山陰道の高速道路ネットワークのミッシングリンクの解消へ
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山陰道の高速道路ネットワークのミッシングリンクの解消へ
赤ノ谷橋がある長門・俵山道路は、山口県長門市俵山小原から長門市深川湯本を結ぶ延長5.5kmの自動車専用道路で2019年9月8日に開通しました。開通するまでは、主要地方道下関長門線が地域住民の主要道路でしたが、急峻な山岳部の大寧寺峠を通過するため道路線形が悪いことによる交通事故や土砂災害・異常気象による通行止めが多発していました。長門・俵山道路が開通したことにより地域住民の安全・円滑な移動が可能となったほか、山陰道・高速道路ネットワークのミッシングリンクの解消に大きく前進しました。
赤ノ谷橋は大寧寺峠付近に位置する急峻なV字谷に架かることを踏まえ、
【1】 架橋位置の地形状況に配慮した橋梁計画
【2】 急峻な地形に適合した施工計画
【3】 構造特徴を踏まえた維持管理計画に着眼した創意・工夫が要求されました。
【1】は急峻な地形のため、いかに下部工および基礎工の規模を縮小させ、施工時の構造物掘削による地形改変を抑制し、橋梁全体でのコスト縮減を行うかが課題でした。
【2】橋梁の両側にはトンネルがあり、A1橋台側にはトンネル施工のための工事用進入路が計画されていましたが、A2橋台側には工事用進入路の計画はなく、急峻な地形の中でA2橋台までの進入方法が重要な課題でした。
【3】の維持管理計画は、供用後の日常点検、緊急点検時の点検箇所、点検方法を想定して必要となる検査路・検査孔を計画しました。
赤ノ谷橋全景
急峻な山岳部の中にある赤ノ谷橋
桁下から望むの赤ノ谷橋
【地形状況に配慮した橋梁計画】
柱断面寸法だけでなく、基礎平面寸法にも影響するラーメン橋の主桁形状に対して広幅員断面であること、架橋位置が急峻なV字谷にあることを踏まえ、一般的な直ウェブ構造に対して斜ウェブ構造を採用しました。斜ウェブ構造の採用により、主桁自重削減による上部工費削減と、これに伴い柱部材と基礎規模の縮小が図れ、橋梁全体でのコスト縮減と地形改変抑制を可能としました。また、橋脚材料に高強度材料を採用し、更に柱断面を抑制することにより、柱状体深礎径が縮小でき、コスト削減と冬期の凍結防止剤散布環境下における耐久性向上を図りました。
【急峻地形に適合した施工計画】
A2橋台への進入は、工事用進入路が計画されているA1橋台から仮桟橋を設置する計画がありましたが、仮桟橋設置費に膨大な費用を要し、急峻なV字谷地形のためA2橋台への進入方法を変更した計画でも、同様に仮桟橋は必要な上に地形改変も伴う結果でした。このため、本橋のPC連続ラーメン構造であることを活かし、上部工張出し架設状態の橋面を利用したA2橋台の施工計画を立案しました。上部工張出し状態の先端付近での橋台施工となるため、想定される作業工程をモデル化・使用重機の荷重を設計計算へ反映し、上部工架設中の安全性について照査を実施しました。仮桟橋をなくした進入路計画によりコスト縮減と工期短縮を図ることが出来ました。
※2021年9月時点の情報です。
斜ウェブ構造の箱桁形状
斜ウェブ構造採用による柱部材のスリム化
工事用進入路がなく橋面上から施工したA2橋台
プロジェクト詳細