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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

再生可能エネルギー 地中の熱でイチゴを育てる?

  • 研究開発

いま注目を集めている再生可能エネルギー「地中熱」をご存知ですか?
今月は岩手県久慈市で実施した、地中熱を利用したイチゴ栽培についてご紹介します。

再生可能エネルギーの活用

Written by iwamoto jyun 岩本淳東日本大震災の被災地で、再生可能エネルギーの活用によって、復興に結び付くような新たな地域産業づくりのお手伝いをしています。

 

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地下大深度のマグマによって高温となった蒸気等をエネルギー源として発電等に利用する地熱と、地表浅くの恒温エネルギーを温熱・冷熱として利用する地中熱とは、似て非なるものです。

四季のある日本では、気温が夏は40℃、冬は摂氏ゼロ℃以下と大きく変動することが特徴です。一方で、地表から浅い地中の温度は年間通じて15℃前後とほぼ一定となります(図1)。
この地表近くの熱エネルギーを地中熱と呼んでいます。地中熱の恒温性を上手に利用すると大幅な省エネが実現できます(参考:NPO法人地中熱利用促進協会)。

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図1:1年間における気温と地中温度の変動イメージ(出典:NPO法人地中熱利用促進協会HP)

最近では、東京スカイツリー地区の地域冷暖房や小田急東北沢駅と世田谷代田駅のホーム等の冷暖房に利用され、大規模施設への導入が加速しています。

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東日本大震災の被災地となった岩手県久慈市で、平成24年度に震災復興支援モデル事業を実施しました。

久慈市が位置する岩手県北三陸地方は「やませ」の影響により夏場でも冷涼な地域です(図2)。
この地域特性に着目し、地元でイチゴ栽培を頑張る農家にご協力を頂き、夏場に収量が激減し市場価格が高騰するイチゴの夏季生産に挑戦することになりました。

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図2:久慈市と主要なイチゴ産地の平均気温比較

 イチゴは夏に気温が上昇すると花芽分化がしにくくなり開花せず、実をつけません。そのため夏でも涼しい久慈市は、夏イチゴの栽培に適していると言えます(図3)。

img_f96-3.jpg図3:東京中央卸売市場における「イチゴ類」の月別入荷量及び平均価格
(出典:農林水産省HP 平成22年青果物卸売市場調査報告より作成)

 さらに、生産コストをなるべく抑えるために、温度管理に省エネ技術の地中熱ヒートポンプシステムを導入しました(図4)。

img_f96-4.jpg図4:イチゴ栽培に導入したシステム

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 2012年の夏に導入したシステムは、順調に稼働し、地中熱を利用した温度管理によりイチゴの収穫期間が延びたため、例年に比べて収穫量が増加しました(写真1、2)。

収穫したイチゴは、「道の駅くじ やませ土風館」で久慈産イチゴ「こはく姫」の名称で好評販売しています。(写真3)

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写真1:導入したシステムの様子

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写真2:システムを導入したハウス内のイチゴ栽培の様子       写真3:収穫したイチゴ「こはく姫」の販売の様子

 また、収穫したイチゴのPRと地域振興のため、yecは「第43回久慈地方産業まつり」(2012年10月20日~21日)に参加し、イチゴを使ったデザートの販売を行いました。

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地中熱の利用により、駅ホームの空調の年間のコストを30%削減できるという事例や、都心オフィスビルの年間電力消費量が半減したというレポートもあります。

このように省エネ効果を大いに期待できる地中熱ですが、なかなか思うように普及がすすみません。その理由は色々ありますが、一般的に知名度が低く、また目に見えない地中のエネルギーなので、導入適地がわかりづらいことが挙げられます。

そこで、八千代エンジニヤリングでは、地域住民に地中熱を紹介する立場の地方公共団体に対して、地中熱エネルギーがどこに存在するのかを分かりやすく伝える工夫も行っています(このお話は、来月ご紹介します)。

yecは今後も業務や研究、地域活動を通じて、地中熱利用事業の普及に貢献していきます。

 

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