島民悲願の本土とつながる橋の実現
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島民悲願の本土とつながる橋の実現
2015年(平成27年)4月16日に開通した「備前♡日生大橋」。「ハート」マークは間違いではありません。架橋事業への熱い思いが込められ、一般公募によりこの名称に決定されました。橋の正式名称に「ハート」が付くのは国内初めてとのこと。「備前♡日生大橋」は、離島振興事業の一環である市道日生頭島線新設事業のうち、岡山県備前市(本土)と日生諸島鹿久居島を結ぶ海上765mの区間に架けられました。
この橋の完成により、先に完成した頭島大橋から本土が橋を介して陸続きとなり、それまで待ち時間含め連絡船で約70分の時間を必要としていた往復が、車で10分に短縮されました。天候にも左右されず本土まで往き来できるこの橋の完成は、昭和62 年から頭島全世帯が毎月500 円/戸を「架橋貯金」に役立てたいと積立を行ってきた、まさに島民悲願の実現となりました。
本橋は平成18年度の橋梁予備設計から詳細設計、その後5年間の施工期間を経て完成し「平成26年度PC工学会賞作品部門」に入賞しました。
主塔からのケーブルを張り渡しながら張出し架設
ランドマーク的な主塔。斜張橋のように高くないため圧迫感を感じない
架橋地は、瀬戸内海国立公園に位置し、橋梁形式の選定では、観光資源としてのランドマ-ク性に加え、遠近に連なる島々からなる多島美風景との調和の両立が求められました。橋梁形式は航路部のみにエクストラドーズド形式を採用してシンボル性を持たせるとともに、主塔の高さを島々とのバランスを意識してスカイライン以下に計画しました。また、主塔の形状は、頂部に向け細くなる形として空へ伸びるシンボリックなイメージを強調するとともに、上方に広げることで橋上の開放感を演出しました。最終的な橋梁形式の選定は、学識経験者を中心とした「日生大橋(仮称)景観・形式検討委員会」において審議・決定されました。
本橋は海上橋であり、「道路橋示方書Ⅲ編」に規定される塩害対策区分Sに該当するため、各部位に対し塩害対策を施し、耐久性構造を図りました。主桁および主塔コンクリ-トは、緻密化による耐久性向上を目指し、高強度コンクリ-トσck=50N/mm2を採用しました。鉄筋は鋼管矢板基礎の頂版を除く全てをエポキシ樹脂塗装鉄筋としました。斜材ケ-ブルは多重防錆タイプの工場製作ケ-ブル、桁内外ケーブルはエポキシ樹脂塗装ストランドを採用しました。
主塔を外側に向けて配置し解放感を演出