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ダム

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はじめに

水力発電は、近年注目されている再生可能エネルギーのうちの1つですが、その歴史は古く我が国の電燈計画まで遡ります。
電燈計画の頃、火力発電と水力発電は競って建設され、火主水従や水主火従などと言われた時もありました。現在では、国内電力の3.2%程度のシェア(※1)にとどまっていますが、電力需要の変化に追随しやすい利点からピーク発電時の利用等貴重なベース電源となっています。
東日本大震災を契機に化石燃料を使用せずCO2排出量がほとんどない純国産のクリーンエネルギーである水力発電は再注目されており、再生可能エネルギー固定価格買取制度の普及も背景に、小水力発電やダム管理用発電建設事例が増えています。

(※1) 資源エネルギー庁 平成21年度エネルギー需給実績(確報) より

水力発電の呼び名と規模

水力発電の呼び名は色々あり、それらは出力(キロワット)で区別することが多いです。従来は以下の様に言われていましたが、2011年より始まった再生可能エネルギー固定価格買取制度より、概ね30,000kW未満を中小水力、1,000kW未満を小水力と呼ぶことが増えてきました。

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基本的な原理

水力発電の基本原理は高いところから水を落水させて、水車の羽根に水を当て水車と発電機を回すことです。とても簡単な原理であり、高校の物理で習う位置エネルギーをそのまま利用しています。

①理論出力
水の持つエネルギー(位置エネルギー) P=9.8×Q×He
ただし、P:理論出力(kW)
Q:使用水量(m3/s)
He:有効落差(m)(総落差-損失水頭(ロス))

②発電力
得られる電力(1時間あたりの実電力) Pe=P×η
ただし、Pe:発電力(kW)
η:水車・発電機の合成効率(%)

③発電電力量
ある時間(通常年単位)に得られる電力量(②の時間合計)
W=ΣPe
ただし、W:発電電力量(kWh)

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どんなところでも発電できる… わけではない

「小水力発電は落差があり、少しでも水があれば発電できるんですよね?!」という声を良く聞きますが、ある程度の水量は必要です。
下の図は、実際に販売されている水車の能力(実績)に基づき作成したものです(※2)。少なくとも0.01m3/s(一秒間に牛乳パック10本分)は必要ですし、経験上、事業として成立するには0.50m3/s程度は見込んでおいた方が無難です。

(※2)平成25年度にメーカーヒアリングにより作成したものであり、時々に応じて変更されるためこの資料は参考としてご覧ください。

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水車選定図

発電事業の計画

水力発電はコストで評価

水力発電事業をすすめる上で、事業全体に掛かる採算性は重要な評価指標の1つとなります。
事業の評価方法は色々ありますが、B/C(採算性)やB-C(総収支)で評価することが多いです。
B:電気の売電(又は使う場合は電力削減)費用がベネフィットとなります。
C:建設費の他、調査設計費や事業計画期間の維持管理や修繕費がコストとなります。
再生可能エネルギー固定価格買取制度により全量売電でも余剰売電でも20年間の契約を結ぶことができますので、20年間のB/C、B-Cで事業を評価します。

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環境価値も評価

水力発電によるCO2排出量の削減効果はとても大きいです。通常環境価値は、電力事業者による単位発電量当たりのCO2排出量(※3)と水力発電によるCO2排出量の比率で算定します。
それぞれのCO2排出量は以下のとおりです。水力発電は環境負荷の削減効果が極めて高いことが分かります。

電力事業者:0.0005~0.0006 t-CO2/kWh程度
水力発電 :0.000011 t-CO2/kWh程度

たとえば、ダム高50m(有効落差40mと想定)で河川維持放流0.50m3/sを発電に利用するダムの場合、
P=9.8×40.00×0.50=196(kW)
Pe=196×0.75=147(kW)※水車発電機の効率0.75を想定
W=147×24×365×0.955=1,223,000(kWh/年)※発電所の送電効率0.955を想定
となり、CO2削減量は、
T=1,223,000×(0.00055-0.000011)=538(t-CO2/年)
となります。
これは、原油で年間314kL(ドラム缶で約1,500本分)の削減効果に相当します。

(※3)電力事業者毎の排出係数は、環境省より公開されています。

電力の利用用途

電力の利活用目的の設定

水力発電の導入を検討する際に、「発電した電気をどうするか」という基本的なビジョンを明確にすることが重要です。売電、使用電力の節減、災害時等の電源確保、電気を利用した新たな地域振興の取り組み等色々ありますが、電力の利活用目的を明確にした上で、水力発電の規模等を設定することが重要になります。

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再生可能エネルギー固定価格買取制度の普及後は、全量売電する事例が多くなりましたが、ダム管理用発電などでは、管理所等で必要な電力を自己消費し、余剰電力を売電しています。
ダムでは通常3日間の停電にも対応可能な非常用電源設備が設置されていますが、東日本大震災等の未曾有の災害による長期間の停電においてもダム管理に支障が無いように、水力発電の有効利用の取り組みがすすめられています。
 

最近の新しい傾向

後付けダム管理用発電

従来、ダムで発電する場合は、ダムの貯水池に発電容量を計画的に設けておくことが一般的でした。河川法の規制緩和(水利権の登録制)ができたことで、ダムの貯水池に発電容量が無くても、利水従属や河川維持放流、洪水等の余水放流を活用して発電ができるようになりました。
ダム式発電においては、常時満水位を基準に発電運用を計画しており、貯水位が常時満水位以上となった場合に発電を停止することが多くありましたが、最近では上記のように発電計画の多様化も進み、また、水車の性能が向上したこともあり、貯水位の変動を考慮した発電計画へと変わりつつあります。

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ダム式発電の運用方法

水圧管路を長くした小水力発電

小水力発電では、主に水路式発電を計画することが多いですが、近年では、より新しい発想が出てきています。
これまで水路式発電では取水えん堤の高さから近い標高で導水路を建設し、水槽から落水させていました。しかし最近では、取水後すぐに水槽へ送水し、近傍道路へ水圧管路を埋設する方法が採られています。この場合、水槽と発電所の位置だけ確定させられれば、落差を比較的ラクに設定することが出来ます。

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水路式発電の配置計画

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