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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

景観設計とは? 美しく、心地よい環境を考える

  • 河川・水工

建設コンサルタントの業務に『景観設計』という仕事があります。今月は、あまり一般の方々には知られていない景観設計についてご紹介します。

景観設計って、何?

Written by takasu hiroyuki 高須祐行

景観設計という仕事、一般の方々にはあまり馴染みがないと思いますが、簡単に言うと景観を良くするために構造物をデザインしたり、自然を保全したり、仕組みづくりを考える仕事です。

本来なら計画・設計の段階で景観面の配慮をすることが理想的なのですが、時間的な制約等で中々そうはいかないようです。公共事業は国民の税金で賄われる事業ですので、少しの努力で我々をとりまく景観がより美しく、心地よい環境になると良いですよね。ここでは我々が景観設計で心がけていることを少しご紹介します。


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景観設計をするとお金がかかると思っている人が多いと思います。大規模な公共事業では、多岐に渡る分野が関わっているため、総合的な観点でデザイン面の調整をすることは少ないのです。景観設計では事業全体を俯瞰し、機能を統合する、敷地の有効利用を図るなど、無駄を削り取った上でデザイン的に良いものを提案していくのです。人の集まる場所や目立つ場所には予算を投入しますが、それ以外は徹底的に予算を削るなど、メリハリの利いた提案により、事業全体の経済的負担にならないように心掛けています。

これはダムを管理する建築建屋と車庫、艇庫、階段棟、通信鉄塔、外来者用トイレの機能を統合し一つの構造物としてデザインしたものです。トータルの建設費を増やさないで、デザイン性を高めているのです。

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景観の主役は、自然地であれば森や山々からなる自然であり、都市で言えば人々が息づくまち並みや街路です。我々が構造物をデザインする際には、まず、その空間へのおさまりを考えます。景観設計とは、奇抜なものや目立つものを作ることではないのです。

重要視する要素の中に、トータルデザインとデザインスケールという観点があります。
◇トータルデザイン:高額な景観材料を使わなくても、基本的な色・素材・形を統一すればある程度の整った景観とすることができます。
◇デザインスケール:人々が直接触れるような対象は、ディテールに拘りますが、何百メートルも離れた位置から見る巨大構造物には細かい造形は必要ありません。

広場の平面計画図を見せると、スカスカで見栄えが悪いのでもっと描きこめと言われたりします。実際に出来上がってみると、適度な囲まれ感と解放感のバランスが取れていることが分かっていただけます。

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この写真は河口堰の脇に人工的に作られた魚道です。
まるで自然の小川のようにデザインされているので、言われなければ人工構造物だとは気付きませんよね。その場に違和感なく存在するようにデザインすることが、公共事業の景観設計で重要なことだと考えます。人によっては、整備費をかけたように見せなければ意味が無いという人もいます。しかし、景観屋にとっては、『何をしたかわからないけど』って言われることが最高の褒め言葉なのです。

 

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この写真は、大規模公共事業で発生した土捨場を森に復元する活動をする地域住民の様子です。子供たちにどんぐりを拾ってもらい、小学校で苗木に育て、地域住民の手で植栽してもらいました。10年後の現在では大分森らしくなり、周辺の美しい自然景観の一部として溶け込んでいます。このような、地域の人々が誇りを持てる風景づくり、子供たちが愛着を持てるような意識づくりや仕組みづくりも景観設計の重要な手法なのです。

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今後も、プロジェクトに関わった人や地域住民の皆さんの笑顔が少しでも増えていくようなコンサルティングをしていきたいと思います。

《参考》

土木学会賞デザイン賞2014

グッドデザイン賞2013

 

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