安心・安全な日常生活を取り戻すために
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安心・安全な日常生活を取り戻すために
平成30年7月5日~6日にかけて、梅雨前線が西日本に停滞、また南西の海上から暖かく湿った空気が流れ込んだため、広島市は継続的な豪雨となりました。広島市には初めて気象庁から”大雨特別警報“が発表され、広島市東部を中心に土石流やがけ崩れが多発した他、河川に架かる橋梁基礎の洗掘や橋梁の流失が発生しました。
当社は、広島市安芸区役所から災害調査依頼を受け、東中野地区の7渓流(清光寺川・清坊川・大谷川・ひよき川・正之坪川・一井木川・神原川)と二級河川瀬野川に架かる2橋梁(塚地橋・石神橋)について、2日間にわたり4班体制で現地調査を実施し、その後災害査定と被災箇所の測量調査および実施(詳細)設計を行いました。
渓流被災箇所の多くは土石流による自然護岸であり、ブロック積護岸による復旧計画・設計を行いました。橋台基礎が洗掘された石神橋は、洗掘箇所に水中施工が可能な流動化処理土による充填補修を実施しました。また、橋台1基・橋脚2基および上部工4径間が流失した塚地橋は、新設橋梁への架替えを行い令和3年9月に供用を開始し、被災前の生活に戻りつつあります。
被災後のひよき川
橋台基礎が洗掘された石神橋
流失した塚地橋
『平成30年7月豪雨』で流出した塚地橋(単純RC2主版桁6連)の上・下流にも橋梁はありましたが、流失したのは塚地橋だけであり、瀬野川流域に架かる橋梁の中で最も被害が大きかったのも塚地橋でした。上流からの流木・畳・土砂が塚地橋で引っ掛かり河川の流水をせき止めたため、塚地橋周辺の家屋も被災することになりました。
上・下流の橋梁は流失せず塚地橋だけが流失した要因は、径間長、河積阻害率および桁下余裕高にあると考えられます。これらの要因を解消するため、径間長は6径間から2径間へ、河積阻害率は7.8%から3.8%(現行基準では5%以下)へ改善しました。また、桁下余裕高は塚地橋の前後の道路や民家等との取り合い状況から橋梁縦断線形を大幅に上げることが困難だったため、計画高水流量に対する桁下余裕高は確保せずに、桁下高が計画高水位以上となるように計画しました。ただし、このようにするためには上部工の桁高を低く抑える必要があり、中間支点上の桁高は高く桁端部の桁高は低くした変断面を有するプレビーム桁を採用し2径間連続プレビーム合成桁橋の設計を行いました。
プレビーム桁は工場製作桁であるため、現場作業時間の短縮が図れると共に、下部工施工時と同時に主桁製作が可能となるため全体工期短縮が図れ、地元住民が願う早期復旧に寄与した橋梁架替え設計が出来ました。
※2021年9月時点の情報です。
完成した塚地橋(左岸側下流から望む)
流出前より少し縦断線形を高く対応
塚地橋の桁下状況
プロジェクト詳細