小石原川ダムにおける管理効率化検討プロジェクト
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小石原川ダムにおける管理効率化検討プロジェクト
小石原川ダムは、筑後川水系の小石原川に建設中です。河川流量の調節を行って下流の洪水被害を軽減することや、水需要(農・工業用水、上水道用水)の増加に応えて水量を確保を目的としています。高さは約139m、長さ(堤頂長)は約550m、湛水面積は約1.2km²にも及びます。
ダムは、作られて以降、日々の点検・検査を長期的に行うことにより異常発生の兆候を察知します。堤体や監査廊等の土木構造物については、漏水・クラックの有無等を目視で確認するほか、浸透圧や水質等の計測を行います。建設当初の施設の状態や経年的な変化を把握し、予防的な措置を行うことも重要となり、点検・検査の記録を体系的な電子データとして継続的に保管する必要があります。そのため、ダムなどの大型構造物を適切に維持するためには、情報を使いやすい状態で一元的に管理することが求められます。
本プロジェクトは、巨大な小石原川ダムの試験湛水開始から運用開始後の維持管理の効率化を図ることを目的とし、維持管理CIMシステムを整備しました。またそれと同時に、小石原川ダムにおける様々なICT技術の活用可能性を検証しました。
小石原川ダム完成予想図
維持管理の効率化を図るため、ダム堤内の監査廊や堤体周辺および貯水池周辺の巡視・点検結果を記録するタブレットシステムを構築しました。タブレットが備える機能(デジタル入力、カメラ、GPS)を活用して、現場での記録作業の負担を軽減したほか、文字や写真の情報を位置情報と自動で関連付けて登録することを可能としました。
このタブレットシステムで記録された巡視・点検の情報は、クラウド環境に構築したCIMシステムに蓄積されます。CIMシステムは、施工時の品質管理情報が3次元モデルとともに格納されているほか、堤体観測設備の計測結果も保管されており、維持管理に係る情報を一元的に集約・管理します。ダム運用開始後の巡視・点検の記録は、ダム施設の3次元モデル上にその位置がプロットされ、直感的なインターフェースでの視認や操作が可能です。
また、監査廊における巡視・点検作業の効率化とさらなるICT活用に向けて、BLEビーコンで現在位置の情報を取得することや、施設の写真を自律制御飛行するUAVで撮影することの実地検証も寺内ダムの協力で実施しました。
ダム巡視の入力画面イメージ
3次元モデル上にプロットされた点検結果記録
プロジェクト詳細