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機械設備・電気設備

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はじめに

背景

ゲート設備やポンプ設備等の機械設備は洪水等の水害から地域を守るため、昭和30年以降の高度経済成長期に急速に建設され、現在では多くの設備が建設から40年を越えるため、老朽化が懸念されます。
老朽化する設備の信頼性を確保しつつ維持管理費の縮減を図るために、効果的・効率的な維持管理手法の考案が求められています。

従来、ゲート設備やポンプ設備の機器・部品の整備・更新は、一定の経過年数を周期として行われてきました。
しかし、信頼性を確保するため全設備の整備・更新を一定の周期で行うには膨大な費用が必要となる上、設備による重要性や、機器による使用頻度、設置環境、劣化スピード等は異なるため、設備・機器毎に点検や診断の結果に応じた劣化状態を評価し、効率的・効果的な補修・整備・更新を行う必要があります。
この様に状態を監視しながら保全を行う手法を状態監視保全といい、機械設備の劣化状態を評価する診断手法の確立が重要になっています。

様々な機械設備診断手法

主にポンプ設備、ゲート設備における状態監視を行うための診断手法の例を以下より説明します。

傾向管理手法

機械設備の診断手法の代表に、工場設備の生産技術やメンテナンス技術などで多く取り入れられている傾向管理手法があります。
傾向管理手法とは、定期的な点検で得られる計測結果や状況を時系列で整理し、経年的な変化を管理することによって、設備・機器等の劣化状態、劣化傾向を把握する手法です。傾向管理手法を用いることにより、早期に補修・整備・更新すべき機器の選定や、故障発生時期の予測を行うことができます。
機械設備によっては、工場設備の様に長時間・頻繁に稼働しない等の設備も存在します。河川管理施設のゲート設備やポンプ設備のような長時間稼働しない設備に対して、傾向管理手法の適用は、有効性が不明であったが、近年では解析事例も発表されており、今後傾向管理手法の取り組みを広げ、多くの設備の計測データが蓄積・解析されることにより、故障発生時期の予測などについて、正確性が向上すると考えられます。  

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振動法

傾向管理手法の一つである振動法による機械設備診断は、大きく二つに分けられます。振動の大きさにより異常の有無を判断する方法と、計測した振動の振動波形、振幅、FFT(高速フーリエ変換)による周波数解析等の解析を行い、異常部位の特定とその異常度合を診断する方法です。
振動法は、ポンプ設備等の回転機械の診断に有効とされており、振動法による機械診断で羽根車の劣化や、軸の曲がり等を発見することが可能です。
ただし、振動法は機器の形式や設置状況により、傾向や波形が大きく異なるため、計測結果の診断には、高度な技術や知識が必要とされます。

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潤滑油分析

機械設備における潤滑油は、歯車等の駆動機構において、摩耗や摩擦を軽減するために用いられるものであり、少量を採取して分析することで、機器の劣化状態や異常を把握することができる。潤滑油分析にも次に示す様々な方法があります。

性状分析

潤滑油自体の劣化傾向、劣化状態を診断するのが性状分析です。性状分析では、潤滑油内の水分、全酸化、動粘度、色、界面張力、錆や摩耗粉量、酸化防止剤の量等を分析し、潤滑油の劣化状況、潤滑油寿命の推定を行うことが可能です。

SOAP法

潤滑油内に混入した摩耗粉を分析することで、歯車や軸受等の損傷の有無と損傷個所を特定します。設備から採取した試料油に熱を加え、ICP等により分光分析し、試料油内の金属成分の割合を算出するものです。例えば、鉄Feの摩耗粉の割合が通常より多い場合、鉄素材の部品に損傷があることを示しています。摩耗粉の割合を時系列に整理することで、傾向管理も可能です。

フェログラフィ法

フェログラフィ法とは、設備から採取した試料油から磁石により金属摩耗粉を捕捉分離し、顕微鏡で観察し、色や形状等により分析を行うものです。診断者の判断が重要となるため、診断技術・知識が必要となります。
また、照射した光の遮断率から定量的に大・小の粒子を求める定量フェログラフィ法があります。

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その他の診断手法

ゲート設備扉体の劣化状況の診断手法

ゲート設備の扉体が、ステンレス製やアルミ製でない普通鋼製の場合、発錆及び腐食、孔食の対策として、定期的に塗装が必要です。点検時に同アングルから扉体の撮影を行い、扉体の画像データを管理することで、劣化傾向及び劣化状態の把握が可能です。
また、超音波板厚計により扉体板厚を測定し傾向管理することで、扉体の板厚減少傾向が把握できます。

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工業用内視鏡による診断手法

機械設備の内部駆動機器がカバー等に覆われ、不可視部分が多く存在することがあります。
従来、機械設備の内部劣化状況を確認する際には、カバーの取外しなどの分解を伴う大がかり作業が必要であり、コストや時間が掛かっていました。本手法は工業用内視鏡を使用することで、分解せずに内部状況の確認を行う手法です。
画像により、機器や部品の状態を直接見ることができるため、異常や劣化状況の有無が容易に判断することができます。

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今後の機械設備診断手法

ゲート設備、ポンプ設備は運転頻度こそ少ないが、いざ機能を発揮する場合には確実な運転が必要となる設備であり、このような待機系機械設備には、定期的な点検と適切な設備診断を行うことが、信頼性を確保する上で重要です。
機械設備診断技術は民間の生産技術、メンテナンス技術を中心に日々進歩を続けています。前述の機械設備診断手法は、ポンプ設備やゲート設備に対する取り組みが始まったばかりであり、現在はその効果に関する検証が行われている段階です。
今後も新たな診断手法を取り入れると共に、継続して機械設備診断、点検を続けデータや知見の蓄積を行うことで機械設備診断の進歩及び、信頼性確保技術の高度化が望めると考えられます。
また、維持管理計画と連携し点検・診断後の整備・更新の計画を立てることにより、効果的・効率的な管理が可能と考えられます。
維持管理計画についての詳細は、別ページ「河川管理施設維持管理計画の策定」に示します。

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