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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

新交通システム ~新たな交通システムへの取り組み~

  • 道路・鉄道

yecでは国内・海外を問わず様々な交通システムの調査・計画・設計に携わっていますが、ここでは国内で検討してきた幾つかの特徴ある新たな交通システムに絞って、導入計画の検討概要について紹介します。 

新交通システムとは

face_f102-sugawara.jpg 皆さんは新交通システムと聞くと何を思い浮かべるでしょうか。以前なら沖縄県のゆいレール(小型モノレール)や無人運転のゆりかもめ、最近では中央リニア(リニアモーターカー)といったところでしょうか。
新交通システムという言葉に法的な定義はなく、多くの交通システムが該当します。

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 中央リニアモーターカー(以下、リニアと略記)新幹線については2027年に品川駅~名古屋駅間の開業を目指しており、yecではA県におけるリニアの活用方策として、新駅の需要予測、経済的な波及効果、そのために必要となる新駅への交通アクセスや道路整備等のインフラ整備の在り方について検討しました。

また別途調査で、羽田空港と成田空港をリニアで連結することで、2つに分離している東京国際空港を一体的に機能させるという構想についても検討しました。両空港を連結することでアジアにおける国際空港としての機能や競争力を高めるという効果が期待されます。

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小型モノレールについては沖縄のゆいレール開業以降、他地域での導入検討は進んでいないというのが実情です。yecでは地方都市であるB市における基幹的な交通システムとして小型モノレールや後述するLRT等についての導入を比較検討しました。小型モノレールの特徴として、フルサイズのモノレールに比べてコストを抑えられることや限られた道路空間を活用できること、また鉄軌道システムに比べて線形条件の厳しい地域での導入が可能となることが挙げられます。B市では高架構造物に係る整備費や維持費等のコスト面や採算性、高齢者の利用の面で課題が残り見送りとなりましたが、高低差のある地形条件にも適した小型モノレールは他都市も含めて検討の余地がありそうです。

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小型モノレール

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 LRTについては路面電車が走行している都市で多数導入されていますのでご存知の方も多いと思いますが、一般的には次世代路面電車と訳され、旧型の路面電車との差別化が図られています。富山市のライトレールが代表的な導入事例として、また最近では栃木県宇都宮市での新規導入に向けた取り組みが話題となっています。

yecではC市においての導入可能性について検討し、ルートから運行計画・需要予測・採算性・交通事業におけるPFIも含めた公設民営による事業手法の可能性等について検討しました。LRTを新規に導入する場合、車両基地等の関連施設の整備も含めた1キロ当たりのコストが約27億円(ルートや駅間等により変化)となり、国庫補助等の支援制度があるものの実現には至っていません。

LRTの先進国である欧州ではLRTを活かしたまちづくりとしてトランジットモールが整備され、地域の活性化や環境面での改善にも貢献しているようです。その欧州でもLRTの運営に対しては実質赤字という状況であり、公共が財政的な支援をしています(グラフ参照)。自動車関連の税金をLRTやトランジットモール、まちの周辺部に配置する無料駐車場の整備費として充当するなど、資金調達の仕組みが確立されている点が参考になります。

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LRT

【参考】海外の都市交通における公的補助の実態(出典:都市と路面公共交通/学芸出版社)
○海外の都市鉄道の多くは公的な補助の割合が概ね40%前後に分散しています。
○新たな交通システムを導入する際の事業方式においては公的な補助を前提とした検討も必要ではないでしょうか。

 

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 BRTは高速バス輸送システムと訳されているようですが、決して高速道路を走行している都市間高速バスという意味ではなく、LRTのように専用の走行空間や駅のような改札システムを採用することにより効率的なバス運行を目指しているものを意味しています。

日本では、鹿島鉄道線や日立電鉄線、東日本大震災で被災した気仙沼線や大船渡線の鉄軌道廃線区間で導入されています。あくまでも鉄道廃線区間の代替手段として導入された日本のBRTは他国のBRTと見た目も使われ方も異なるようです。

 yecではC市においてBRTの導入について検討し、現在は第一段階として連節バスによるBRTとフィーダーバスとの結節点の整備等が進められています。海外のBRTではバス車両として連節バスを採用している事例が多いのですが、国内で連節バスによるBRTはC市が初の事例となりそうです。

 

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赤字ローカル線を廃止した場合でも、その鉄道線路を活用して地域のバス交通として運行できるようにとJR北海道が開発した鉄道線路と道路の両者を走行できる交通システムがDMVです。実証実験が各地で行われましたが、yecではD市において基幹的な公共交通軸の形成としてのDMV導入計画について検討しました。ローカル鉄道沿線の拠点とバス交通中心の拠点、JR駅等、分散している拠点間をDMVで接続して基幹軸を形成し、市街地の拡大を抑制したコンパクトシティや地域の活性化を目指そうとしています。DMVについては多くの自治体から早期の導入が望まれていますが、独自の技術指針が検討されている段階であり、実現までには相当の時間を要すると思われます。

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DMV

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 yecが受注してきた新たな交通システムの導入における検討調査は、ルートや運行計画、需要予測等の技術的な検討が中心です。

しかし、これら技術的な検討に先立ち、交通体系における位置づけや導入を判断する段階での合意形成、また、基幹的な交通軸の形成と同時に実施すべきバス路線の再編の検討が極めて重要になってきます。新たな交通システムの特徴を活かした交通体系の確立やまちづくりを実現するためには、検討の初期段階で導入の目的や意義を明らかにし、市民や関係機関との合意形成を図ることが不可欠です。

総合建設コンサルタントであるyecの有する、まちづくりや合意形成、交通システムに不可欠なインフラ整備の設計に関する技術や実績を活かした取組を進めていきます。

 

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