9/1(水)開催「ゼロから始める水リスクマネジメント」

2021年9月1日(水)にオンラインセミナー「ゼロから始める水リスクマネジメント」を開催いたしました。

開催概要

  • テーマ :ゼロから始める水リスクマネジメント
  • 開催日時:2021年9月1日(木)11:00~11:50
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社 水リスクラボ
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:87名

2015年にSDGsが採択されたことを皮切りに、世の中のサステナビリティに関する関心は非常に高まっています。これに伴い、国連やNGOが中心となって、TCFDやSBTなど様々なイニシアチブが作られ、グローバル企業を中心にこれらに参加・賛同する流れが強まっています。
企業のサステナビリティには、気候変動、水、労働安全衛生や腐敗防止などさまざまなテーマがありますが、その中でも水リスクは非常に重要な課題の一つです。なぜなら、水は製造を行う上で必要不可欠な資源だからです。CDPにおいても、水は企業のサステナビリティに関する情報開示におけるテーマの一つとしてされており、水リスクへの対応は、持続可能な操業の判断基準のひとつとされています。しかし、水リスクといっても水資源量のリスクや水質のリスクといった様々なリスクがあり、リスクの把握やその後のリスクへの対応が難しいといった特徴があります。そのため、企業が水に向き合う際には、自社にとっての水リスクとはどういったものかを把握し理解する必要があります。

本セミナーでは、サステナビリティに関する部署に配属されたばかりの方や水リスクの基本的な内容を知りたい方を対象として、世の中のサステナビリティの潮流や、水リスクとは何なのか、水リスクを考える上での視点についてご紹介いたしました。

質疑応答ではたくさんの質問をお寄せいただきました。文末にQ&Aを掲載いたしますので、参考になれば幸いです。

質疑応答

水リスクの評価対象は、拠点(生産工場)に限られるのでしょうか。
水リスクの評価対象は拠点だけではなく、バリューチェーン全体です。バリューチェーンの各セクション(例えば、原材料調達、製造、販売など)において、水の重要度を把握し、重要度の高いセクションに対して、目標設定やリスクへの対応をすることが推奨されます。
この考えは、水資源に関する目標設定のガイダンスであるSetting Enterprise Water Targetsに示されています。
スライドでお見せいただいた資料は英語ですが、日本語に翻訳されたものはどこかで閲覧可能でしょうか。
SBTNの初期ガイダンスやTCFD提言については、日本語版が公開されています。一部資料は英語版のみ公開されていますが、弊社インサイトにて解説しているものもございますので、ぜひご覧ください。
・水リスクラボインサイト
https://www.yachiyo-eng.co.jp/water-risk/insight_index.php
・SBTNの初期ガイダンス(日本語版)
https://sciencebasedtargetsnetwork.org/wp-content/uploads/2021/03/SBTN-Initial-Guidance-Executive-Summary_Japanese.pdf
・TCFD提言 最終報告書(日本語版)
https://assets.bbhub.io/company/sites/60/2020/10/TCFD_Final_Report_Japanese.pdf
CDP waterで各セクターのリスク度合いを算出して公開していると思いますが、イベントなどを実施する予定はありますでしょうか。
今後開催予定のセミナーで、当社独自の実績から判断する代表的な業種ごとの取り組みの違いと代表的な企業の例などを取り上げるつもりです(飲料、自動車あるいは機械、化学・製薬、サービスなど)。
サプライチェーンの水リスクについて、GHGプロトコルのような算定基準が示されるのでしょうか。
あくまで弊社としての意見ですが、サプライチェーンの水使用量や水消費量の算定基準化についてのスピード感のある議論はされておらず、算定方法にはある程度自由があるように感じます。
ただし、近年公表されているガイドラインの内容を読むと、サプライチェーン全体を把握すること自体の要求は強まると考えています。
水リスクへの対策にはどのようなものがあるでしょうか。
水リスクへの対策は様々です。干ばつや洪水など突発的に生じるリスクに対しては、有事の際の事前の備えが必要と考えています。例えば、事業継続計画(BCP)や、構造物による浸水防止などです。水資源の枯渇や水質悪化など慢性的に生じる(生じている)リスクに対しては、リスク状態の監視と改善が必要と考えています。
例えば、取水量削減やモニタリング体制の確立などです。このように、水リスクへの対応は、対象とする水リスクの種類により大きく異なります。この点、今後のウェビナーでも、ご紹介させていただきたいと持っておりますので、ぜひご参加ください。
なぜ企業の目標設定において、流域全体の課題を考慮する必要があるのでしょうか。
企業あるいは拠点は、それらが立地する流域の自然資本を多分に利用し、負荷をかけている、または依存しているため、今後も持続的に自然資本を利用するためには、それが持つ課題を解決する必要があるからです。
また、少し質問の趣旨と異なるかもしれませんが、企業の目指すべきレベルとして、Collective Action というものがございます。これは、企業が、立地する地域のNGOや行政機関、コミュニティ等に働きかけ、地域課題を解決するというものです。
つまり、企業単体で地域の課題を解決するという意味ではなく、企業が地域のステークホルダーに働きかけて(起点となって)、一緒に課題を解決するという意味になり、企業の目標設定においても、企業単体で地域課題を解決するという目標ではなく、あくまで地域と協同して課題を解決するという目標が望ましいと考えています。実際にこのCollective Actionを長期目標と見据えている企業が増えてきています。
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