河口部の土砂移動特性を踏まえた
河道計画立案に活用する手引きの作成
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河口部の土砂移動特性を踏まえた
河道計画立案に活用する手引きの作成
河川が海に注ぐところの河口部は、河川下流域の堤防をつくる上で重要なところです。川の堤防の高さを決めるためには、洪水の川の水位を予測する必要がありますが、海につながる下流域の河道では海の水位すなわち潮位の影響を受けることから、海から受ける様々な影響を考慮して河口部の水位を決めなければなりません。
一方、砂浜に注いでいるような河口部は「河口砂州」と言って、河口を塞ぐように砂が堆積しているところが多いです。このような川では、洪水時に砂で出口を塞がれたことによって水位が上昇します。しかし、河口部を塞いでいる河口砂州は砂で構成されていますので、洪水とともに流されていき、それに伴って水位の上昇も抑えられてきます。
このように河口部の土砂が移動することによって、決めなければならない河口部の水位が変化することを踏まえて、河口部を含めた下流域の河道計画を決める必要があります。
今回の業務では、河口部の土砂移動の特性を踏まえた河道計画策定の方法論を示した「手引き」を作成しました。
新潟県荒川河口部 河口砂州が発達した様子(出典:国土地理院)
洪水により河口砂州の先端が流されている様子(出典:国土地理院)
河口部に発達する河口砂州地形を含めた地形条件は、洪水時などの治水・防災に関係するだけではありません。河口部の汽水域は生物の生息場として貴重な自然環境です。また河口部を航路として利用している場合もあります。このように、河口部の地形のあるべき姿は、防災・環境・利用の観点から考える必要があります。
一方、河口部地形の在り方を考える上で、例えば、河口砂州は洪水の阻害になりますが、波浪・津波の侵入を緩和する天然の防波堤の機能があるなど、相反する事象が存在します。そのような河口部の特性、課題に対応した「あるべき姿」を実現するために、様々な解析方法(例えば、平面二次元河口砂州フラッシュ解析モデル、平面二次元河口砂州形成解析モデル等)で調和のとれた河道計画を策定する方法を提案しました。さらに、その成果を「河口部の土砂移動特性等を踏まえた河道計画および河道維持管理計画検討の手引き(案)」として取りまとめました。
河口部地形の果たす効果と及ぼす影響
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