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yecが誇る名人たち

1950年5月24日に建築基準法及び建築士法が同時施行されました。それまでの建築物については、1919年に施行された市街地建築物法により設計されていました。

建築基準法の施行により、各種詳細な規定が制定されました。また、建築物の設計者は法的に明確な資格がなかったのですが、士法の制定により資格が明確化され建築物の設計及び工事監理に関する質の向上が図られました。

ちなみに、一級建築士第一号は田中角栄氏と言われていますが、事実は異なるようです。建築士法施行当初は、ある一定の知識と技能を有することを認められれば国家試験を受験しないで一級建築士免許を与えられると規定されており、田中氏は当時既に議員でしたが専修学校卒で建設会社の社長であったため、一級建築士となることができたようです。

建築士制度の制定経緯ですが、地震国である日本にとって、人命及び財産を守ることが国家として極めて重要な課題のひとつであることから、建築構造技術者の育成が急務であったと言われています。その目的を達成させるために建築士制度が創設されたとも言われています。

 

表1 日本における濃尾地震以降の主な地震

名称 発生日 マグニチュード(Mw) 最大震度
濃尾地震 1891.10.28 8.0(Mj) 7
明治三陸地震 1896.06.15 8.5 4
喜界島地震 1911.06.15 8.1 6
大正関東地震 1923.09.01 7.9~8.0 6
昭和三陸地震 1933.03.03 8.4 5
昭和東南海地震 1944.12.07 8.1~8.2 6
昭和南海地震 1946.12.21 8.1~8.4 6
福井地震 1948.06.28 7.0 6
十勝沖地震 1952.03.04 8.2 6
新潟地震 1964.06.16 7.6 5
十勝沖地震 1968.05.16 8.3 5
宮城県沖地震 1978.06.12 7.5 5
北海道東方沖地震 1994.10.04 8.2(Mj) 6
兵庫県南部地震 1995.01.17 7.2 7
新潟中越沖地震 2007.07.16 6.8 7
東北地方太平洋沖地震 2011.03.11 9.0 7





建築士法の制定理由において国会での議事録には、「建築物の災害等に対する安全性を確保し、質の向上をはかることは、個人の生命財産の保護と社会公共の福祉の増進に重大な関係を有するものであります。そのためには専門の知識、技能を有する技術者が、その設計及び工事監理を行うことが必要であります」とあるように、建築士に求められる要素がこの議事録に集約されていると言っても過言ではありません。
しかしながら、残念なことに2005年11月に皆様もご存じの構造計算偽造問題(事件)が発覚し、A一級建築士が構造計算書を偽造し、震度5強程度の地震で倒壊する恐れのある耐力不足の建築物を多数設計していたことが判明してしまったのです。

これは、建築士法の主旨に大きく反する問題であることから、建築基準法及び建築士法の大改正を行って、本来の法律の持つ主旨をより厳格化させることになり、建築士は個人として禁固刑や罰金刑を受けることがより明確化されました。

また、2007年6月より、第三者が構造計算書をチェックする制度として「構造計算書適合性判定」が導入されました。ある程度高度な構造計算については、確認検査機関の審査に加え、第三者がその構造計算のチェックを行う制度です。その第三者としての資格者は、“構造計算適合性判定員”(現資格名:構造計算適合判定資格者)として国土交通大臣から認定を受けました。この判定員の具体的要件は国土交通省令で以下のように定められています。

① 大学、短期大学又は高等専門学校において、建築構造を担当する教授若しくは准教授
② 試験研究機関において、建築構造分野の試験研究の業務に従事し、高度の専門知識を有する者
③ 国土交通大臣がこれらの者と同等以上の知識と経験を有すると認める者

2007年の判定員初回試験においての合格者は全国で2300名程度であり、判定員は極めて貴重な存在でした。その中で弊社からは3名の判定員が認定されましたが、そのうち2名が既に定年退職され自分ひとりとなっていました。しかし、一昨年の試験において2名の合格者を出すことができ現在は3名体制となり、社内的には構造設計技術の進歩が加速しています。

皆様の人命や財産を守る建築士として、構造設計者として、建築部は一丸となってその社会的責任を肌で感じながら業務に携わっています。

私といたしましても若手技術者に対して、建築物の設計や工事監理に関する技術を完全に伝承していく事に努めて参ります。


木村 誠(2017年7月フェロー認定)|建築構造技術の伝承

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