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ダム

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ダム貯水池における水質の問題

ダムによって形成される貯水池では、上流から水と一緒に栄養塩や土砂が流れ込むことで、水質問題が発生する場合があります。
貯水池の水質問題としては次のようなものが挙げられます。

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・出水時などに、貯水池内に細粒土砂が大量に流入し、長期にわたって滞留することでダム放流水が濁った状態が長期的に生じる濁水長期化現象

・栄養塩を多く含んだ河川水が流入し、貯水池に滞留することで藍藻類等の植物プランクトンの異常増殖が発生し、アオコ等の水面の着色現象や異臭味(カビ臭等)が発生する富栄養化現象

これらの水質現象は水道水や湖面の利用、下流河川の生物環境等に悪影響を及ぼすことがあります。
このような貯水池における水質問題の改善を図るため、水質の変動特性を分析し、原因を推定・把握した上で、効率的・効果的な水質保全対策について検討を行います。

 

 

貯水池の水質保全対策検討の流れ

貯水池の水質保全対策の検討の大まかな流れを以下に示します。

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①水質変動特性の分析
 貯水池内水質データや、気象・流況・ダム運用等の分析を行い、ダム貯水池の特徴や水質変動の特性を把握します。

②水質問題の原因の推定・把握
 必要に応じて現地調査や水質シミュレーションを実施し、①の分析も踏まえて水質問題の原因を推定します。

③対策目標の設定
 貯水池の特性を踏まえて、濁水やアオコなどの水質問題の改善を示す指標と目標値を設定します。

④水質保全対策の抽出
 対策事例を収集し、貯水池への適用性や効果、費用等について概略的に比較評価し、対象貯水池で効果が期待できそうな対策を複数案抽出します。

⑤水質保全対策の効果の検討・選定
 ④で効果が期待できそうな対策について、対策シミュレーションを行い施設規模・配置位置・対策効果について検討し、最終的な対策を選定します。

⑥水質保全施設の詳細検討
 選定した対策について、詳細な位置や規模、運用ルール、費用等を検討します。

⑦対策施設の設計
 詳細検討に基づき、対策施設の設計、施工計画の立案等を実施します。

⑧対策施設の設置  

 

水質シミュレーションの概要 

貯水池の水質変動や対策時の効果を把握するために、水質シミュレーションを行います。
水質シミュレーションは、目的や貯水池の特徴に応じて、鉛直一次元モデル、鉛直二次元モデル、三次元モデルを使い分けます。各モデルの概要と特徴は次のとおりです。

①鉛直一次元モデル

貯水池を鉛直方向に分割して計算するモデルで、計算負荷が少なく長期的(10年~)な水理・水質予測が可能です。貯水池内の流動・水質が縦断・水平方向にほぼ一様となるような小規模貯水池等に適用します。

 

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②鉛直二次元モデル

横断方向の水質変化を一様と捉えて鉛直・縦断方向の水質変化を予測するモデルです。日本のダム貯水池形状で一般的に用いられているモデルになります。中期的(1~10年)な水質予測に用います。





 

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③三次元モデル

三次元モデルは、局所的な流動や水質変動や詳細な水質改善対策の効果を解析する際に用います。また三次元的(立体的)にデータを見ることにより、視覚的にわかりやすいといった特徴もあります。計算負荷が大きいため、短期的(1ヶ月~1年)な計算に用います。











水質保全対策手法

水質保全対策手法の一例として、貯水池のアオコ対策に用いられている水質保全施設について紹介します。

①曝気循環装置(図:散気式)

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下層・中層から散気管によって空気を放出(曝気)することで、循環混合を生じさせて表層水温を低下させることでアオコの原因となる藍藻類の増殖速度を低下させる施設です。また鉛直混合によって藍藻類濃度の高い表層水の希釈効果もあります。







②プロペラ循環装置

植物プランクトンを多く含む表層水をプロペラによって吸い込み、ホースを通じて貯水池深部から吐き出す装置です。表層の藍藻類濃度を下げるとともに、プランクトンを深部へ送り込むことによる光合成の抑制や死滅させる効果が期待できます。





③流動制御フェンス

不透水性のシートを貯水池の横断方向に設置し、上流から流入する栄養塩に富んだ流入水を深部に導入させる施設です。栄養塩の多い水の貯水池表層への供給を遮断することで、フェンス下流での植物プランクトンの増殖を抑制する効果が期待できます。




④選択取水施設

任意の水深から取水可能な放流施設により、上流から流入する河川水と同じ水温層から取水することで、栄養塩類の比較的多い水を早期排出し、富栄養化状態を軽減する効果が期待できます。流動制御フェンスと組み合わせることで貯水池内の流動制御が可能になります。



 

yecでは、水質シミュレーション等により、水質保全施設の設置効果を把握し、ダムごとに最適な水質対策手法を提案しています。

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