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八千代エンジニヤリングが毎月お届けするちょっとイイ話

地下水は誰のモノ? 日本のブルーゴールド

  • 環境

みなさん、水道料金いくら払っていますか?我が家は4人で年間約3万円。我が国、日本では、蛇口をひねるだけで簡単に良質で飲用可能な水を得ることができますが、このうち、約20%は地下水で賄われています。今回は、そんな身近な地下水のトピックです。

 

地下水について考える

Written by yamamoto akira 山本晃

長年、土地所有者のものだった地下水が、今、変わろうとしています。


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いきなり、法律の話で恐縮ですが、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」というのが民法207条の条文です。地面だけでなく、空も地下も土地所有者のものだと読み取れますね。

さて、今から約120年前、明治29年3月27日、大審院(当時の最高裁判所)で、この条文を根拠に「地下水は土地にくっついているものだから、土地所有者が自由に使ってよし!」と判決されました。この法律は今でも有効で、地下水は「()(すい)(わたくしの水)」とされています。

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ところで、川の水が流れるように、地下水も地下をゆっくりと流れています。そんな地下水を「オラのもんだ!」と好き勝手に使って他人に迷惑をかけると、裁判所も「使ってよし!」とは言わなくなります。

昭和41年、松山地方裁判所宇和島支部は「地下水は共同資源だから利用には制約がある」とし、平成4年、仙台地方裁判所は「適切な質と量の地下水を確保する権利が侵害される場合、その侵害行為の差止めを請求してよい」と判決しました。要するに、裁判所は「地下水の権利は土地所有者にあるけれど、周りに迷惑にならない範囲にしなさい」と考えているようですね。

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そんな最中、「外国資本が日本の森林買収(図1)を行っている」というのがニュースになりました。森林資源を狙ってか?森林が育む良質な地下水を狙ってか?はたまた、外国人が土地の所有者になりたいだけでは?と言った議論がありましたが、これをきっかけに、平成26年7月、地下水に着目した理念や方向性を定める日本初の法律である「水循環基本法」が施行されました(写真1)。これにより、これまで私水であった地下水が、「公共(こうきょう)(すい)(おおやけの水)」に変わる可能性が出てきました。

図1.外国資本による森林買収面積の変化(林野庁公表データを集計)

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写真1. 水循環基本法可決の様子
出典:全日本自治団体労働組合(自治労)

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水循環基本法は、「水は国民共有の貴重な財産であり公共性の高いもの」とし、これまで縦割り行政で管理されてきた表流水(河川水)と地下水を、一元管理していこうとする法律です。しかしながら、理念法であるため、現在、内閣総理大臣を本部長とする「水循環政策本部」が、具体的な水循環基本計画を定めようとしています。

地下水が「公共水」になると何が一番変わるでしょう?それは公(具体には、都道府県や市町村等、地域の地下水を管理していくことになる自治体)が住民や企業の地下水利用を制限できるようになる一方、公が地下水を管理し責任を持つ必要が生じるようになるということです。

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河川水は古くから「(こう)(すい)」と位置づけられ、河川管理者(国や都道府県等)が管理する一方、その利用権を水利権と呼び、これを更新していくことで、その利用を厳しく制限しています。一方、河川による人的・物的災害を未然に防ぐため、河川管理者はダムや堤防の施設を整備したり、河川水の流量や水質をモニタリングし、その結果を公表したりするなど、その管理やこれに伴う災害に責任を持って取り組んでいます。

河川水は目で見ることができますが地下水はそれができません。私たち、建設コンサルタントは、公共水となる地下水を自治体や住民、企業と協働し、守り、育むと同時に、地下水を賢く活用し地域活性につなげる役目があると思います。また、世界的にますます貴重となるブルーゴールドとも呼ばれる日本の貴重な地下水資源を、自然科学および社会科学的側面から捉え(図2、図3、図4)、管理、保全そして適正な活用に関して支援や協力ができると思います。

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図2.長野県諏訪湖周辺の地下水の流れの見える化(平成26年度長野県水資源実態調査等業務委託で作成)

 

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図3.長野県松本市周辺の地下水の流れの見える化(平成26年度長野県水資源実態調査等業務委託で作成)

 

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図4.地下水の保全・涵養並びに適性利用に向けた枠組みの例
(安曇野市地下水保全対策指針策定コンサルタント業務委託で作成)
(安曇野市地下水資源強化・活用指針,平成24年8月に掲載)

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