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湾曲部に設置された既設砂防堰堤の三次元流体解析を用いた前庭保護工の機能検討
実績

三次元解析による流況改善効果の検証

湾曲部に設置された
既設砂防堰堤の
三次元流体解析を用いた
前庭保護工の機能検討

# 官公庁のお客様 # 国内 # 国土保全 # 砂防

複雑な地形条件を有する砂防堰堤

一級河川常願寺川(富山県)の中流部に位置する鬼ヶ城砂防堰堤は、本堰堤、第1副堰堤、第2副堰堤と3つの堰堤が階段状に連なる大規模な砂防堰堤です。この堰堤は土砂災害を防ぐ重要な設備であり、その機能を確実に維持していく必要がありますが、竣工から65年以上が経過し老朽化が進行しています。 また、過去3度にわたり豪雨による被害を受けており、現状においても砂防堰堤下流の河道に局所的な洗堀が生じています。これは、既設の前庭保護工(※1:右図2枚目参照)の形状が現行基準を満足していないことに加え、堰堤が河川の湾曲部という複雑な地形に設置されていることにより、水の流れが十分に減勢されない状況で流下していることが要因と考えられました。
そのため、複雑な地形条件を有するこの堰堤の改築にあたっては、まず、落水・偏流・跳水(※2)などの流況を把握することが求められました。そこで、三次元流体解析(※3)を用いて流速や流向などを把握し現況の課題点を明らかにするとともに、改築計画を立案し、改築後の流況の改善状況について検討しました。



※1 前庭保護工:砂防堰堤の直下に設置されるコンクリート構造物群で、落水のエネルギーを弱めて下流の河床洗掘を防ぐとともに、河床洗掘よる堰堤の安定性低下を防ぐための施設。

※2 落水:段差などを通じて水が高いところから低いところへ落ちること。
偏流:水の流れが左右どちらか一方に偏って流れること。
跳水:早く流れる水が、急激に遅くなり水位が高くなる現象。

※3 三次元流体解析:三次元空間で液体や気体の動きをシミュレーションし、流れや温度、圧力の変化を可視化・予測する技術

  • 既設砂防堰堤の状況

  • 砂防堰堤の概要

三次元流体解析による
改築計画の流況評価

現況の解析結果より、堰堤で水の流れが十分に減勢(※4)されないまま、下流へ流下していることが確認されました。これは、水褥池(すいじょくち)(※5:上段図2枚目参照)の深さや長さが十分に確保されていないためと考えられました。これらを解消するため、第2副堰堤の下流に砂防堰堤を新設する(左図2枚目参照)改築計画を立案しました。改築計画で解析したところ、砂防堰堤を新設することで、第2副堰堤の下流に水褥池が形成され、水の流れが十分に減勢されていることが確認できました。
また、新設砂防堰堤は現行基準を満足した構造であり、十分に広い水通し幅を確保しているため、流況・流速の評価結果からも下流河道に安全に流下されていることを確認できました。
現行基準を満足していない複雑な地形条件を有する砂防堰堤において、三次元流体解析を用いて課題点を明らかにし、さらに改築計画の流況を評価することで、改築目的を満足する流況となっていることを確認することができました。

※4 減勢:跳水をわざと起こし、水の勢いを弱める現象

※5 水褥池:堰堤を越流して落下する水のエネルギーを弱め下流の河床の洗掘などを防ぐため、本堤と副堤の間に常時水が溜まるようにしたプールのこと


鬼ヶ城砂防堰堤
既設前庭保護工の三次元流体解析結果(流況の把握)



※2025年8月時点の情報です。

  • 現況の解析画像(鳥観図)

  • 改築後の解析画像(鳥観図)

プロジェクト詳細

    業務名 :令和2年度立山砂防事務所砂防堰堤補強対策検討業務
    発注者名:国土交通省北陸地方整備局立山砂防事務所