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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

ロジックモデル オーダーメイドの目標管理ツール

  • 研究開発

個人や地域が、自ら問題解決、目標実現する力を身に付けることは可能でしょうか?今月は、そのひとつの答えとしてロジックモデルを紹介します。

ロジックモデル

目標の実現・達成は難しい

Written by KAMINAGA Nozomi 神永希

いま、何か目標に向かって、取り組んでいることはありますか?

進学、資格、就職、昇格、独立、など人生を左右する大きな目標から、ダイエット、禁煙、語学、読書、貯金、一日一善、早寝早起き、年に一度は海外旅行、マナーを身に付ける、テレビゲームは○分まで、といった暮らしのなかのこと、また、地域を盛り上げたい、誰かを元気づけたい、草野球チームで地区大会で優勝したい、など皆で協力しなければできないことまで、思いをめぐらせれば、きっと何かあるのではないかと思います。

そして、そのゴールは近づいていますか?

そんなことわからないよ、と思われるかもしれません。

目標を実現・達成するために、何をすればよいのか、何からやればよいのか、こんなに頑張っているのになぜ結果が出ないんだ、ところでそもそも何のためにやっていたんだっけ、と目標のハードルが高くなればなるほど、分からないことだらけで挫折してしまいそうです。

簡単なケーススタディ

志望校をワンランク上げたい(A)、そのために、学校のテストの点数を上げる(B)、という目標を考えてみましょう。


国語、数学、英語の3教科、各100点満点で、1年後に合計50点上げる(C)、という目標を立てたとします。


まず、これまでの点数と勉強方法を振り返ってみます(D)


ここで、これら3教科で50点上げるために、現状の点数や伸びしろを考慮して、国語+25点、数学+10点、英語+15点、と配分を決めました。(E)

そして、勉強方法は、次のような計画としました。(F)

国語 ・毎日新聞を読む。
・分からない言葉は必ず調べて、自分オリジナルのノートを作る。
・古文・漢文の問題を毎日30分解く。
数学 ・確率統計の問題を毎日3問、理解できるまでやる。
・一度解いた問題は必ず見直しをする。
英語 ・長文問題を毎日3問解く。
・英語聞き流しの教材を購入して毎日15分聞く。

さて、計画を始めて1か月後、定期テストが行われ、結果が返ってきました。

結果は、国語48点(2点DOWN)、数学85点(5点UP)、英語67点(7点UP)。これを受けて、勉強計画を次のように変更しました。(G)

国語 ・今回点数には表れなかったが、新聞やオリジナルノートは
手応えを感じているので継続。
・古文・漢文は、もう少し簡単な問題集に変更する。
数学 ・確率統計は今回のテストでは出題範囲ではなかった。問題
集は継続。
・ケアレスミスが減っていない。これまでのミスの傾向を詳しく
分析してみる。
英語 ・少し点数が上がった。長文問題、リスニングとも継続。
その他 ・夜眠くて計画どおりにできないことがあった。テレビを観る
時間を1日1時間までにする。

上の例をロジックモデル風に解説してみる

目標を達成するための手段を論理的に体系立てたものは「ロジックモデル」と呼ばれます。


ロジックモデルは、ケロッグ財団(W.K. Kellogg Foundation)が1998年に発刊した評価ハンドブック(Evaluation Handbook)において、"Program Logic Model"として提唱されたツールで、その後、さまざまなプロジェクトやプログラムに適用されています。

その特徴を、上の例を用いて説明したいと思います。


①階層構造

ロジックモデルは、アウトカム(戦略目標)→アウトプット(中間目標)→インプット(手段)、と目標達成に必要な事項をブレークダウンした階層構造で示されます。 上の例では、(A)がアウトカム、(B)(E)がアウトプット、(F)がインプットとなります(図1)。

図1 【図1】

②ベースライン評価

現状を正しく分析・評価することは、目標達成には欠かせません。

上の例では(D)が該当します。実際には、これまでの点数をグラフで示したり、平均点と比較したり、分野ごとに得意・不得意を細かく分析したり、といったことも必要でしょう。


③目標の指標化

目標に対する手段を具体的に設定するために、また、取り組みが成果につながっているかを正しく評価するために、目標や手段はできるだけ数値で示す必要があります。

上の例では、(C)(E)(F)で○点、○分、○問といった数値が設定されています。


④モニタリングと階層構造・目標設定の見直し

上記③で設定した数値を定期的にチェックします。

(G)のように、すぐに結果に表れるものとそうでないものが分かってくると思います。数値目標や手段の変更、さらに階層構造そのものの見直しが必要になる場合もあると思います。

また、最上位の戦略目標はどうでしょうか。何のために志望校をワンランク上げたいのかを掘り下げて考えることで、さらに上のレベルの目標設定と広範囲をカバーする階層構造が必要になるかもしれません(図2)。

図2 【図2】

ロジックモデルは何にでも適用できる

今回のケーススタディでは、一人で取り組める単純な目標を用いましたが、実際にはもっと複雑で、中間目標や手段の組み合わせが何パターンも考えられるような目標、さまざまな立場の多くの人がそれぞれの役割を果たすことではじめて達成されるような目標、などへの適用が想定されます。例えば、人生設計、会社の経営、まちづくり・地域の活性化などです。


このようなケースでは、ロジックモデルを示すことによって、目標の共有化、一人ひとりの役割のみえる化が図られるという点も大きな魅力です。

さらに、ロジックモデルは、ベースライン評価結果に基づいて、それぞれの課題に対応した形で作成されます。あなただけの、その地域だけの、目標達成までの道筋を示してくれる、オーダーメイドのツールと言えます。


社会経済が成熟して、地域の個性(多様性)がより一層重視される時代に向かうなか、ロジックモデルのさらなる活用が期待されます。


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