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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

道路交通騒音対策 静かに眠れるまちを目指して

  • 環境

道路交通騒音は私たちの生活で大きな問題となっており、国・道路会社・自治体など関係機関においては総合的な施策が推進されています。今月は道路に面する地域の環境基準と騒音対策の全体像をご紹介します。 

道路交通騒音状況

face_f82-shino.jpg沿道騒音の状況として、「道路に面する地域」の環境基準を超えている住居等は約9%と報告されています(環境省:平成22年度自動車交通騒音実態調査報告)。

・皆さんのお住まい付近の道路交通騒音状況は「環境展望台」 (環境GIS)((独)国立環境研究所HP)で確認できます。

 h4_f82-01.jpg

環境基準は人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準のことで、「道路に面する地域」の基準値(非近接空間)は次表のようになっています。

「道路に面する地域」とは、道路交通騒音が支配的な音源である地域と定義され、道路境界から何mの地域とは定められていません。

 img_f82-1.jpg

 

但し、「幹線交通を担う道路に近接する空間」については、特例として地域の区分が住居系・商工業系に拘わらず次表の基準値となります。

img_f82-2.jpg

ここで、騒音レベルはdB(デシベル)で表し、その大きさは騒音の目安(都心・近郊用)のとおりです。

 img_f82-3.jpg

 騒音の目安(都心・近郊用) 
出典:「騒音の目安」作成調査結果について(末岡、内田、菊池、鴨志田、門屋、田中)全国環境研会誌 Vol.34 No.4 

次に自動車騒音について説明します。

まず、1台の乗用車が直線道路を走行したとすると、皆さんが聞こえる騒音レベルの変動は自動車騒音のパターンのようになります。実際の道路ではバス・トラックなどの大型車も連続して走行するので、それらが重なり道路交通騒音の変動イメージのようになります。このように道路交通騒音は一定レベルの騒音ではなく、変動する騒音なのです。

  • ・基準値の評価は昼間、夜間の時間帯における等価騒音レベル(各時間帯で変動する騒音レベルのエネルギーに着目して時間平均値を算出したもの)であり、最大騒音レベルではありません。

 

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               自動車騒音のパターン                           道路交通騒音の変動イメージ

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道路交通騒音対策については、①発生源対策、②交通流対策、③道路構造対策、④沿道対策、に区分することが多いので、それぞれについて簡単にご紹介します。

①発生源対策
発生源となる自動車本体の対策で、1) 単体対策としての二輪車の加速走行騒音低減・四輪車のタイヤ騒音低減の規制強化などの改善、2) ハイブリッド車・電気自動車などの普及促進、があります。

②交通流対策
交通量の分散化・抑制、各種の交通規制を行う対策で、1) 環状道路・バイパスなど道路網整備、2) 物流合理化による交通量抑制、3) 交通管制の高度化・バス専用優先レーン設置・速度規制・大型貨物車の時間通行規制・大型車の中央寄り車線通行指定、があります。

  • ・道路網整備で新しく道路ができると、旧道は交通量の減少により騒音が改善されますが、新道には環境基準を満足するよう十分な対策が必要です。
  • ・大型車1台の騒音エネルギーは小型車の4~5台分であることから、大型車交通量の削減は道路交通騒音の低減にとって重要なことです。
  • ・例えば、交通量が半分(1/2)になっても騒音は3dB程度しか減らないので、大型車を対象に交通量を削減することが有効です。

 

③道路構造対策
道路構造による騒音低減対策で、1) 基本道路構造と遮音壁/吸音板設置、2) 路面改良、3) 環境施設帯設置、があります。

1) 同じ交通条件で試算した基本道路構造毎の騒音分布図から、それぞれの特徴について説明します。


・騒音レベルは路面の高さ又は遮音壁の高さより上方で大きく、遮音壁や吸音処理により騒音レベル分布に改善がみられることがわかります。

 img_f82-11.jpg

 

 

 

【平面】
大きな騒音レベルが広く分布しますが、現実的には沿道に建物があるとその背後の騒音レベルは小さくなります。img_f82-5.jpg

              平面構造騒音分布                        遮音壁による騒音対策効果

 

【高架・盛土】
騒音レベルは路面より高い近傍の範囲で大きく、低い範囲では小さくなります。

img_f82-6.jpg               高架構造騒音分布                        遮音壁による騒音対策効果

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               盛土構造騒音分布                       遮音壁による騒音対策効果

【切土】
騒音レベルは近傍で大きいですが、道路から離れるに従って小さくなります。
 

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              切土構造騒音分布                        遮音壁による騒音対策効果

【掘割】
側壁による反射音・拡散音があるため騒音レベル分布は広がります。

img_f82-9.jpg

              堀割構造騒音分布                         吸音処理による騒音対策効果

【半地下】
騒音レベルが最も小さいですが、近傍は高さ方向にも配慮が必要です。

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              半地下構造騒音分布                       吸音処理による騒音対策効果

2) 路面改良としては、一般の舗装では走行する車のタイヤの溝と路面の間に挟まれた空気の逃げ道がなく、エアポンピング音が発生するので、空隙率の高い多孔質の排水性混合物を表層に用いた舗装(排水性舗装)を敷設するとタイヤ騒音の抑制や車両音の吸収効果があります。最近では、更に騒音低減効果のある二層式排水性舗装、多孔質弾性舗装などが研究開発されています。

  • ・排水性舗装は、車の制動距離が短くなる、降雨時のスリップも少なくなるなど、交通安全上も優れています。
  • ・課題としては、敷設後数年経つと空隙の目詰まりにより騒音低減効果が減少することです。

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排水性舗装の騒音低減イメージ

3) 環境施設帯とは、幹線道路の沿道の生活環境を保全するための帯状の道路の部分をいい、植樹帯、路肩、歩道、側道などで構成されます。

  • ・新たに環境施設帯を設ける場合、車道から住居までの距離が離れることで減音効果が期待できますが、状況によっては沿道にあった建物が撤去され、背後地の住居に直接音が到達するので、遮音壁の設置などについて考える必要があります。
  • ・その際、道路端が背後地の住居側に移るので、「非近接空間」から「近接空間」となり、基準値は緩くなるため現況より環境は悪化する可能性があります。
  • ・新設道路の沿道も同じことですが、新しく適用される環境基準は必ず満足するよう対策しなければなりません。

 

④沿道対策
沿道での騒音を低減する対策で、公園緑地・バッファービルなど緩衝空間・緩衝建物の配置、沿道住宅の防音化があります。

道路構造対策、沿道対策については、道路交通騒音対策の模式図のとおりです。

 

img_f82-12.jpg

道路交通騒音対策の模式図

 

騒音対策の大まかな効果量について各種対策効果の目安に示しますが、条件によって大きく異なるので、あくまでも参考として下さい。地域の状況に応じて、これらの対策を組み合わせ、総合的かつ計画的に対策を推進していくことが望まれます。

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来月は具体的な騒音対策として、遮音壁関連を中心にご紹介します。

 

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