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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

外来種問題-3 沖縄のマングース問題

  • 環境

以前、このコーナーでは2回にわたって外来種問題について考えてみました。今月は、いまなお続く沖縄のマングース問題について、詳しくご紹介します。
私たち人間の安易な行動が、取り返しのつかない事態を招いてしまう場合があることを感じていただけたらと思います。

外来種問題

外来種問題って何でしょう?

Written by KAWAUCHI norihiro 河内紀浩
Written by KOSAKA natsuki 小坂奈月

外来種問題って何でしょう?いまいちどおさらいしてみませんか?

外来種問題-1

外来種問題-2

マングースってどんな動物?

沖縄島に導入されたマングースは、食肉目マングース科に属する哺乳類です。もともとはヒマラヤ西部、中国南部、東南アジアやインド周辺に広く生息しています。現在、日本では沖縄県の沖縄本島と鹿児島県の奄美大島、喜入町で生息が確認されています。

マングースの基本データ
【全長】マングース
オス:約60cm
メス:約50cm
【体重】
オス:約0.5~1.0kg
メス:約0.3~0.6kg
【食性】
マングースは肉食傾向の強い動物です。主に昆虫類と爬虫類を餌としていますが、哺乳類、鳥類、両生類、節足動物など、多種多様な動物を食べていることが確認されています。野外で出会った小動物であればほぼ何でも捕食しているようです。
【繁殖】
マングースは、生後約180日で性成熟(繁殖できる状態)します。妊娠期間は約49日で、年に1回程度の出産、1回につき1~3頭の子どもを産みます。生まれたマングースは生後約1ヶ月で巣から出るようになり、その後、母親の後について巣外で行動し、やがて独り立ちをします。
【活動時間】
マングースは昼行性の動物で、早朝から夕方にかけて活動しています。

なぜ沖縄にマングースが?

沖縄本島でのマングースは、ノネズミによるサトウキビ被害やハブによる人的被害の軽減のためにガンジス川流域から導入されました。導入されたマングースは最初に那覇市や西原町で放された記録があります。その後も人間による島内各地への導入が盛んに行われ、マングースは分布域を広げていったようです。そして現在では、沖縄本島のほぼ全域で生息が確認されるようになりました。

photo:

マングースによる生態系への影響って?

1970年以前まで、人的かく乱の少ないやんばる地域(国頭村・大宜味村・東村)は比較的健全な沖縄本来の生態系を維持していました。ところが1990年代に入ると、やんばるの南側に位置する大宜味村や東村にマングースが多数侵入し、これらの地域で在来のオキナワトゲネズミやヤンバルクイナ、イシカワガエルなど多くの固有種が少なくなっていきました。しかしこれはマングースだけの影響ではなく、森林伐採やマングース以外の外来種であるネコやクマネズミなどの影響もあると考えられており、これらの要因が複合的に絡み合い、在来種の減少に至ったものと推察されています。とはいえ、その中でも肉食性が強く小動物なら何でも食べるマングースの影響は、やはり大きいものと考えられています。

photo:

マングースの餌になっている在来希少生物データ

マングースの胃や腸(消化管)や糞の中からは、これまでに多種の生物が検出されています。そしてその中には、絶滅が心配されている「国内希少生物野生動植物種」の指定種、「レッドリスト」の記載種や「国指定天然記念物」など希少種も多数含まれていました。

生きているアカヒゲ
アカヒゲ
生きているオキナワキノボリトカゲ
オキナワキノボリトカゲ
生きているノグチゲラ
ノグチゲラ
種類 種名 固有性・希少性
哺乳類 ワタセジネズミ 南西諸島固有種、準絶滅危惧種
鳥類 ヤンバルクイナ 沖縄島固有種、絶滅危惧種IA類、国指定天然記念物、
国内希少野生動植物種
鳥類 ノグチゲラ 沖縄島固有種、絶滅危惧種IA類、国指定特別天然記念物、
国内希少野生動植物種
鳥類 ホントウアカヒゲ 沖縄島固有種、絶滅危惧種IA類、国指定天然記念物
鳥類 リュウキュウハシブトガラス 琉球列島固有亜種
鳥類 リュウキュウメジロ 琉球列島固有亜種
爬虫類 オキナワキノボリトカゲ 奄美・沖縄諸島固有亜種、絶滅危惧Ⅱ類
爬虫類 オキナワトカゲ 琉球列島固有亜種
爬虫類 ヘリグロヒメトカゲ 琉球列島固有亜種
爬虫類 小型スキンク科 -
爬虫類 アオカナヘビ 琉球列島固有種
爬虫類 リュウキュウアオヘビ 奄美・沖縄諸島固有種
爬虫類 ガラスヒバァ 奄美・沖縄諸島固有亜種
爬虫類 ハイ 徳之島・沖縄諸島固有亜種、準絶滅危惧
爬虫類 ハブ 奄美・沖縄諸島固有種
両生類 ハナサキガエル 沖縄島固有種、絶滅危惧Ⅱ類
昆虫類 オキナワツヤハナムグリ 沖縄島固有亜種
昆虫類 オキナワクマバチ 琉球列島固有種

このようにマングースは、沖縄島の在来生物に大きな影響を与え、沖縄固有の生態系を脅かしています。

yecの取り組み~マングース防除事業~

マングースの北上に伴い希少種が見られなくなってきたことから、沖縄県、環境省、沖縄総合事務局北部ダム事務所、在沖米海兵隊や琉球大学などが、1990年代からマングースの研究や防除に取り組んでいます。その中でyecは、こうした関係機関と共同研究に取り組み、マングース防除へ向けた対策や実験を第一線で実行しています。

写真・データの引用元:『マングースの話(沖縄県文化環境部自然保護課)』

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