日野川水防災・湿地創出事業
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日野川水防災・湿地創出事業
日野川は、九頭竜川(本川)と足羽川(支川)と共に、福井市街地を囲むように流下していますが、過去には堤防の決壊により大きな被害が生じています。このため、河川整備計画に基づいて、流下能力を向上させるための河道掘削や堤防整備が進められています。一方、福井県では絶滅危惧種であるコウノトリ等が共生できる持続可能な地域づくりを目指していることから、平成28年11月より「治水と環境」の両立を目指した日野川水防災・湿地創出事業が着工されました。
このため、本業務では洪水を安全に流す掘削形状に加えて、コウノトリ等が生息・生育可能な湿地を創出可能な掘削形状(湿地の高さ、溝の大きさ、小堤の構造など)を立案する必要があり、学識経験者からの助言をいただきながら設計を行いました。
図1 コウノトリ等の生息・生育に配慮した湿地形状(片粕地区下流湿地)
写真1 片粕地区下流工事完成後の湿地状況
出典:福井河川国道事務所資料
写真2 片粕地区下流工事完成後の湿地状況
出典:福井河川国道事務所資料
湿地を創出するための掘削形状は、整備計画での低水路を拡幅する掘削形状ではなく、高水敷を切り下げて、コウノトリの餌場環境に適した水深や魚類等の生息が可能な深場等を確保できるように工夫しました。また、掘削後のイメージを共有化するため、掘削河道の模型を発注者と協働で製作し、湿地形状や完成後の整備イメージをその場で議論しながら、深場にアンジュレーションを加えるなどして、掘削形状を決定しました。
掘削工事完成後は、湿地にコウノトリの飛来が確認されているとともに、サギなどの鳥類も多く確認されており、良好な湿地環境を創出できています。
その後2019年度には、片粕地区の上流地区において、DXを推進していくために、グリーンレーザを用いた航空レーザ(ALB)測量で「3次元の河道掘削設計」を実施し、CIMモデルを活用することにより、設計イメージを見える化して設計の高度化・効率化を図っています。
※2021年9月時点の情報です。
図2 コウノトリ等の生息・生育に配慮した湿地形状(片粕地区上流湿地)
図3 CIMを活用した掘削形状のイメージ(片粕地区上流湿地)
写真3 片粕地区上流工事完成後の湿地状況
プロジェクト詳細