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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

砂の不思議 砂場でトンネルを作るには

  • 道路・鉄道

今月は、土の不思議についてお話しします。キーワードは、”メニスカス”という言葉です。

”メニスカス”って何?

Written by matsuda yoshinori 松田義則

みなさん、小さいころに砂場でトンネルを作ったことはありませんか?
さらさらとした砂なのに、その砂で作ったトンネルに、なぜ穴を空けることが出来るのでしょうか…。


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img_f115-01.jpg容器の中に細い管を入れると水が上がってきます。みなさんご存じの毛管現象です。上がってきた水の表面は凹型の曲面になっています。この曲面をメニスカスといいます。そこでは表面張力が働いて水を吸い上げています。その水は引っ張られているため、管を縮めようとする力が働いています。

ちっちゃい時によく作った砂場のトンネルの土は、砂つぶと水と空気でできています。水は砂つぶにくっついてメニスカスが出来ています。ここの水は縮もうとしているので砂つぶどおしを引きつけています。ちょうど、おもちゃのブロックをくっつけているような状態です。たくさんくっついたブロックは骨格をつくって頑丈になります。

これと同じように、土はメニスカスによって強度を持つことになります。この強度によってトンネルを掘ることができます。必要なのは水と空気。水がなくて空気だけではメニスカスがないので砂はバラバラです。空気がなくて水だけではメニスカスができないのでドロドロです。

砂地盤でトンネルを造っている工事現場に行った時、井戸などで水を汲み出したりしていました。土に含む水を調整してトンネルが崩れないようにするためです。

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モグラの巣穴を見てみます。土の中に穴があると地下水はそこに流れ込むように思えます。でもモグラの巣穴には水が入ってきません。
雨が降ると、水は土の中を流れて巣穴付近に到達します。しかし、そこには土のつぶの表面に水がくっついていてメニスカスが出来ています。メニスカスを作っている水は、容易に土から離れません。これが巣穴の表面付近にいっぱいできると水を通しにくいバリアができます。水はこのバリアに邪魔されて巣穴の中に入っていくのではなく、巣穴を避けて流れます。

でも、地下水面が下から上がってくると話は別です。土の中は空気がなくなって水だけになるので、メニスカスは消えてしまいます。そうなると水の流れは自由になり、巣穴の中に進入してきます。モグさんは引っ越ししなければなりません。

もうひとつ、植木鉢の話です。植木鉢の底には小さな石を敷きます。これは排水のためだと勘違いしがちです。ジョウロで適当な水をやるとどうなるか。水は土の中を流れて小石の上で留まります。小石との境界付近の土にメニスカスのバリアができているからです。水はここで溜まるため、花の根は水を吸いやすくなります。もちろん水をたくさんやるとメニスカスは水の重さに耐えきれなくなります。水は小石の方に流れます。

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長雨が続くとお天気の予報士さんは、地盤が緩んでいるので斜面のくずれに警戒してくださいと言います。地盤が緩むということを工学的に説明するとどうなるか。土砂の斜面を考えてみます。土は斜めでもかんばれるような強度を持っています。雨がたくさん降ると土の中の空気は追い出され、水の量が多くなります。そうなるとメニスカスはどんどん消えていきます。そして強度が小さくなり斜面が不安定になります。斜面崩壊のひとつの原因と考えられます。

 

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さきほど出てきたトンネルの現場監督さんは水の量を調整するのに大変苦労したと言っていました。土は、含む水の量で大きく性質を変えます。土をギュツと握る。指の跡がくっきりついたら大丈夫。砂場でもっと大きなトンネルが作れます。

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