南の楽園で水の未来を守る
Menu
南の楽園で水の未来を守る
美しい南の島、パラオでは、上下水道分野が国家インフラ投資計画の優先分野とされています。しかし、第二次世界大戦中に敷設された水道システムが現在でも利用され、管路の老朽化を原因とする漏水や水道メータの誤差が影響し、高い無収水(※1)率が問題となっています。そのため、水道事業を担うパラオ公共事業公社(PPUC)の原価回収率は約58.8%(2022年)となり、PPUCは上下水道部門の収入の多くを政府助成金に依存せざるを得ず、水道事業の収益の確保が課題です。
また、2016年の大規模な干ばつ時には、水不足による長期の計画断水が実施され、衛生状態の悪化や観光業への悪影響が懸念されました。
日本政府は2015年から2018年にかけて無償資金協力事業を実施し、老朽化した管路の改善を支援しましたが、更新は一部にとどまり、無収水率の削減や水道事業収益の抜本的な改善には至りませんでした。
本プロジェクトは、パラオの水道事業の効率性向上と持続可能な運営に寄与すべく、管路更新基本計画の策定、漏水探知、管路修理、顧客管理の改善などを通じて、PPUCによる無収水削減に向けた総合的な対策の促進と人材育成を目的として実施されました。
※1無収水:供給した水のうち、水道メータの誤差や漏水によって水道料金の請求につながらなかった水のことを指す。
顧客水道メーター精度確認テストの様子
本プロジェクトでは無収水の実態を全職員が理解でき、かつ問題点に気づきやすくする体制を構築するため、データや情報の「見える化」に注力しました。日々の送水量や各配水池からの配水量を共有サーバーに移行し、PPUC事務所のモニターに常に表示することで、職員の意識を高めました。BIツール(※2)を活用し、使用水量や配水量のデータをグラフ化して職員への指導も行いました。これらの取り組みにより、データの利活用が進み、無収水率の改善が確認されました。
管路情報や配水量、無収水率の可視化を進めた結果、正確な無収水率の算定が可能になり、漏水調査の効率化につながりました。また、この調査を通じて、漏水の問題だけでなく、水道メータが設置されておらず、予想される使用水量が適切に計測されていない実態が判明しました。さらに、水道メータの誤差の計測方法を見直したことで、請求水量が増加しました。
また、2015年から2018年にかけて実施された無償資金協力事業で更新された管路のうち、PPUCが対応した管路の一部に、新管から旧管への逆流が確認されました。これを踏まえ、適切な切り替えができるよう活動方針を管路更新計画にまとめました。加えて、水道メータ誤差を確認するための測定方法を明記した水道メータの品質管理計画を作成しました。
これにより、今後PPCUによって同国の無収水率が改善され、事業収益が向上することが期待されます。
※2BIツール:企業が持つさまざまなデータを集約・分析・可視化し、経営戦略や業務改善に役立てるためのソフトウェア
活動進捗会議の様子
管路システム研修の様子
プロジェクト詳細