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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

視覚障がい者の移動 エスカレーター利用について考える

  • 社会計画

視覚障がい者は視覚的な情報が制限されるため、移動をする際にも色々な場面で困ることがあります。
今月は、視覚障がい者が駅でエスカレーターを利用する際のニーズや課題について紹介します。  

全ての人が暮らしやすい社会を目指して

face_f104-kitano.jpg視覚障がい者がスムーズに移動できる環境を整備することを目的として、現地調査やアンケート調査を行い、視覚障がい者のエスカレーターへの誘導に関するニーズや安全に利用するための課題を整理しました。

 

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駅などの旅客施設では、階段やエレベーターには視覚障がい者誘導用ブロック(以下、誘導用ブロック)が敷設されていますが、エスカレーターには誘導用ブロックが敷設されていないので視覚障がい者の方がエスカレーターの位置を把握することができません。これは視覚障がい者の方が常に動いているエスカレーターを利用することが危険だと考えられているためです 。

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階段にし敷設されている誘導用ブロック
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エスカレーターには誘導用ブロックが敷設されていない
 



しかし、ある調査の報告によるとエスカレーターに関する事故は高齢者や酔った客によるものが多いという結果が出ています。そして、今回実施したヒアリングやアンケート調査からも視覚障がい者の事故が特別に多いということは確認できませんでした。

また、多くの視覚障がい者の方がエスカレーターを利用していてニーズが高いことが分かりました。エスカレーターが便利だから利用するという方だけではなく、階段は「対向してくる人とぶつかってしまう危険性がある」、エレベーターは「ボタンの位置が分からない」「方向感覚を失う」などの理由からエスカレーターを利用するという方も多く、「自分たちの利用したいものを選択できる環境にしてほしい!」という意見があげられました 。「自分たちの利用したいものを選択できるようにしてほしい!」という意見が多くの視覚障がい者の方からあげられました。

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実際に視覚障がい者の方と駅のエスカレーターを利用してみて、どんなところで困っているかについて確認しました。
一般的なエスカレーターと特殊なエスカレーターという視点で整理をします 。

≪一般的なエスカレーター≫
一般的なエスカレーターでは次のような問題が生じます。 

  • ▸エスカレーターの位置が分からない
  • ▸エスカレーターの行き先が分からない
  • ▸2列以上並列している場合、上り運転と下り運転の方向の区別がつきにくい
  • ▸乗り継ぎが必要な場合に次のエスカレーターが分からない 
     
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エスカレーターで困ること
 



行先や運転方向等を音声で案内しているエスカレーターもありますが、「手すりにおつかまりください」「黄色い線の内側にお立ちください」など注意喚起が続くと、行先や運転方向の情報が提供されるまでに時間がかかり、すぐに欲しい情報を把握することができないことも問題としてあげられていました。 

≪特殊なエスカレーター≫
通常のものとは異なる特殊なエスカレーターについて次のような問題点があげられました。。

  • ▸途中でフラットになるエスカレーターはフラット部分で降り口と間違える可能性がある
  • ▸時間により運転方向が変わるエスカレーターは誤進入をする可能性がある
  • ▸高速で運転しているエスカレーターは知らずに乗るとバランスを崩す可能性がある

 

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途中でフラットになるエスカレーター
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時間により運転方向が変わる
エスカレーター
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高速運転するエスカレーター


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今回、様々な調査をしてみて多くの視覚障がい者の方が、エスカレーターを利用していることや特別に危険があるわけではないことが確認できました。また、情報提供が十分でないためにスムーズに利用できない部分があることを把握しました。

現在、視覚障がい者をエスカレーターに誘導していませんが、利用を禁止しているわけではありませんので安全に利用するための環境をつくる必要性は高いと考えています。そのためには迷わずに利用するための情報提供は重要な要素です。

視覚障がい者が迷わすに円滑に移動できるようにするためには、現在整備されている音(声)案内を充実させることが考えられます。例えば次のようなものがあります。

・エスカレーターの上り運転は男性の声、下り運転は女性の声で情報を提供する
⇒エスカレーターの運転している方向が分かり易くなる。

・2つのスピーカーを使って乗り口付近のスピーカーでは行先や運転方向の情報を提供し途中のスピーカーで注意喚起の情報を提供する
⇒必要な情報がすぐに把握できるようになる。 

 

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スピーカー設置の工夫
 

次に視覚障がい者の方からも多くの要望があげられましたエスカレーターへの誘導用ブロックの敷設による情報提供が考えられます。

ただし、階段などに敷設している誘導用ブロックと混在して分かりにくくなることや、時間により運転方向が変わるエスカレーターへの誘導の仕方などを考えなければいけません。また、少数ですがエスカレーターを利用したくない視覚障がい者の方もいますし、鉄道事業者との調整も必要です。このような状況を踏まえると単純に誘導用ブロックを敷設することができず様々な条件を考慮しながら、音声案内などを併用しながら検討することが必要になります。

2013 年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(差別解消法)」が制定されたことにより、例えば、盲導犬を連れた人がレストランの入店を拒否されるなど障がいを理由とする差別の解消について、サービス提供者は大きな負担を伴わない限り、それぞれの障がいに配慮した対応をすることが求められる環境が促進されつつあります。  

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本調査から把握した現状や問題点を踏まえて次の3点を今後の方針として設定しました。

①エスカレーターを利用したいと思う人が選択できる環境(利用したくない人が利用しないように選択することも含む。)を向上させることを前提とする必要がある。
②エスカレーターを選択することができ、迷わず利用するために音声案内の整備を充実させることや音声案内の情報提供の方法について検証を行う必要がある。
③駅の構造、エスカレーターの配置、動線の状況などの条件を踏まえて、誘導用ブロック活用に向けた検証を行う必要がある。

今回は視覚障がい者のエスカレーターの利用という点で調査を行いましたが、地域の中には様々な障がいのある方がいて、色々と困る場面があります。障がいの有無に関わらず、誰もが安心して地域の中で暮らせるよう配慮したまちづくりを行うことは重要です。そして、周囲の人がほんの少しでも支援をしようという気持ちを持つこともとても重要なことです。 

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