Menu

大規模河川管理施設の調査、点検プロジェクト
実績

いつかくる洪水に備えて

大規模河川管理施設の調査、
点検プロジェクト

# 官公庁のお客様 # 国内 # 維持管理 # 調査・点検・補修 # 河川

目視では確認できない老朽化による危険を確認し、
補修設計やモニタリング計画を作成する

荒川下流部は、日本の政治、経済の中枢機関を有する首都東京を背後に抱える大都市河川です。この川には、水門や排水機場、樋門といった洪水からまちを守る施設が整備されており、昭和50~60年に整備された施設が多く、以下の2つの老朽化による影響が懸念されていました。
①コンクリート片の落下による第三者被害の懸念
荒川では河川利用者が多く、水門の近くで釣りをしたり、散策やランニングする方々が見られます。水門等のコンクリート構造物は、劣化現象によってコンクリート片が落下すれば河川利用者への被害が懸念されます。しかし、地上からの目視調査だけでは劣化状況を十分に確認することができませんでした。
②コンクリートの塩害の懸念
荒川下流部は感潮区間(東京湾の海水が入り込む区間)であるため、海水の影響によってコンクリートの塩害が懸念されていました。塩害が進行すると鉄筋が腐食し、コンクリートのひびわれや剥離、ひいては構造物としての安全性が確保できなくなります。しかし、コンクリートへの塩分の浸透は、目視調査だけでは十分に確認することができませんでした。

毎年、国土交通省の職員による目視点検によって、安全性は確保されてきましたが、しかしながら、目視点検だけでは十分に把握できず、詳細な調査が必要となってきていました。そこで、本プロジェクトでは河川管理施設に対する詳細な調査を実施して施設の健全度を評価し、補修設計やモニタリング計画を作成したものです。

  • 老朽化が懸念される水門の上屋

科学的な調査による把握と対策で
施設の寿命を延ばす

施設の健全度は以下の2つの手法によって確認していきました。

●水門上屋への赤外線調査
第三者被害が懸念される水門上屋のコンクリートの劣化状況の調査については赤外線調査を実施しました。赤外線調査を実施することで、コンクリートに発生している浮きや剥離等を把握することができます。
●堰柱の塩化物イオン調査
塩分が浸透しやすい堰柱に対しては塩化物イオン調査を実施し、コンクリートに浸透している塩化物イオン濃度を把握しました。塩化物イオン濃度を把握することで、いつまでに、どのような補修対策が必要か把握することができます。

補修が必要な箇所を把握することができ、どのような補修やモニタリングが必要なのかが明確となりました。調査の結果を踏まえ、施設の健全度評価を実施し、要対策となった変状や損傷については補修設計を実施しました。また、要監視となった変状や損傷については、河川巡視や構造物点検で活用できるモニタリング計画を作成しました。その中で早急に対応すべき変状については対策が実施され、計画的に実施すべき対策については、順次、耐震補強工事とあわせて実施されています。
対策の実施とあわせて日常の河川巡視や定期的な点検によって、今後も河川利用者の安全性や洪水時の安全性が維持されています。




※2019年9月時点での情報です。

  • 赤外線調査による調査

プロジェクト詳細

  • 業務名:H27荒川下流管内河川管理施設点検評価等検討業務
    発注者名:国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所