11月18日(水)開催
「企業の水リスクマネジメント/実践編—高リスク拠点の洗い出しとマネジメント例—」セミナーレポート

2020年11月18日(水)にオンラインセミナー「企業の水リスクマネジメント/実践編 —高リスク拠点の洗い出しとマネジメント例—」を開催いたしました。

開催概要

  • テーマ :企業の水リスクマネジメント/実践編-高リスク拠点の洗い出しとマネジメント例-
  • 開催日時:2020年11月18日(水)11:00~12:00
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社 水リスクラボ
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:62名

本セミナーは、水リスクマネジメントのファーストステップである拠点のリスク評価の手法と評価に基づく高リスク拠点の抽出の考え方をお伝えすることを目的としたセミナーです。
本セミナーでは、はじめに水リスクマネジメントの進め方としてWWFが提唱している「Water Stewardship Ladder」を用いて、企業がどのようなステップでマネジメントを進めていくことが求められているかを解説いたしました。ここでは、セミナータイトルにもありますように実践編として活用していただけるよう、実務にこのステップを如何に当てはめていくかを実際の取組みを踏まえて紹介させていただきました。

次に、本セミナーの主題であります高リスク拠点の抽出方法について解説しました。ここでは、水リスクを評価する上で「集水域の水リスク」と「操業上の水リスク」が重要であることを述べさせていただきました。これは、水資源の状態など拠点が立地する地域の水リスクを評価するという観点と、その地域の水リスクへの対応(そのまま水を継続して使用し続けても問題無いか)という観点での評価が必要であるということです。
この評価軸に基づき、Aqueductを用いた評価と、拠点内部の対応状況を把握することを目的としたアンケート調査について概説しました。
最後に、高リスク拠点として抽出された優先拠点にて,マネジメントアプローチの考え方(アクションプラン)に触れさせて頂くとともに、さらにその先の取り組みである,リスクに対しての課題解決例としてintel社、BP社の事例を紹介いたしました。
本セミナーでは、水リスクが流域により偏在性のあるリスクであるため、このように全拠点の包括的な視点から個の拠点や流域として、いかに活動を落とし込んで行くかをマネジメントの重要な観点として説明させていただいております。

質疑応答ではたくさんの質問をお寄せいただきました。文末にQ&Aを掲載いたしますので、参考になれば幸いです。

次回のオンラインセミナーは12月15日(火)10:30~11:45に2タイトルで開催いたします。1つ目のテーマは「日本の河川整備と水害マネジメント」です。日本の河川整備の状況を解説するとともに、企業が水害への備えをどのように考えるかをご説明する予定です。2つ目のテーマは「企業の水リスクマネジメント/実践編 -水目標-」です。最新の水目標の設定の考え方であるContext Based Water Targetsを解説するとともに、設定手法を事例を踏まえながらご説明する予定です。ぜひ多くの方のご参加をお待ちしております。

質疑応答

「集水域のリスク」と「操業上のリスク」のマトリクスの説明において、「操業上のリスク」とは水の事象が発生した時の「インパクト評価」ではなく、現在取っている対応を勘案した「リスク評価」をせよという意味でしょうか?
リスク評価については、リスクが顕在化しているかどうか、 このまま水を使用し続けても問題無いか、チェックを行います。 その後、何かしらの対応をしなければならない際には、アクティビティを掲げ、 アウトプットやアウトカムが分かるようなインパクト評価が必要になります。 また、インパクトマップ評価の作成の際には、ポジティブ・ネガティブの両面からのアプローチが必要です。
AqueductやWRF以外に、全世界のリスクを評価できるツールをご紹介いただきたい
ご質問の中の二つのツールが主に用いられるグローバルツールですが、 他に「Ecolab Water Risk Monetizer」という貨幣価値換算が可能なツールもございます。 そのほか、現在国立環境研究所が、環境省の「環境研究総合推進費」で水リスク評価ツールを開発しており、 今年度で研究が完了する予定です。国立環境研究所のツールのAqueduct等と異なる主な点は、 何が原因でリスクが高くなったか、把握できる仕様となる点です。 評価のみに留まらず、その原因を究明し、改善していくことが、取り組みの最初のステップになります。
コレクティブアクションについて、御社は現地でのコネクションの支援もされていますか?
支援しております。国内外にパートナー等のネットワークがございますので、その地域の状況に応じたご支援をさせて頂きます。
具体的な地域へのアンケートシートがどのようなものか、例として見せて頂くことは可能でしょうか?特に簡易なものについて確認したいと考えております。
意見交換のような場を設けさせて頂ければ、一部ではございますがアンケート内容をお見せする事は可能です。
水の代替えとして、化学物質溶媒等を使用した場合のリスク評価はどのように考えればよいか?水リスクとしては下げられるが、化学物質使用リスクは上がってしまいます。そのときのバランス評価する方法がありましたら、何を参考にすればよろしいか、ご教授お願いいたします。
水リスクに着目した場合では、化学物質溶媒等の使用による排水の水質濃度が、排水先の水質や生態系に影響があるか否かの確認(モニタリング等)が必要であると考えます。
【補足】化学物質溶媒ですが、例として、廃棄物処理法及び水質汚濁防止法で規制されていない物質を放流し、浄水場の処理工程で有害物質に変化した例も見られます。そのため、廃棄処理を含めた形で、リスク管理する事が重要であると考えます。
水アンケート調査の頻度は何年に一度が良いですか。
社会情勢が約5年で変化し、また、次回のAqueductのツール更新も5年と伺っているので、5年に一度程度が良いと考えております。
BP社の取組みは水が本業の企業だと通常の企業活動とも思われましたが,社外的に評価されているポイントはどこでしょうか?
流域の水課題に対応するためには、1つの企業だけの取り組みでは解決する事は困難です。そのため、WWF等のNGOでは「Collective Action」の必要性について述べております。そのため、周辺企業を巻き込みながら、地域課題を解決し、さらにそこで利益が出たところは評価すべきであると考えております。
今回の資料の配信は可能でしょうか?
アンケートにて、希望されましたら、配布させて頂きます。
データセンター事業(国内限定)で、水リスクを捉えている事業者をご存知でしょうか?水は水道局から購入しています。
存じております。国内ですと、例えば、水害が毎年のように発生しており、BCP対策等を作成している企業様も多くなってきたと実感しております。
水リスク評価項目として、アキダクトの項目(SDGsも?)が参考になると考えられますが、自社で評価項目を検討する際に(国内拠点で評価する場合)、参考になるガイドラインやツールなどはあるでしょうか。
投資家目線で対応するためには、セミナー中にご紹介をしたCBWTのガイダンスは参考になるかと思います。また、国内の場合は、自治体が環境基本計画を作成しており、地域の水に対する課題が記載されている可能性がある事から、参考になると考えております。
御社はCDPの回答支援も行っているのでしょうか?
本年度から、CDP Water Securityのスコアリングパートナーとなりましたが、 それ以前より、回答支援を行っております。今年度、スコアリングパートナーとなりましたため、より価値が高いご支援をさせて頂いていると、考えています。
最新のセミナーに参加する

上記以外のセミナーを開催していますので、
ぜひお気軽にご参加してください。