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水辺を開く橋「さくらみらい橋」
実績

横浜市庁舎と駅、民間ビルを結ぶ空間の創出

水辺を開く橋「さくらみらい橋」

# 官公庁のお客様 # 国内 # 交通基盤 # 構造橋梁 # ランドスケープデザイン # 橋梁

再開発に合わせた回遊性・利便性向上のための
デザイン性の高い人道橋の設置

横浜市のみなとみらい線馬車道駅の北側に位置する北仲通北地区では、再開発が進められています。横浜市では、2020年度の新市庁舎開庁と、JR桜木町駅の新南口改札設置に合わせて、駅周辺の混雑緩和、安全な歩行者ルートの確保、そして大岡川の水辺における回遊性・利便性向上のため、JR桜木町駅付近と北仲通周辺地区を結ぶ横断人道橋の設置が求められていました。
横浜市は、デザインコンペを実施。コンペの基本条件は、新市庁舎・周辺ビル上層階や弁天橋からの眺望にも配慮したデザインとすること、また接続条件は新市庁舎2階と地下鉄出入口、民間ビルとを接続させ、雨天時などの歩行者の快適性を確保するための屋根を設置するというものでした。
当社は、周辺の風景と水辺、そして新たに設置される人道橋とが一体となる魅力的な空間づくりをイメージし、「水辺を開く橋」というコンセプトのもと、Y字型の平面形状でカーブによる曲線美を意識した、シンプルで周囲の風景に溶け込むデザインを提案しました。
人道橋の名称は公募により、「桜の名所である大岡川に架かり、未来につながる前向きなイメージ」から「さくらみらい橋」と名付けられ、2020年6月に開通しました。

  • 北仲橋からの眺め。 景観に溶け込むシンプルなデザイン

  • 夜間は照明により昼間とは違う表情を見せる

水辺を開く橋

私たちは、デザインのみならず、構造や施工にも深く携わり、一貫してクオリティの高い人道橋を設計しました。その特徴は以下の通りです。

1.デザイン
学識者を交えた設計デザイン検討会への対応として、コンペ時から協働してきた社内外の専門技術者によるチーム体制を構築。景観に配慮した各種構造ディテールや色彩の検討、高欄・屋根・照明や舗装材など橋面工の設計への反映と具現化に努めました。昼夜、そしてさまざまな視点場から、それぞれ異なる表情を見せるデザイン性の高い人道橋となりました。

2.構造
本体構造は、逆台形箱桁の側面に曲線ブラケットを一定間隔で設置し、リズム感を演出したシンプルな桁橋形式です。上下部工を剛結したラーメン構造により、河川内に橋脚を設置しないという条件に対応した長支間化や、主動線・民間ビル接続先の変更に伴う平面線形の変更にも、柔軟に対応できました。また、渡河部では橋上の眺望を確保するため、中央に配置した柱から屋根を両開きに張り出す構造としています。3次元立体モデルによる固有値解析・動的解析で、耐震性や振動に対する安全性も確認した設計です。

3.施工
河川協議によりP2橋脚は左岸護岸内に構築する計画となり、首都高速道路の地下ボックスカルバートに近接する現場条件でした。施工ヤードとなる築島土留め工の鋼管矢板打設では、工程遅延リスクを排除するため、河床付近の障害物も削孔可能な「ジャイロプレス工法」を、河床以深まで掘削する締切工では、確実な止水性を有する「ケコムケーシング工法」を適用。首都高近接協議では、施工手順ごとにFEM解析で変位量を算定し、安全性を確認しました。狭隘な作業ヤードでの上部工架設は、沿道部をトラッククレーンベント工法、渡河部を送り出し架設工法で計画しました。


※2020年9月時点の情報です。



【表彰】
●土木学会デザイン賞2021「奨励賞」
●横浜市 人 まち デザイン賞2022

  • 曲線美を意識したカーブが美しい

  • 夜間に行われた渡河部の送り出し架設の様子

プロジェクト詳細

    業務名  :平成29年度(仮称)大岡川横断人道橋新設設計業務委託(その3)ほか
    発注者名 :横浜市 道路局 建設課
    設計協力者:【全体意匠】(株)イー・エー・ユー
          【屋根意匠】Kuaa.
          【屋根構造】(株)KAP