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  4. yecの高精度な氾濫解析が洪水被害軽減に繋がる

河川

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1.はじめに

日本は水害リスクの高い洪水氾濫域に人口と社会経済の中枢機能が集中しているため、人々が自分の住む地域の水害危険度を認識し、日頃から自主的な防災活動や災害時の避難行動の準備をしていくことが必要とされています。そのため、各市町村が公表する「浸水想定区域」(図1)を表示した”洪水ハザードマップ”は、洪水被害軽減のために重要な役割を果たしてきました。

しかし、単に浸水深で地図を色分けして避難所の位置を表示したような、従来型のハザードマップでは住民の水害に対する危険性の周知には情報不足であり、的確な避難行動には繋がっていない現状が明らかとなっています。さらに近年雨の降り方が局地化、集中化、激甚化し、既往の想定を超える規模の災害が多発してきていること等を背景に、平成25年度及び平成27年度に水防法が改正され、浸水想定区域指定の前提となる降雨が、従来の計画規模の降雨から想定し得る最大規模の降雨に変更されました。

また、洪水時における住民等の安全確保の新たな情報として、「洪水時家屋倒壊危険ゾーン」(屋内にいると命の危険がある区域)(図1)の設定、浸水継続時間の設定等が必要となっています。
このように、今般、想定し得る最大規模の降雨を対象に住民の円滑かつ迅速な避難行動につながるような、必要かつわかりやすい情報を表示・記載した”実践的な洪水ハザードマップ”の作成が求められています。yecではこの洪水ハザードマップ作成に資する情報として、『氾濫解析』により浸水想定区域(浸水区域・浸水深)やそれら災害による被害情報の推定を行い、地域の水害リスクを把握するとともに社会全体で情報共有するための仕組みを検討・構築しています。
 

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2.氾濫解析

2.1 氾濫解析の目的および課題

「浸水想定区域」や「洪水時家屋倒壊危険ゾーン」等は、氾濫解析結果を基に設定します。 氾濫解析の実施手順を図2に示します。氾濫解析では、まず想定し得る最大規模の降雨を対象に、河道モデルによる一次元不定流計算から地点ごとに河川水位を算定し、算定された水位が破堤開始水位(例えば、計画高水位)を超過した場合には堤防が決壊し、堤内地(氾濫原)へ河川水が氾濫します。

氾濫原モデルにおいては、主にメッシュモデルによる平面二次元不定流計算という計算手法を用います。これは図3に示すように対象とする地域をメッシュに分け、メッシュ毎に地盤高や建物の配置状況等の条件を与えて氾濫原モデルを作成し、各メッシュに対して浸水深や流速等を算定するものです。この計算メッシュのサイズについては従来100m程度で作成されてきましたが、測量精度が向上し、道路や建物等の微地形を考慮できるようになったため、近年25m程度へと細密化されています。

この氾濫計算において、想定される全ての破堤地点の計算結果を重ね合わせ、最大の浸水被害(浸水深・浸水区域)を表しているのが浸水想定区域となります。また洪水時家屋倒壊危険ゾーンについては、氾濫によるものと河岸侵食によるものとがありますが、氾濫流によるものについては、流体力を氾濫解析から得られた浸水深と流速とから算定することで設定を行います。河岸侵食によるものについては、河床勾配と川幅、水深の関係から洪水時に生じ得る河岸侵食幅を算定することで設定を行います。

氾濫解析においては、各地域において地形条件等が異なることから、地域毎に再現性の高い河道モデルおよび氾濫原モデルを構築することが課題となります。yecではこれら課題に対してこれまで様々な工夫を凝らして取り組んできました。

 

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2.2 解析精度向上に向けたyecの工夫

yecではこれまで国や地方自治体の数々の業務において、氾濫解析を実施してきました。

その中で、河道モデルについては工事図面の収集や現地調査を実施することで、最新の河道形状を反映したモデルを構築しています。解析では地先ごとの危険性を網羅した被害想定を行うため、水位が氾濫開始水位に到達する全測線に加え、測線間の局所的な堤防高不足箇所をLPデータ(航空レーザー測量のデータ)により把握し、堤防決壊条件地点として追加することで、危険箇所を洩れなく検討します。

また、堤防開口部を航空写真や現地調査等から把握することで、局所的な排水効果が期待できる箇所についても漏れなく解析します。 また氾濫原のモデル化を行う際は測量の図面、LP データ、基盤地図情報、最新の航空写真等の様々な基盤データの収集および現地調査により開発状況を反映した最新の地形として氾濫原モデルを構築します。さらに図4に示す様に高解像度衛星写真により新設の道路や造成箇所等が抽出可能となり、より高密度なモデルの構築を行っています。それにより得られた結果を基に、浸水・防災情報の一元化や浸水区域表示システム(図5)の構築も行っています。

このように、yecではより精緻な解析モデルを用いた高精度な氾濫解析を数多く実施してきました。また現在では、水防法改正を踏まえた想定し得る最大規模の降雨による氾濫解析業務に携わっています。これからも国や自治体における防災情報の提供や実践的な洪水ハザードマップ作成に寄与することで、日本の洪水被害軽減に貢献しています。

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