4/15(金)開催 大幅変更の「CDP気候変動2022」回答時のポイント

2022年4月15日(金)にオンラインセミナー 大幅変更の「CDP気候変動2022」回答時のポイント を開催いたしました。

開催概要

  • テーマ :大幅変更の「CDP気候変動2022」回答時のポイント
  • 開催日時:2022年4月15日(金)11:00~11:50
  • 開催方法:オンライン(Zoom)
  • 主催  :八千代エンジニヤリング株式会社 水リスクラボ
  • 参加費 :無料
  • 参加人数:155名

昨年のCOP26の開催やIPCC第6次報告書の公表によって1.5℃目標に向けた取組みが世界で重要視される中、日本国内においても、東証再編に伴ってプライム市場上場企業は「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示」が義務化されるなど、気候変動の取り組みが求められています。
さらに、SBTNやTNFDといったイニシアチブによって気候変動だけでなく、水や生物多様性、森林等を含む自然資本に関する新たなフレームワークの導入が予定されています。したがって、企業は、気候変動だけでなく自然資本全体を考慮した事業活動が求められるとともに、自然資本を含めた適切な情報開示が重要です。

CDP気候変動は、「1.5℃目標」と「自然資本への拡大」への対応を目的に、2021年から2022年にかけて、約30%の設問変更がありました。また、スコアの閾値も昨年に比べて上昇、Aスコアの条件にスコープ3の検証が追加されるなど、スコアアップ・スコア維持が厳しくなっています。
このように、企業への要求レベルが上昇する中で、自社の取組みと回答の紐づけや、回答作成の対応に課題感をお持ちのご担当者様もおられるのではないかと思います。

本セミナーでは、上記の背景を踏まえ、「CDP気候変動2022」における変更点を解説するとともに、スコアアップに向けた取り組みの事例について紹介いたしました。

質疑応答ではたくさんのご質問をお寄せいただきました。文末にQ&Aを掲載いたしますので、ご参考になれば幸いです。

次回のオンラインセミナーは、6月9日(木)の開催を予定しております。テーマについて詳細が決まり次第、改めてメルマガよりご案内させていただく予定です。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

質疑応答

気候変動と水の支援サービスについて、金額のレンジをご教示ください。
気候変動と水の支援は同じ金額で行っています。金額のレンジに関しては、基本的なサービスである「2回の採点」と「失点理由・スコアアップに向けた今後の取り組みの整理」で165万円~となります。
ただし、現在の回答されている状況や協議回数、支援内容により金額が変動いたします。
貴社サービス(標準的なサービス)を利用した場合、1回目の回答案提出と2回目の回答案提出期限の目安はいつですか。
1回目の回答案提出は5月上旬、2回目の回答案提出は6月中旬を目安としています。
対象範囲の「全社」というのは基本的にスコープ1+2の認識でよろしいでしょうか。
対象範囲の「全社」は連結含むグループ会社となります。ただし、排出量が少ない拠点やデータの信頼性が低い拠点等がある場合は、C6.4を回答することで除外することが可能です。
スコープ2の算定でロケーション基準(環境省では必須)とマーケット基準があると思いますが、海外では契約電力会社ごとの係数の把握ができていません。ロケーションだけで答えるとどの位点数に影響しますか。
基本的にロケーション基準のみの回答で大きく失点することはありません。ただし、マーケット基準のみの回答の場合は、大きな失点となりますのでご注意ください。
Aスコアの条件として、スコープ1~3の検証が必要との事ですが、スコープ3の検証をしていないと、A-スコアになることも出来ないのでしょうか。
A-スコアになることは可能です。
BからA-、A-からAに上がるのに必要な得点比率がそれぞれ本年度は上がったのでしょうか。
仰る通り、A-スコアを獲得するためには、マネジメントポイントが75%から80%必要となり、Aスコアを獲得するためには、リーダーシップポイントが65%から80%必要となりました。
SCOPE3の回答で前年対比が必要となるため、2020年度のデータも必要とのことでしたが、2022年度回答でも現在データが出揃っている2020年度データをメインに2019年度対比で回答しても、
評価は2021年度データをメインに答えた場合と評価が変わらないと考えてよろしいでしょうか。
報告するデータの対象期間は、C0.2で設定することができます。なお、この対象期間は、データを回答する最新の12ヶ月の期間となります。
C3.1について、「株主からのフィードバック」を収集しているかどうかが問われるとのことですが、具体的にはどのようなことを指すのでしょうか。統合報告書への記載なども当てはまるのでしょうか。
質問書の選択肢には、「年次株主総会での投票」と「別のフィードバック」が用意されています。
ここでは、移行計画に関する内容と進捗に関して株主がフィードバックを提出できることが重要となりますので、統合報告書への記載は当てはまらないと考えられます。
c3.2aシナリオ分析の対象範囲の「全社」というのは、グループ会社を含めた連結という意味でよろしいでしょうか。
対象範囲の「全社」は連結含むグループ会社となります。ただし、排出量が少ない拠点やデータの信頼性が低い拠点等がある場合は、C6.4を回答することで除外することが可能です。
C4.1a スコープ3が総排出量の40%以上の場合、全て総量削減目標の設定が必要でしょうか。それとも、エンゲージメント目標との併用でも得点対象なのでしょうか。
スコープ3排出量が総排出量の40%以上の場合は、「スコープ3の総量削減目標」が重要となります。
また、40%以上の場合は、エンゲージメント目標は得点対象外になります。なお、選択する産業セクターにより、採点基準が変化しますのでご注意ください。
C12.2の「気候関連要件がサプライヤー契約に含まれているか」という設問について、グリーン調達基準でCO2削減への協力要求を記載しているケースは”契約に含めている”と言えますでしょうか。
締結した契約内の規定に従い、貴社が設定した具体的な気候関連要件の遵守をサプライヤーに義務付けている場合が「契約に含んでいる」を選択できる条件となります。
そのため、グリーン調達基準でCO2削減への協力要求を記載しているケースは、「契約に含まれていないが気候変動要件を満たす必要がある」の選択肢に該当します。
C15の生物多様性の設問に関して、現在SBTNの策定中なのですが、CO2削減と比べて定量的な目標・指標を設定するのが難しく感じております。具体的にはどのような指標・目標を設定すればよいのでしょうか。
生物多様性(自然資本)は自社の事業特性と活動場所のリスクを踏まえ、指標(生物の個体数や土地被覆の変化率、水質等)・目標(森林面積の増加・生物種の増加等)を設定することが必要です。
まだ回答したことがない企業です。22年度回答は通常21年度のデータに基づくものではないかと思いますが、もう既にある20年度のデータを使用すると点数は下がるのでしょうか。
報告するデータの対象期間は、C0.2で設定することができます。なお、この対象期間は、データを回答する最新の12ヶ月の期間となります。
CDPの質問状は、将来的に気候変動、水、森林、そして自然資本を一体化されるのでしょうか。気候変動に自然資本が加わったことで大きな変更は終了となり、水と森林との一本化はないということでしょうか。
一本化の話は言われていましたが、2022年は実施されませんでした。大きな変更や一本化についてはこれで終了ではなく、TNFD等との連携、海洋の質問追加等により今後も変更される可能性はあります。
株主のフィードバックとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
質問書の選択肢には、「年次株主総会での投票」と「別のフィードバック」が用意されています。ここでは、移行計画に関する内容と進捗に関して株主がフィードバックを提出できることが重要となります。
具体的な事例は、今年の回答等から、来年度以降、CDPから公開されると予想されます。
生物多様性に関して、工場からの放流水温(周囲の水環境よりも高い)が課題・対象となる事はありますか。
工場からの放流水温は、主に水生生物の生息域の変化等の影響を与えますので、放流先の河川の状況によっては、課題・対象となります。
SBT認定は受けていないが、SBT相当の取組が出来ているとする判断基準をご教示ください。
C4.1aでは、2022年から「SBTルート」と「CDPルート」の2ルートで採点されます。このうち、CDPルートはSBTとして承認されていない場合のルートとなり、ここで求められる基準がSBT相当の取り組みの基準であると考えています。
CDP森林への回答を検討しています。御社はCDP森林のみのコンサルは請け負っていらっしゃいますでしょうか。
CDP森林のみのコンサルも請け負っていますので、ご興味があればお気軽にお問い合わせください。
CDPへの無回答を続ける企業には、どのようなことが起こりますか。「回答は義務ではない」、「回答する必要があるか」といった意見に対して、現実的に起こりうるリスクについて知りたいです。現在回答していませんが、株価に影響もなく、事業も衰退していないため危機感はありません。
積極的に回答している企業の、『動機付け』の例(成功例)など伺いたいです。
CDPでは、気候変動に関する取り組み状況により4つの段階にスコアリングされるため、同業他社との差別化等に使用されます。
そのため、CDP回答を要求している投資家や顧客は、よりスコアが高い企業を選択する可能性がありますので、現在、株価や事業衰退の影響がなくとも、長期的な観点で見るとスコアが高い同業他社との差がでてくると予想されます。
最新のセミナーに参加する

上記以外のセミナーを開催していますので、
ぜひお気軽にご参加ください。