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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

地中熱を利用しよう! 再生可能エネルギーで省エネ

  • 環境

地中熱は今注目を集めてる再生可能エネルギーのひとつです。今月は、地中熱をもっと利用してもらうためのyecの取り組みについて紹介します。

地中熱を利用しよう!

Written by 西山浩平 nishiyama kouhei先月は、地中熱の利用によって大きな省エネ効果が期待できることをお伝えしました。
では、日本国内ではどれくらい利用されているのでしょうか?

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最近では、東京スカイツリーや羽田空港の国際線ターミナルなど、都心の大規模施設にも積極的に地中熱が利用されています。しかしながら、環境先進国のヨーロッパやアメリカ、成長著しい中国に比べると、日本国内では地中熱の導入は遅れているのが現状です。

地中熱は、太陽光発電の太陽光パネル、風力発電の風車、水力発電のダムや水車とは違い、そのエネルギーを目で見ることができません。そのため、地中熱というエネルギーがどこにどの程度あるのかを「見える化」することは、市民の皆さんや企業が地中熱の利用を判断する際に、重要な情報となります。

そこでyecでは、地中熱を「見える化」する手法を開発し、導入適地マップを作成しました。

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地中熱は、一般的にはヒートポンプという装置によって、冷暖房や給湯のための熱源として利用されます。

日本中のどこでも、地中の温度は年間を通して年間平均気温程度でほぼ一定であることが、地中熱の大きな特徴です。この地中の温度特性により、図1で示すように、冬は外気より温度が高い地中から熱エネルギーを供給(採熱)し、夏は外気より温度が低い地中へ熱エネルギーを排出(放熱)することができます。

これにより、従来の空気を熱源とするエアコンの空調システムに比べて、無理なく効率的な空調システム運転が可能となり、結果として大きな省エネ効果が生じることになります。

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図1:地中熱利用ヒートポンプシステム模式図

 

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では、地中熱を利用する効果が高いのは、どのような場所なのでしょうか。

先ほど述べたとおり、冷暖房時に地中では放熱や採熱が行われるわけですが、この現象を熱交換と呼びます。この熱交換の効率が優れている地域が、地中熱を利用する効果の高い場所だと言えます。

地面の下で熱交換をするわけですから、地下がどのような状態にあるかを考えると、熱交換の効率が良い場所と悪い場所がわかってきます。地下には、その地盤を構成する地質材料とその間隙中を流れる水(地下水)が存在しています(図2参照)。地中の熱交換効率は、この「地質」と「地下水」の状況によって大きく変わります。

例えば、地下水位が地面のすぐ下にある場合は、地下水位が低い場合よりも大きな熱交換が期待できます。また、地下水がたくさん流れている(流速が早い)場所では、熱交換効率はさらに大きくなります(図3参照)。

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図2:山地と平地の地質

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図3:地下水の有無による熱交換効率の違い(イメージ)

 

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長野県の松本盆地を対象にして、地質や地下水環境を整理し、さらに地中熱を利用した冷暖房システムを運転した場合のシミュレーションを行いました。この時のシミュレーション結果を図4のとおり可視化し、GISを用いて導入適地マップを作成しています。

図4は松本盆地の暖房時の熱交換量を示しており、暖色系ほど熱交換量が大きく、逆に寒色系ほど熱交換量が小さくなります。
また、図5は飽和度のマップです。地下水の水面が地表に近いほど「飽和度」が1.0に近づき、逆に地下水位が低いほど飽和度は0.0に近づきます。

この飽和度(図5)と熱交換量(図4)を見比べると、地下水面が地表面に近い(飽和度が1.0に近い)ほど熱交換量が大きくなることがわかります。このように、同じ地域内においても地中熱システムの導入効果が高い場所と低い場所があることを「見える化」することができました。

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 図4:熱交換量マップ                      図5:飽和度

 

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先ほど示した熱交換量の図ですが、熱交換量と言ってもピンとこない方が多いのではないでしょうか。そこで、もっとわかりやすい表現で、導入適地マップを作成したものが、図6と図7です。

これらの図面は熱交換量マップと同じように見えますが、図6はシステムを導入するときの初期費用(地中熱交換井のみ)を、図7はシステムを導入した際に期待できるランニングコストの削減額(従来の外気の熱交換による空調システムに比べて削減できる年間の電気代)を示しています。

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図6:システム初期費用(地中熱交換井のみ)               図7:ランニングコスト削減額

作成した地中熱の導入適地マップを活用して、地中熱の普及を促進する立場である地方公共団体や、実際に導入する市民や企業の方々に、もっと地中熱の利用をすすめてもらい、環境に優しく持続可能な社会の形成に役立ちたいと考えています。

【参考】
地中熱導入適地マップ作成のご提案

【関連研究の学会発表歴】
1.冨樫ほか(2013):広域を対象とする地中熱ポテンシャル評価手法の提案,日本地下水学会2013年春季講演会
2.西山ほか(2013):水文地質情報に基づく簡易的地中熱ポテンシャル評価手法の提案,日本地球惑星科学連合2013年大会
3.冨樫ほか(2013):広域を対象とする地中熱導入可能性の評価手法に関する一提案,平成25年度日本応用地質学会研究発表会

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