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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

空気で水を止める 川の環境保全とコスト縮減

  • 河川・水工

洪水を防いだり、農業用や水道用の水を蓄えるなど、私たちの生活に大きく関わるダム。今月は、そんなダムの仕組みについてご紹介します。 

ダムと下流をつなぐ

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ダム※1は洪水を防ぐ対策として一時的に水を貯めたり、農業用や水道用の水を蓄えたりするなど、多くの機能をもっていますが、ダムによって、その上流と下流で河川の環境が大きく変化してしまうため、いろいろなダムで様々な対策が取られています。

 

 

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ほとんどのダムには選択取水設備というものが設けられていて、ダムからの放流により、下流における水温や濁度などの水質を、ダムができる以前と変化しないようにしています。

一般に、ダムの湖底は夏でも約4℃※2の冷たい水が残ってしまうため、この冷たい水が下流に流されてしまうと、我々が川で泳ぐことが出来ないだけでなく、川に住んでいる魚や、川の水を利用する農作物※3 にも被害が及んでしまいます。

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選択取水設備※4は、日本では昭和30年ごろからダムに導入され始め、環境保全意識の高まりと共に昭和50年代に建設のピークを迎え、ほぼダムの標準装備となり、国内では1000※5が稼働しています。

これまでに建設された選択取水設備では、比較的小さな取水量(毎秒5m3※6以下)に適した多孔式という型式が最も多いのですが、より大きな取水量に対応するため、下図のような直線多段式や円形多段式という型式も多く使用されています。 

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実物の写真は、水門メーカ※7各社のホームページ(IHIインフラシステム(株)丸島 アクアシステム(株)豊国工業(株))で紹介されています。 

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直線多段式や円形多段式などの従来の選択取水設備は、大規模な鋼構造※8として建設され、数10tonから数100tonのゲートを引き上げる必要があったため、多大な建設コストが必要となっていました。また、水中に動く部分が配置されるため、定期的な点検や整備にも多くの費用がかかってしまいます。

そこで考案されたものが、沖縄の羽地ダム※9で採用された空気ロック式(サイホン式)取水設備です( 参考:「ダム便覧」(財)日本ダム協会 )。

逆U字形に設置された取水管頂部における空気の出し入れにより、取水管の止水(ロック)と通水(解除)を行い、適切な水深の取水管から取水できるようにしたものです。 

開閉装置が従来のワイヤロープウィンチ式※10ではなく、コンプレッサーとレシーバタンク、給排気管、給排気弁などの機器で構成された軽量でコンパクトな装置であることや、水中に可動部が無くメンテナンスが不要※11であるため、建設費や維持管理費の大幅な縮減が可能となりました。

更にきめ細かい取水操作に対応するため、羽地ダムで逆U字形だった取水管を逆V字形とすることで、取水管の連続的な配置を実現した連続サイホン式取水設備が開発されています。連続サイホン式取水設備は、志津見ダム※12を始め国内7つのダムで採用され、従来型に比べ総額で約60億円(当社試算額)の建設コストを縮減できました。 

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八千代エンジニヤリングは、連続サイホン式取水設備開発の他、ダムの水質に関する調査及びシミュレーションの実施や、水質改善設備の設計を通して、川の環境保全に取り組んでいます。

また、ダムや水門等の各設備について、効率的なメンテナンス計画を作成し、長期的な維持管理費の縮減に貢献しています。 

 

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