように...

yecは浸水モニターシステムを構築し、以下のような実証実験を行いました。実験は、流域内から募集した参加者に携帯電話で浸水状況を報告してもらう手順で行いました。

●まず最初に、参加者には浸水状況の報告場所(今回は自宅または職場に限定)を登録してもらいました。

●次に、参加者の携帯電話へ3種類の浸水写真を20分間隔でメール送信し、参加者には送られてきた写真から浸水の深さなどを判断し、浸水情報を報告してもらいました(図-3)。なお、報告時の入力画面は報告しやすいように、浸水の深さを「足首まで」「腰まで」「腰以上」などから選択できる形式としました(図-4)。

●閲覧画面では、参加者が登録した自宅周辺や流域内の浸水情報を確認できるようにしました(図-5)。情報は瞬時に地図上に表示することで、参加者にリアルタイムで浸水情報を提供することが可能なシステムとしました。

3種類の浸水写真図3:3種類の浸水写真 報告入力画面図4:報告入力画面 閲覧画面図5:閲覧画面
■ワークショップ形式で地域の皆さんと意見交換を行いました。

この浸水モニターシステムを構築するにあたっては、実際に利用する地域の皆さんの声を聞きながら、災害時に有効活用されるシステムを目指していくことが重要と考えています。そこで、地域の皆さんにご協力頂き、システムの操作性や、目視で浸水深を判断する場合の課題(図6)などをワークショップ形式で意見交換しました。(図7は住民の皆さんと話をしながら検討した課題です。)

図6:ワークショップの様子
図7:意見と今後の対応

意見交換の結果、例えば目視では、浸水の深さを判断する場合、深さの目安となる対象物がある方が、深さの正確性は高まることがわかりました。

図8:対象物の有無による浸水深の見え方

地域で話し合いながら取り組みませんか?

浸水モニター制度が、災害時に有効活用されるシステムになるためには、なにより多くの情報提供者を集めることが不可欠です。

参加者が集まるには、地域の役に立ちたいという共助の考え方、つまり"人とのつながり"を大切に思うことが重要な要素と考えています。災害はいつやってくるか分かりません。ひょっとすると明日、皆さん自身が被災者になるかもしれないのです。ですから日頃からの防災への高い意識が必要なのです。

この制度を通じて、皆さんと対話しながら災害に強いまちづくりを実現できれば、嬉しいかぎりです。ワークショップでは、浸水情報監視の話から地域での情報伝達方法や避難行動などの話題に広がり、防災に関する意識向上も期待できます。

「ワークショップ形式による意見交換」、「携帯電話による浸水モニターシステムの日常訓練」などを通じて、浸水モニター制度が減災の一助となることを願っています。


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