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RECRUIT | 採用情報

PROJECT 3地域・産業活性化

地域の小さな遊び場から、街の未来を描く
WATERS takeshibaプロジェクト

2020年、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)は、「浜離宮恩賜庭園」の目の前に複合施設「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」を開業した。「アトレ竹芝」・「JR東日本四季劇場[春][秋]、自由劇場」・「メズム東京、オートグラフコレクション」で構成される自然豊かなウォーターフロントを特徴とする複合施設である。そこには、環境再生・学習の場づくり、舟運の活性化を目的とした、竹芝干潟および竹芝地区船着場(ウォーターズ竹芝前)が整備されている。


当社は、干潟と船着場に関して、基本計画から始まり、各種調査、基本・実施設計、許認可手続き、工事契約図書作成および工事監理など完成に至るまで携わることとなった。

「持続可能」なまちづくりを体現できるウォーターフロントを

少子高齢化や人口減少が進む日本において、持続可能な社会をつくるには、地域と産業の活性化が必要不可欠である。


JR東日本はこれまで、駅周辺を中心とした開発を行ってきたが、2018年にグループ経営ビジョン「変革2027」を発表し、従来の駅を起点としたサービス提供から、「住んで良かった」「働いて良かった」と感じていただける持続可能なまちづくり・くらしづくりにも挑戦をはじめる。


そして、もともとJR東日本アートセンター四季劇場や社宅などのあった敷地を活用して、ウォーターフロントと融合できる他にはない空間をつくることができる竹芝の地において、文化と芸術を発信できる新拠点として「竹芝ウォーターフロント開発計画」が始まった。


しかし、JR東日本にとってエキソトでの大規模開発や水辺空間の整備は初めての取り組みであった。当社は2017年より、JR東日本が描くまちづくりを実現するため、プロジェクトに参画していたが、手探りの中からプロジェクトはスタートした。

困難な局面にも、技術とコンサルタントの力で活路を見出す

当社がプロジェクト参画する前、JR東日本が実施した調査において、水辺エリアにはミミズハゼなどの東京都の絶滅危惧種が存在する貴重な自然環境があることが判明した。そのため、水辺を開発するだけではなく、絶滅危惧種などの貴重な自然環境を守ることはもちろんのこと、竹芝地域の住民や来街者へ"環境再生や学習の場づくり"としての空間をつくりたいという想いがJR東日本にはあった。また、元々お台場と浅草を結ぶ水上バスが走っていた隅田川流域とつながる場所であり、JR浜松町駅や羽田空港に直結のモノレール駅に近接しているといった立地特性でもあった。陸と水上の交通結節点となる場所であることは明確であったため、舟運の実現できる新たな船着場の整備を行うことで、産業発展へも繋がる場所をJR東日本はつくりたかった。


水辺の専門家と意見交換をしながら、このJR東日本の2つの想いを具現化したのが当社である。『JR東日本の調査で、単にウォーターフロントの開発を行うだけでなく、地域や産業の活性化も見据えた開発が必要だということが明らかになってきました。JR東日本が目指す「水辺を賑わいのある空間として創出する」には、港湾分野のみならず、環境やまちづくりといった複合的な知識・知見を持つ、私たちにしかできない仕事でした。』と担当した渡辺は想いを語る。


しかし、プロジェクト実現は簡単ではなかった。干潟の整備と船着場の浮桟橋設置においては、海底下には東京湾特有の軟弱な粘土が厚く堆積しており、海底面下に下水道の排水管が埋設されているなど、設計や施工にあたっての技術的な制約・課題が多く存在した。このため、干潟の整備によって干潟そのものが沈下しにくいように、周辺の構造物に影響を与えないように構造を工夫するとともに、事前の予測解析によりその効果を確認するなど万全の設計を行った。さらに、工事においてもモニタリングなどにより安全性を確認しながら進める必要があった。これに加え、施設整備には複数の関係省庁や関係者との調整や許認手続きが必要であった。水辺開発が初めてであるJR東日本は知見が少なかったが、港湾のプロフェッショナルである当社の知見を活かしそれら課題を克服した。天野は「複数の関係者との調整もこのプロジェクトを進める中で重要なハードルでした。調査や設計だけでなく、関係各所との合意を円滑に進めるのも、私たちコンサルタントの役割。それが今回発揮できました。」と話す。


それ以外にも様々な工夫を凝らしている。干潟には生物の生息空間創出を目的に石積提と植栽を設置、また満潮時などの高水位時でも干潟での観察が可能となるよう、木道を設置した。船着場は水上バスなどの比較的大型の船舶だけでなく、小型船舶にも対応できるよう、浮桟橋の左右のデッキ高さを変更し、定期航路、不定期航路用の船着場となるよう、バリアフリー基準に適合する仕様とした。またイベント時のライトアップ、アウェアネスカラーのライトアップに対応できるよう、カラー照明についても設置した。その他に来街者が安全に利用できるように全体的に隙間、段差、突起などを設けないよう配慮した。


そしてウォーターズ竹芝は2020年に無事開業し、JR東日本が思い描いていた水辺空間が実現した。

干潟

地域の小さな遊び場が、この街の発展を担っていく

コロナ禍の開業にも関わらず、ウォーターズ竹芝には多くの来街者が訪れている。天野は「干潟がオープンする前からスコップやバケツを持って開業を今かいまかと待つ子どもの姿があったとJR東日本さんからは伺っています。環境学習ができる場として、開業前から皆さんに喜んでもらえているのは嬉しいですね。」と話す。船着場も水上バスなどが走り、羽田空港へのアクセス船の実証実験も行っている。


今回のプロジェクトは、ゼロベースから実際のモノをつくるといった大規模なプロジェクトであったが、計画・設計から空間づくりまでを総合的にできる技術やそれを可能にするコンサルタント力を持つ当社だからこそ実現できた。そして、このプロジェクトを振り返って渡辺はこう語る。「私たちが目指す"持続可能な社会づくり"。そのビジョンを共にするJR東日本さんとの協働はとてもやりがいがありました。こういった想いを共にする協働が広がることで、世界はきっとより良い方向に向かっていくはずです。」


当社は、今後も環境やその地域の特徴を大切にしながら、子どもから大人まで多くの人々に愛される賑わいのある空間をつくり続け、地域・産業の活性化に貢献する。


※竹芝干潟および竹芝地区船着場は、一般社団法人竹芝エリアマネジメントが「ウォーターズ竹芝」の前面の汐留川の占用許可を受け、JR東日本が干潟および船着場を整備したものです。

船着場

MEMBER

K.Watanabe 港湾・空港

コンサルタント(官公庁・国内)

S.Amano 港湾・空港

コンサルタント(官公庁・国内)

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