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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

安全安心のために ダムの長寿命化

  • 河川・水工

私たちの生活を支えてくれるダムを長持ちさせるために、どのような工夫をしているのでしょうか?今月は、ダムの長寿命化についてご紹介します。

~生活を守るダム~

これからのダムのあり方

Written by Tuboi 坪井隆一

日本では、「ため池」といわれるようなものを除くと本格的なダム建設は1,900年ごろにはじまり、1,950年以降になると日本各地に多くの大規模ダム(通常、高さ15m以上をダムと言います)が建造されてきました。

それ以来現在に至るまで、これら多くのダムがわたしたちの生活を水害から守り、水道用水や水力による発電が供給され、わが国では安全、安心で便利な社会生活を築き上げてきました。

また、これからも、わたしたちの子孫の世代に、安全、安心で便利な生活を守り、未来へつないでいくためには、将来に亘ってこれらのダムが能力を発揮し続けることが前提となります。

しかしながら、これら多くのダムも、自家用車やバスのように点検・整備を繰り返して、場合によっては町中でみられるマンションや住宅建物のように、改築やリフォームを行っていかなければ、もともと持っている能力を長期的に発揮することはできません。

特に21世紀からは、これまでに造られてきた多くのダムを修繕、リフォームして、長年に亘って利用できるように整備していく時代になっています。

日本の既設ダム データ出展:ダム便覧

ダムの長寿命化とは?

ひとくちに"ダム"といっても、その構造は様々で、土からなるもの、コンクリートで造られたもの、直線的なものから曲線的なものまで形も様々です。また、ダムに貯めた水を下流河川に放流したり、その水で発電を行うためのゲート設備や発電機などのように、鉄やステンレスでできた部位や設備、機器も持っています。さらに雨や台風の状況を察知し、下流に流す水量をコントロールするための観測装置やコンピュータも備えています。

ダムの長寿命化とは、このように様々な設備をその状態を見ながら大切に末永く使っていくだけでなく、ときにはメンテナンスフリーの材質のものやエネルギー消費が少なくてエコなものに交換することも必要になります。そして限られた費用を設備の特徴に応じて効果的に使っていくことが重要です。

また、"ダムの長寿命化"を考える際に避けてとおれない課題として、設計時に想定した以上の外力の作用があります。もともとダムは100年間使う構造物として設計、建設されていますが、より長く使うためには昨今の東日本大震災や台風などの災害のように、大規模な地震や洪水に遭遇するリスクも考えなくてはなりません。

特にダムは常に大量の水を貯留しており、多くの人々の生活を支えているだけでなく、ダムの安全性が確保出来なくなると下流のまちを危険にさらす恐れもあります。

このような観点から、近年ではわが国で起こり得る最大級の地震を対象として、ダムが被災した際に、最悪の事態に陥らないような検討が行われています。

布引ダム 【布引ダム】
日本初の重力式ダム
(粗石コンクリート構造)
1900年建設、下流側からの撮影
布引ダム補強工事 【布引ダム補強工事】
貯水池側から撮影
(補強工事中のため水を抜いている)
布引ダムの補強方法 【布引ダムの補強方法】
今の設計基準に合わせてダムを補強

おわりに

よく"ダム"は"ムダ"とか、環境破壊の代名詞のようにいわれています。少なからず課題もありますが、これまでに造られてきたダムがあってわたしたちの生活が成り立っていることは事実です。

また、ダムは太陽光や風力と同じように、自然の水循環を利用してクリーンエネルギーを創り出すことが可能であり、エコな時代には欠かせない道具といえます。

わたしたちの生活に深く関わる道路や橋と同じように、これまで数多くのダムが整備され、利用されてきたダムを少し見直して、末永く大切に使っていくことがこれからの時代に求められています。

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