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河川

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はじめに

平成12年の東海豪雨、平成16年の円山川水害、新潟水害、平成27年の関東・東北水害など、大規模な水害が発生するたびに、避難の遅れなどによる人的被害が問題となっています。
このような被害発生に対して、浸水被害が発生する前から雨量や河川水位等の情報により氾濫の危険性を予測して、浸水が予想される地域の方々を安全な場所に避難させることが重要となります。

「洪水予報河川」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
洪水予報河川では、今後の河川水位の上昇傾向を予測し、一定の基準高を超えると予測される際に、気象庁と河川管理者(国土交通省・都道府県)が共同して、注意、警戒を呼びかけます。この洪水予報の実施には、一定の予測精度を確保可能な洪水予測システムの導入が必要となり、当社では洪水予測システムの構築に取り組んでいます。

ここでは、洪水予測精度向上の取り組みの一つとして、ニューラルネットワークによる洪水予測モデルをご紹介します。

ニューラルネットワークによる洪水予測モデル

ニューラルネットワークとは、脳の中で行われている情報処理作業を模擬したものです。

人間が経験によって脳を学習させていくように、ニューラルネットワークではデータから学習を行います。すでに、金融、保険、医療、情報処理などの多分野でニューラルネットワークを使用したパターン認識が提案・活用されており、基本技術として活用されています。
洪水予測の分野では、過去に観測された実績データに基づいたパターン認識(学習)により、入力値(例えば、降雨、上流水位、ダム放流量)と出力値(例えば、下流水位)の非線形的関係を定式化しておくことで、洪水時には直近で観測された降雨や水位の状況から、数時間先の水位を予測することが可能となります。

具体的に、ニューラルネットワークによる洪水予測システムは、次の手順で構築します。

1. 入力値と出力値を決める
予測したい出力値(例えば、基準水位観測所やダム放流量)に対して影響を及ぼす上流側入力値(例えば、上流の水位、雨量、ダム放流量)を決めます。

rfd15_img01.jpg2.学習データを選定する
学習データとして予測したい洪水(例えば、過去最大、二山型、ダラダラ型など代表性の高い洪水)を選定します。

3.学習データを使って、重みデータを調整する
ニューラルネットワークモデルは、入力層、中間層、出力値から構成され、入力値xに重みwを乗じて出力値を求める仕組み(図参照)です。学習回数は100,000回程度を目安として、最適な重みの組合せに到達するまで重みを調整します。

4.洪水予測システムを構築して、未知の入力に対する予測を行う
「入力値×重み」による洪水予測システムを構築して、洪水時には直近で観測された降雨や水位の状況から、数時間先の水位を予測します。

ニューラルネットワークによる予測精度検証

全国的には、洪水予報が始まって時間が経過しましたが、現場では十分な洪水予測精度が得られずに、必要な体制が確保できていないというケースも多いように思います。洪水予測では、どの程度予測値があたっているのか、河川特性に応じてどの手法が合っているのか等、検証することが重要となっています。

当社では、平成13年ごろからニューラルネットワークモデルによる洪水予測技術の開発を始め、河川特性の異なる多くの河川で洪水予測精度の検証を行い、一定の予測精度が得られることを確認してきました。一部の河川では、土木学会河川技術に関するシンポジウムにおいて、その報告も行っています。

詳しくはこちらをご覧ください ↓

天白川 、 相模川 、 相模川 、 阿武隈川 、 河川技術に関するシンポジウム 

おわりに

洪水予測手法には、降雨~流出~流下の過程を数式で表現した流出計算モデル(貯留関数・分布型モデル等)を利用した事例が多くあります。この予測手法では、雨量データを流量に変換してさらに水位に変換するため、流量変換誤差、水位変換誤差が生じる課題があり、この予測手法による精度向上の取り組みも行っています。

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