「水辺を開く橋」市庁舎と新改札口
民間ビルを結ぶ空間の創出
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「水辺を開く橋」市庁舎と新改札口
民間ビルを結ぶ空間の創出
横浜、みなとみらい線馬車道駅の北側に位置する北中通北地区は、現在民間開発が進められています。横浜市では、2020年度の新市庁舎の開庁とJR桜木町駅の新南口改札が新たに設置されるのに合わせ、駅周辺の混雑を緩和させ安全な歩行者ルートの確保、大岡川の水辺の回遊性・利便性向上のために、JR桜木町駅付近と北仲通周辺地区を結ぶ横断人道橋を設置する必要がありました。
そこで、横浜市はデザインコンペを実施。コンペ時の基本条件は、新市庁舎・周辺ビル上層階や弁天橋からの眺望にも配慮したデザイン、接続条件は新市庁舎2Fと地下鉄出入口、民間ビルとを接続させ、雨天等の歩行者快適性を確保するための屋根を設置するというものでした。
そこで私たちは、周辺の風景と水辺、新たに設置される人道橋とが一体となる魅力ある空間創りをイメージし、「水辺を開く橋」というコンセプトのもと、Yの字型の平面形状でカーブによる曲線美を意識した、シンプルで周りの風景に溶け込むデザインを目指しました。
人道橋の名前は公募により「桜(さくら)の名所である大岡川に架かり、未来(みらい)につながる前向きなイメージ」から『さくらみらい橋』と名付けられ、令和2年(2020年)6月25日に開通しました。
北仲橋からの眺め。 景観に溶け込むシンプルなデザイン
夜間は照明により昼間とは違う表情を見せる
私たちは、デザインのみならず、構造や施工にも携わり、一貫したクオリティの高い人道橋を設計しました。特徴は以下の通りです。
①デザイン
学識者をまじえた設計デザイン検討会対応として、コンペ時から協働の社内外専門技術者によるチーム体制を構築し、景観に配慮した各種構造ディテールや色彩検討、高欄・屋根・照明や舗装材等橋面工の設計への反映と具現化に努めました。昼・夜で、また様々な視点場によってもそれぞれ異なる表情を見せる、デザイン性の高い人道橋となりました。
②構造
本体構造はシンプルに逆台形箱桁の側面に曲線ブラケットを一定間隔で設置し、リズム感を演出した桁橋形式としました。上下部工を剛結したラーメン構造により、河川内に橋脚を設置しない条件に対応した長支間化、主動線・民間ビル接続先の変更による平面線形の変更にも柔軟に対応できました。また、渡河部は橋上の眺望を確保するため、中央に配置した柱から屋根を両開きに張り出しています。3次元立体モデルによる固有値解析・動的解析により、耐震性や振動に対する安全性を確認した設計を行いました
③施工
河川協議によりP2橋脚は左岸護岸内に構築する計画となり、首都高地下ボックスが近接する現場条件でありました。施工ヤード築島土留め工の鋼管矢板打設は、工程遅延リスク排除に、河床付近の障害物も削孔可能な「ジャイロプレス工法」を、河床以深まで構造物掘削するための締切工には確実な止水性を有する「ケコムケーシング工法」を適用しました。首都高近接協議は施工手順毎にFEM解析で変位量を算定して安全性を確認しました。狭隘なヤードでの上部工架設は、沿道部はトラッククレーンベント工法、渡河部は送り出し架設工法にて計画しました。
※2020年9月時点の情報です。
曲線美を意識したカーブが美しい
夜間に行われた渡河部の送り出し架設の様子
プロジェクト詳細