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  4. 津波対策陸閘ゲートの設計

機械設備・電気設備

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はじめに

東日本大震災での被災事例を受け、全国的に陸閘の認知度、重要性が高まっております。 近年は、震災後に見直された津波高、波力に適応するため、既存施設の改修設計業務が数多く出件されており、弊社でも手掛けて参りました。
ここでは、弊社が愛媛県で実施した津波対策陸閘の設計業務についてご紹介します。
 

【津波陸閘とは】
下図に示す通り、堤防、胸壁の代わりに車両や人等が通行できるようにするために設けられた門扉のことを「陸閘」といい、常時は開いた状態で運用され、高潮や津波発生時に未然に閉鎖することで堤内の水害を防止する機能を持つものであります。
ここでは、高潮の他、津波に対応した陸閘を、「津波対策陸閘」と呼んでおります。

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業務概要

1.1 業務の目的

既存の堤防および陸閘について、東日本大震災後に見直された「L1津波※」に対応した高さおよび強度を有するように、複数年を掛けて改修を行うプロジェクトが実施されています。
その中で、弊社は既存陸閘4箇所に対する改修設計を実施しました。

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※ 当該地区において、数十年から百数十年の頻度で発生が予想される津波を「L1津波」と呼ぶ。対して発生頻度は極めて低いが、予想される最大クラスの津波を「L2津波」と呼ぶ。

 

1.2 既存陸閘の概要

既存陸閘は高さ約1.0m、径間(陸閘における通行部の広さであり、扉の幅に相当する)6~22mで、「横引き式」と呼ばれるゲート形式が採用されており、通常は開いている扉を高潮発生時に手動で閉鎖するものでした。
この業務では、L1津波に対応した陸閘にするために、扉の高さを既存の2倍以上とすることが必要になりました。そこで、各陸閘における車両の通行状況など、利用状況に応じた径間(高さは津波高さから決まってしまうため、工夫の余地がない)の見直しを行い、必要以上に扉が大きくなることを避けるとともに、ゲート形式はそのままで、電動で開閉できるようにすることにより、陸閘が大きくなりつつも操作する人の負担を従来より軽減することができます。  

検討内容

この業務で行った主な検討項目を、以下に紹介します。

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1.1 利用状況に応じた必要な陸閘幅の設定

既存陸閘の改修のため、まずは現在の利用状況の検証を行いました。
利用者は主に漁港関係者であり、人や車両の通行があります。
通行する一番大きな車両を抽出し、下図のように車両が港内に出入りする車両の軌跡図を描くことで、陸閘の径間の見直しを図りました。
この作業により、従来は9.7mあった径間を、9.1mに小さくすることが可能となりました。

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1.2 津波陸閘として信頼性の高いゲート形式の選定

ゲート形式は様々ありますが、津波陸閘としては信頼性の高い形式を選定しなければなりません。
東日本大震災における被災事例等を考慮した比較検討を実施し、従来から使用されている形式の他、新たなゲート形式として注目を集めている新技術等を収集し、8形式について最適なゲート形式を選定しました。
ここでは、横引き式ゲートに優位性があると判断し、採用に至りました。

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1.3 津波波力に応じた扉体の強度設計

津波波力の算出式は、津波を受ける位置やその作用方法の違いにより、種々の式があります。
津波シミュレーション結果を元に、津波波力の算出を行いました。
また、津波波力の他に、流木等の浮遊物が流れ、扉体に衝突することも考えられます。
これらの荷重についても考慮するか否かを、現場状況に応じて決定していきます。 作用する荷重条件を設定したら、その荷重に耐えられる強度の部材を選定していきます。
その際、材質によって強度が異なるため、使用する材質についても併せて検討する必要があります。
ここでは、耐食性に優れ、比重も軽いアルミニウム合金に優位性があると判断し、採用に至りました。

1.4 ゲートを開閉させるための開閉装置の設計

陸閘は津波(高潮)が襲来する前に閉鎖する必要があります。
津波対策陸閘の場合、津波の襲来前に大地震が発生するため、地震にも強い開閉装置としておく必要があります。
開閉装置にも様々な形式があり、上記の条件の他、経済性やメンテナンス性等を総合的に比較検討し、最適な開閉装置を選定していきます。
下図の例は、車輪駆動自走式に優位性があると判断し、採用したものです。

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1.5 景観検討

既存の陸閘や堤防が、従来の1.0m程度の高さから2倍以上の高さになる場合、景観が大きく変わるこことなります。
また、従来は手動で操作していた陸閘が、電動化により操作方法が全く異なることとなります。
それらを分かり易く関係者に伝えるため、フォトモンタージュやCIMの技術を活用し、工事前後で相互認識にズレが生じないよう努める配慮も行いました。

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