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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

コンピュータ社会を考える そろばんとコンピュータ

  • 事務系

パソコン、つまりパーソナル・コンピュータは、個人で操作・利用ができるコンピュータのことです。はじめて世に登場したのは30年ほど前ですが、現在では インターネットとともに、もはや「なくてはならない存在」となりつつあります。今回は、コンピュータと私たちとのかかわりについて考えてみましょう。

コンピュータ社会を考える

コンピュータの原点

Written by SUEDA Toshihisa 末田俊久

コンピュータを日本語でいうと「電子計算機」になります。現在でこそ、情報全般を処理する機械として利用されていますが、そもそもは「そろばん」と同じく、人間の計算を補助するための道具として生まれました。

余談ですが、デジタルが連続量をとびとびな値として表現するものだとすると、そろばんは、手動式デジタル計算補助器具ということになります。

すっかり生活にとりこまれたコンピュータ、その原点は人の手にあることを思い出してみましょう。

そろばん

小学校の低学年でちょっと複雑な計算をする場合、筆算(ひっさん)を使った計算方法を習います。筆算とは、紙に書いて行う計算のことで、複雑な計算式を簡単な計算式に分解して行う計算方法です。

分解して行う計算では途中の計算結果を覚えておかなくてはなりませんが、人間の記憶力は限られています。しかし、筆算のように紙に書いて計算することで、例えば、足し算の「1つ繰り上がって」とか、引き算の「1つ借りてきて」といった桁の繰り上がり、繰り下がりを伴う複雑な計算も可能となるのです。


こうした繰り上がり、繰り下がりといった複雑な計算途中の結果を記憶させながら計算を進める器具がそろばんだといえます。そろばんは、いわば手動式記憶装置兼計算器ということになります。

そろばんにはいろいろな方式のものが現存しますが、4つ珠(たま)と呼ばれるている、上に1個、下に4個の珠を備えたものが通常使われているものだと思います。上の珠は「5」を表し、下の珠は「1」を表します。

例えば、4つ珠のそろばんで「15+28=」という簡単な計算をさせるには、

  1. 計算準備としてすべての下の珠を下に、すべての上の珠を上に移動します。これが「ゼロ」です。
  2. 次に、十の位の下の珠を1つ上げ、一の位の上の珠を下げ、「15」を入力します。
  3. 続いて、十の位の下の珠を2つ上げ「20」を入力します。
  4. 続いて「8」を入力するには、一の位の下の珠を3つ上げ、上の珠を上げ、十の位の下の珠を1つ上げます。これで「1つ繰り上がった」ことになります。
  5. 答えは、十の位の下の珠が4つ、一の位の下の珠が3つ上がっているので、「43」ということになります。

このように、そろばんを利用した計算では、「1つ繰り上がって」とか、「1つ借りてきて」といった桁の繰り上がり、繰り下がりといった十進法の概念を学ぶことができます。ですから逆に、その概念をきちんと理解していなければ、そろばんもまた正しく使用することはできないといっても良いでしょう。

筆算 そろばん

電卓

電卓の正式名称は電子式卓上計算機で、名前のとおり机の上で使うのに適した大きさの小型計算機のことです。では、電卓を使って同じ計算をしてみましょう。

  1. 電源を入れます。
  2. 「1」「5」「+」「2」「8」のボタンを順番に押します。
  3. 最後に「=」のボタンを押すと、答え「43」が表示されます。

このように、電卓を使った計算では桁の繰り上がり、繰り下がりといった概念を理解することなく、簡単な操作だけで答えを得ることができるのです。

つまり、操作方法を覚えてさえしまえば、計算の概念などわからなくても、複雑な計算の答えを得ることができる時代になっているのです。


コンピュータ

今度はコンピュータに同じ計算をさせてみましょう。

まず、コンピュータに人間の手で命令を与える必要があります。しかし「コンピュータに与える命令」は、実は人間の言語に比べるとずっと貧弱で、限られた数の明確で単純な命令しか持っていません。コンピュータの内部では命令は二進数で表現されているのです。

そこでコンピュータに命令を与えるには、そのコンピュータが理解できる特定のコンピュータの機械語で命令を与える必要があります。実際には、人間がコンピュータへの命令を機械語で直接書くことはほとんどなく、通常はプログラミング言語を用いて行います。

プログラミング言語で書かれた命令が、コンパイラやインタープリタなどと呼ばれる特別なコンピュータプログラムによって自動的に機械語に翻訳されて命令が実行されます。

つまり、コンピュータに計算を実行させようとした時、たとえそれが、人間が暗算で処理できるような単純な計算であったとしても、コンピュータ本体だけでは処理ができません。計算を実行させるためのプログラム(ソフトウェア)が必要になってくるのです。

しかし、コンピュータに足し算の計算をさせるのに、いつもいつもその計算プログラムをつくるところから始めなければならないのでしょうか。決してそんなことはありません。自分で作成したにせよ、他の人が作成したにせよ、そこに足し算をするプログラムさえあればよいのです。


プログラム

コンピュータプログラムとは、コンピュータに作業を実行させるための命令リストで、1行~数1000行程度のものから、数百万行の命令によって構成されているものまであります。ただ、これらの命令の多くは、単純な命令が繰り返し実行されているにすぎません。つまりコンピュータは、決して複雑な命令を実行しているのではなく、人間の手で組まれた何百万もの単純な命令をひたすら実行しているだけなのです。さらに言えば、コンピュータは自身でプログラムを組むことはできません。仮にプログラムを作成できるコンピュータが存在したとしても、それは単にプログラムを構築するプログラムがコンピュータの中に入っているだけです。

また今日では、ほとんどのコンピュータが同時にいくつものプログラムを実行できる「ちから」をもっているように見えます。しかしこれは実際のところ、コンピュータがあるプログラムの命令を実行した直後に、別のプログラムの命令をすぐさま実行しているだけです。それがあたかも複数のプログラムを同時に実行しているように見せているだけなのです。もちろん、このような仕組みも人間の手で組まれたプログラムで制御されています。


コンピュータに実行させたい命令が複雑になればなるほど、プログラムも複雑になってきます。そしてプログラムが複雑になればなるほど、それを作成するには、専門的な知識が必要となってきます。それがプログラムを作成するプロフェッショナルの仕事です。

しかし、専門知識がなくてもコンピュータにそのプログラムを実行させることはできます。

たとえば、○○理論を用いた複雑な△△解析プログラムがあるとします。あなたはその○○理論を理解していなくても、△△解析のやり方を分かっていなくても、コンピュータに与えるデータが作成でき、コンピュータの操作さえできれば、その答えを得ることができるのです。


エンジニア

○○理論を用いた△△解析の答えを得ることができることができたとしても、その答えを利用できるのは、○○理論を理解し、△△解析のやり方を理解している者だけです。そして、その答えを有効に利用することがエンジニアの仕事です。


昨今、コンピュータの性能とコンピュータプログラムの向上により、情報処理の方法については、特別の知識がなくても、コンピュータが自動で処理をして、答えを返してくれる時代になりつつあります。

コンピュータは人間から与えられたデータを処理し、答えてくれます。しかし、肝心の人間がその処理の過程を理解していなければ、一体なぜそのような答えになるのかも分かりません。そしてもし、コンピュータに間違ったデータを与えたためにコンピュータが間違った答えを出したとしても、人間はそれに気づくことはできません。


人間の作ったコンピュータを利用し、人間の作成したコンピュータプログラムが処理をする過程を理解し、その答えを社会資本整備に有効活用する。それがプロフェッショナルのエンジニアの仕事と考えます。


おしまいに

「ところでコンピュータは、男性かな女性かな?」

「たぶん、女性じゃない?」

「パソコンには知ってのとおり、CPUをはじめとするさまざまな部品が組み込まれていて、コンピュータの実質的な本体にあたるプリント基板をマザーボードって言うよね。」

「最近30年ぶりにリバイバル作成されたアニメ『地球(テラ)へ』とか、ゴダイゴのテーマ曲で有名な『銀河鉄道999』なんかに登場するコンピュータは、なぜかやたらと「マザー○○○」、「○○○女王」とかいったように女性をシンボライズすることが多いけど、何か理由があるのかな。」

「『銀河鉄道999』の作者は男性で、『地球(テラ)へ』の作者は女性だから、作者の性別には関係ないみたい……。文化人類学上でいうところの母系社会の流れ?」


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