浸水被害を軽減する災害復旧助成事業への取り組み
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浸水被害を軽減する災害復旧助成事業への取り組み
新潟県の五十嵐川は、平成23年7月に発生した「新潟・福島豪雨」の浸水被害を受け、①河道改修、②遊水地整備、③笠堀ダム(既設)嵩上げの3本柱からなる災害復旧助成事業を実施しました。災害復旧助成事業は予算配分の期間が限られるため、計画初期段階から既設ダム(笠堀ダム)の嵩上げ工事をいかに短期に完了させるかという点が課題としてありました。
笠堀ダムは、信濃川水系五十嵐川右支川笠堀川に治水、発電および用水を目的に、昭和39年度に建設された重力式コンクリートダムです。昭和54年度にクレストゲートを1門から2門に増設しており、今回は2度目の再開発となります。
今回のダムの嵩上げでは、不足する洪水調節容量の2割の余裕を確保するため、既設天端幅を4mから6mに拡幅し、堤高を4m高くしています。
笠堀ダム嵩上げ基本形状
ダムの嵩上げするにあたっての堤体コンクリートの増し打ちは、新旧堤体を一体化するため、既設堤体コンクリートの一部を切削する必要がありますが、切削する幅が厚くなると施工性と工程に大きく影響してしまいます。笠堀ダムの嵩上げは、ダム下流面に中段の高さから増し打ちして天端を嵩上げるという堤体形状を採用して、工費・工期の短縮を図りました。基本形状は、二次元設計法で安全性を確認した上で、下流増し打ちの立上げ部が不連続な形状となることから、二次元断面を用いた有限要素法による解析を行い、形状による応力分布の問題がないことを確認しています。また、薄層増し打ちを踏まえて、温度応力解析により温度ひび割れ対策を検討し、完成形状に対してはレベル2地震動による耐震性能照査も実施しています。
施工の合理化を目的とした堤体形状の検討
不連続な堤体下流面形状における発生応力の確認
プロジェクト詳細