
海抜ゼロメートル地帯に位置する
主要都市を大規模水害から救う
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海抜ゼロメートル地帯に位置する
主要都市を大規模水害から救う
近年、記録的な大雨による浸水被害が頻発している中で、一刻も早く浸水被害を解消するための排水作業が重要となっています。国土交通省では全国に約350台(2019年4月時点)の排水ポンプ車を配備しており、大規模氾濫が発生した際には全国から派遣され、市街地の氾濫流を川へ戻すための排水作業が実施されています。令和元年東日本台風の際にも、全国に配備されている約200台が関東・東北・北陸に集結し、排水作業が実施されました。
排水ポンプ車には「移動することで、どこでも作業が可能」という利点がある一方、下記の課題も持ち合わせています。
【課題①】
排水ポンプ車の規格(車幅、ポンプの機能)により通行不可能な場所や排水作業に適してない場所があります。災害時には救助活動や堤防復旧活動のための複数の緊急車両が移動する中で、排水作業を継続的に実施できる場所が限定されてしまいます。
【課題②】
災害当日の浸水被害は洪水シミュレーション通りにはならず、不測の事態への対応も必要です。
例えば、愛知県を流れる庄内川下流部は、日本最大の海抜ゼロメートル地帯である濃尾平野に位置しており、ひとたび浸水すると自然に排水されず、長期にわたり浸水が継続することが想定されています。このため、一刻も早く浸水被害の解消が可能となるよう排水ポンプ車等の設置と実施が必要とされます。
排水ポンプ車による排水作業状況1(提供:国土交通省 中国地方整備局)
排水ポンプ車による排水作業状況2
庄内川水系洪水浸水想定区域図(浸水継続時間)
そこで、当社では不測の事態の中でも、迅速・円滑・確実に排水ポンプ車の配置場所を判断できるシステムを開発しました。
本システムでは、災害当日に決定される排水ポンプ車の派遣台数を打ち込むと、事前に整理した配置場所と洪水シミュレーションのデータをもとに、瞬時に配置場所を表示できます。当社が構築の際に考慮した点は以下の通りです。
①『迅速』かつ『円滑』な排水作業実施のために
排水ポンプ車は1時間でプール5杯分の排水作業が可能ですが、設営には1時間程度の時間を要します。撤去にも同等の時間がかかることを想定すると、災害時の緊急車両通行のための排水ポンプ車の移動には計2時間以上(プール10杯分)の時間を空費することとなります。このため、現地調査を行い排水ポンプ車の配置可能な場所を事前に整理し、システムにも反映しました。
②衛星画像を活用した『確実』な対応
本システムでは洪水シミュレーションのデータをもとに排水ポンプ車の配置場所を出力することとしていますが、災害当日の降雨状況や浸水範囲の違いにも対応する必要があります。このため、衛星画像判読による浸水範囲データ(JAXA提供)を取り込み、システムに格納されている排水ポンプ車の配置場所との比較ができる機能を付加しました。
現在、防災分野では、複数の技術分野にまたがる業務が増加しています。当社では、災害時の逃げ遅れゼロ、社会経済被害の最小化の実現に向けて良い成果を生み出せるよう、質の高い災害対策の開発・研究を行っています。
排水活動支援ツールの構成・役割
排水作業場所の分類状況
プロジェクト詳細