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ダム

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ダム総合点検・維持管理計画

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建設後30年以上が経過した
重力式コンクリートダムの例

社会資本の維持管理・更新は、我が国全体の大きな課題となっています。ダムは、治水・利水等の機能を有する重要な社会資本であり、その機能と安全性を継続的に保持することが求められます。平成25年の河川法改正により、河川管理施設及び許可工作物を良好な状態に保つように、河川管理者及び許可受者に対して維持・修繕の義務が明確化されました(河川法第15条の2)。現在管理中のダムでは、各ダムで定められた点検整備基準に基づく日常点検と、3年毎を基本とする定期検査が実施され、これらの結果に応じて補修や設備更新等の維持管理が行われてきましたが、長期的な視点を踏まえて、より効果的・効率的な維持管理を推進するため、平成25年10月に「ダム総合点検実施要領」が作成され、ダム総合点検の実施とダム長寿命化計画の策定が順次進められています。
弊社では、各ダムの目的や機能、地形地質、構造・施工条件等の特性に応じて、専門家の意見・助言を取り入れながら、ダム総合点検を実施するとともに、各設備の延命化、維持管理予算の平準化、コスト縮減を目的とした維持管理計画をご提案しています。
ダム総合点検と維持管理計画の概要について、以下にご紹介します。

ダム総合点検

ダム総合点検は、今後のダム維持管理方針を策定するため、特に長期的な経年変化状況や構造物の内部状態等に着目し、専門家からの意見聴取及び助言を取り入れて、ダムの健全性を総合的に調査・評価するもので、30年程度に一度のサイクルで実施します。ここで、30年という期間は、これまでの経験や記録の調査から、30年を境にダムの劣化が顕在化する傾向にあったことから定められたものです。

 

実施内容と手順

ダム総合点検の実施内容と手順は下図のとおりです。点検計画、健全度評価、維持管理方針については、概査の結果と当該ダムの特性や課題を踏まえて立案し、ダム・地質・施工等に関する高度な知見を有する専門家から意見・助言を受けて作成します。

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点検計画の立案 

対象ダムの既存資料(計画、調査、設計、施工、管理の各段階)の整理と現場状況の概査を行って、ダム土木構造物に関する課題を整理するとともに、基本調査で留意すべき事項と追加調査を実施すべき事項を明確にして点検計画を作成します。

基本調査・追加調査の実施

点検計画を踏まえて、以下①~③に示す基本調査を行います。

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また、個々のダムにおける課題や劣化状況に応じて、堤体のコア採取や物理試験、特殊機材の使用等の追加調査を提案します。

 

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船舶を用いたダム上流面及び貯水池傾斜の目視調査

 

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UAVを用いた堤体コンクリート変状調査

 

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ロープアクセスによる懸垂調査
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点検車を用いた天端橋梁調査
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ドリル法による中性化試験
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管内カメラを用いたドレーン孔調査
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高周波衝撃弾性波試験法によるクラック深度調査

 

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コンクリートコア採取と圧縮試験の状況

 

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ロックフィルダム堤体のピット調査(リップラップ材、ロック材の劣化調査)

 

コンクリートダムの堤体やフィルダムの洪水吐は、地上から構造物への近接が難しい箇所も多いため、アクセスが困難な場所では船舶やUAV等の利用、さらにロープアクセス技術等も活用し、コンクリート表面のクラックや摩耗等の変状調査を行います。
さらに、外観だけでは分からないコンクリートの劣化状況を把握するため、テストハンマーや高周波衝撃弾性波試験法等の非破壊・微破壊試験、堤体等のコンクリートコア採取による圧縮試験や中性化試験等の物理試験を実施します。

健康度評価

基本調査及び追加調査の結果から、点検計画で抽出した課題を踏まえて、ダム土木構造物の健全度を評価します。健全度評価は、ダム構成要素の経年的な劣化、災害や事故による損傷等の程度に基づいて行い、施設長寿命化の観点から、ダム毎の使用条件・環境条件による劣化・損傷等の進展予測も考慮します。構成要素の管理レベル(H~Lの3段階)と健全度区分(a1~cの5段階)の組合せによる保全対策の考え方は下表のとおりです。

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出典:ダム総合点検実施要領・同解説 国土交通省 平成25年10月 P.59

維持管理方針の策定

健全度評価結果から、以下①~⑤の方針に対して今後の維持管理計画案を作成します。

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ダム総合点検結果のとりまとめ

ダム総合点検結果として、土木構造物、機械設備、電気通信設備、その他のダム施設等、それぞれに対して整理した健全度評価や今後の維持管理方針をとりまとめます。また、この結果を日常点検、定期検査、次回ダム総合点検等で利活用するため、所定の様式で整理するとともにカルテとして記録・保存します。
ダム総合点検結果だけでなく、ダムの調査・設計報告書、施工管理記録、試験湛水結果、定期検査資料、管理段階移行検討書、補修・更新工事履歴等は、ダムの経年変化や補修履歴を把握するための重要な資料です。これらを体系的に整理し、維持管理データが取り扱いやすくなるようにデータベース化することも求められており、弊社では管理者の業務を支援する「ダム維持管理データベースシステム」の構築にも取り組んでいます。

維持管理計画

ダムは堤体や貯水池だけでなく、鋼構造と機械・電気部品の複合構造物であるゲート設備や、ダムの操作・保全、監視・計測、下流河川への放流警報等を行うための電気通信設備が整備されています。これらの多種多様な設備の巡視・点検に加え、貯水池の堆砂や水質、環境等についてもモニタリングを実施し、流水管理を含めた総合的な維持管理が行われています。

長寿命化計画の必要性

ダムの維持修繕や設備更新においては、長期的に施設安全性を保持できる計画を立案するとともに、維持管理予算の平準化やライフサイクルコストの低減が求められており、各管理ダムでは中長期的な維持管理方針を定めた「ダムの長寿命化計画」を策定しています。長寿命化計画において、健全度評価と保全対策、実施時期を整理し、予防保全型の維持管理を実行することで、施設長寿命化と予算計画の適正化が可能となります。長寿命化計画は、維持管理履歴に応じて、(概ね3~5年毎に)適宜見直すことも必要です。
ダムを適正に運用管理するには、日常管理の巡視・計測と、中長期的な視点の点検・検査等を組み合わせて、長寿命化計画に基づいたPDCAによる継続的な維持管理(メンテナンスサイクル)を実行することが重要です。中長期的な視点で各種管理設備の点検や修繕・更新に係るコストを整理することにより、ライフサイクルコストの低減や維持管理予算の平準化を図り、今後増えていくことが予想される維持管理費の抑制と計画的な維持管理を実現します。

土木構造物の維持管理方針

土木構造物は、日常点検や臨時点検(地震、出水等の発生後)、定期検査やダム総合点検の結果に基づき、必要な対策を適切な時期に着実かつ効率的に実施するとともに、これらの結果として得られた施設状態や対策履歴等の情報を記録し、次回点検・診断への利活用を継続します。土木構造物の維持管理方針として整理する項目は次のとおりです。

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これまで、土木構造物では事後保全的な維持管理が実施されていましたが、計測・点検結果に基づいた状態監視保全(予防保全)による維持管理を行い、施設の劣化や損傷に対して早期対処することで、構造物の長寿命化や保全対策コストの低減を図ります。このため、ダム堤体(漏水量、揚圧力、変形量等)や貯水池(地すべり、地下水位等)の計測機能を適切に保持するとともに、計測記録を整理・分析して健全性評価と対応方針の検討を継続的に行うことが重要です。

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