10月14日(水)開催「企業の水リスクマネジメント/実践編 -CDPから紐解く、水リスクへの対応-」セミナーレポート

2020年10月14日(水)にオンラインセミナー「企業の水リスクマネジメント/実践編 -CDPから紐解く、水リスクへの対応-」を開催いたしました。

開催概要

  • テーマ :企業の水リスクマネジメント/実践編 -CDPから紐解く、水リスクへの対応-
  • 開催日時:2020年10月14日(水)11:00~11:45
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社 水リスクラボ
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:68名

本セミナーは、CDP水セキュリティのスコアリングパートナーの視点から、企業に求められる水リスクマネジメントとは何かをお伝えすることを目的としたセミナーです。
本セミナーでは、参加者の所属企業様におけるCDP水セキュリティのスコアと水リスクマネジメントの各ステップにおける取組状況について、簡易的なアンケートを取らせていただきました。
一つ目のアンケートである参加者の所属企業様におけるCDP水セキュリティのスコアについては、B-~Bランクを獲得されている企業様や、まだCDPには未回答という企業様が多い傾向でした。

参加者所属企業のCDP水セキュリティのスコアグラフ

セミナーでは、まずはじめに企業がCDP水セキュリティに対してどのように向き合い、自社の水リスクマネジメントとしてどう進めていくかを、以下のステップを踏まえ説明しました。
STEP1:水課題の特定
STEP2:目標設定
STEP3:対策実施

次に、CDP水セキュリティの主要な設問の評価基準と照らし合わせながら、各ステップにおいて企業が求められる取組みについて概説しました。
最後に、上記のアプローチに沿って非常にうまくマネジメントを行っている企業の例として、アメリカ合衆国に本社を置く穀物メジャーの一つであるCargilについてご紹介しました。この事例紹介では、Cargillの水利用の特徴を踏まえた水リスク課題の特定からどのように水目標を設定していくかの考え方を解説しました。
2つ目のアンケートでは水リスクマネジメントの取組み状況について投票いただきましたが、セミナー参加者の多くの皆様は、目標設定のステップで十分な対応ができていないと認識されている方が多かったため、具体例を踏まえた内容に好評いただけたようでした。

水リスクマネジメントへの自社の取り組み状況についてのグラフ

質疑応答ではたくさんの質問をお寄せいただき、関心の高さが伺えました。文末にQ&Aを掲載いたしますので、参考になれば幸いです。

次回のオンラインセミナーは11月18日(水)11:00~12:00に開催いたします。テーマは「高リスク拠点の洗い出しとマネジメント例」です。地域特性を踏まえた水リスクの高い拠点の洗い出しの手法と、水リスクにどのように対応・対策をしていくべきかのマネジメント例についてご説明する予定です。ぜひ多くの方のご参加をお待ちしております。

質疑応答

水リスクが高いと評価された場合、それを公表するのは自社のイメージダウンにつながってしまうのではないでしょうか?
社会からは、リスク情報を開示することが求められます。しっかりとリスクを認識して、リスク低減を図ること、その姿勢を示すことが重要です。
事業活動自体が他業種に比べて水リスクが少ないのですが、本内容のようにしっかりと分析して開示すべきなのでしょうか。
水リスクが小さいと感じている場合でも、評価結果を開示して、自社の水リスクへの強靭性をアピールすることが重要です。
御社はレジリエンス強化に対する知見もお持ちですか?
当社は、方針策定からリスク評価、目標設定、対策実施まで一気通貫でご支援できます。例えば、水害のハード対策や水資源の対策もご支援できます。
どの生産拠点にも水リスクがない場合、何も報告しなくても評価点には影響しないでしょうか?
水リスクの有無は、評価点には影響しません。企業としてのリスク把握ができており、その課題に応じた対応がとれていることが評価につながります。
製造業以外の業種の場合、回答しづらさを感じておりますが製造業以外で開示している良い事例があれば教えてください。
インフラ関連セクター、小売セクター、サービスセクター等においても、積極的に取り組まれている企業がございます。CDP水セキュリティ2019では、東京ガス様や三菱商事様、富士通様等はAリスト企業となっています。自社の業種と近い企業の取り組みを参考にすることをお勧めします。
水リスクが事業にどのように影響するかの評価はどのようにすれば良いでしょうか?
では水リスク評価ツールが便利です。評価範囲の粗さ等の課題もあるため、具体的な流域別の目標設定やアクションに移っていくためには詳細な検討を行い、流域の水課題を定量的に把握することが推奨されます。次に、リスク発生時の事業影響は、水への依存度や被災履歴が評価に活用できます。
「拠点流域」とは、工場近隣の河川を考えればいいのか、その河川を支流とする大河川を考えればいいのか、いかがでしょう?
水資源に関連したリスクを評価する際の拠点流域は、取水ポイントを起点とした水が集まる範囲を設定します。
例えば、支流から水を取水している場合はその支流の流域を設定する必要があります。
ほぼすべての工場が国内の1つの流域周辺にあり、あまりリスクのある河川ではないのですが、どのように評価すればよろしいのでしょうか?
水資源の観点ではリスク評価が共通となる可能性が高いですが、その他のリスクでは異なります。例えば、水害の観点では、高台なのか、低地なのかといった、より詳細な立地がリスクの程度に影響します。
工業用水の水の種類はどれに当てはまりますか?
W1.2hの水源別の取水量を問う設問では、第3者の水源に該当します。
再生利用している水(処理水)は、CDPの定める水源のどれにあたりますか?
W1.2hの水源別の取水量を問う設問では、再生水は該当しておりません。しかし、再生水(=リユース・リサイクル水)は、W1.1でその用途や重要度、W1.2で測定・モニタリングの有無が問われます。
水リスクは、他社ではどの部門が対応しておりますか?環境部門だけでは、対応範囲が広すぎて、他部門との連携が不可欠だと思います。
水リスクについては、サステナビリティに関連する部署が担当する企業様が多いです。ただし、水害は生産管理の部署、サプライチェーンは調達部署も関係することが多いため、幅広い部署がコミュニケーションをとり、連携することが重要です。
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