6市町の電車・バス等の今後の取り組みを示すマスタープラン
Menu
6市町の電車・バス等の今後の取り組みを示すマスタープラン
福井の自動車保有率の高さは全国でもトップクラスで、嶺南地域の市町に住む人の大半は、日々の買い物・通院・通勤など、クルマ中心のライフスタイルとなっています。観光等の来訪客も公共交通を使うイメージがなく、電車・バスで巡るような人は少数派です。当地域にはJR小浜線、路線バス、各市町のコミュニティバスや予約制のデマンドタクシー等が運行していますが、クルマ志向の高さと人口減少があいまって利用客数が低迷しており、いずれも厳しい運営状況にあります。一方、少子・高齢化が進んでおり、クルマを運転しない高齢者・学生等、誰もが使える公共交通の役割は、今後ますます重要になるものと考えられます。また、各市町においては拠点を活かす都市構造を目指すとともに、2024年の北陸新幹線・敦賀開業を機に、集客等の効果を地域全体に波及させるビジョンがあり、これらのまちづくりの中で、地域の公共交通は中心的な役割を担うこととなります。
キャラのラッピング電車
高校生の通学風景
JR小浜線沿線
このような現状から、地域の公共交通を将来にわたり持続し、まちづくりに貢献するよう見直していく必要があります。これまで、各市町や各公共交通機関がそれぞれ取り組みを行ってきましたが、将来に向け、市民・町民、利用客、運行事業者、行政等が連携しながら取り組みを進められるよう、公共交通全体が目指す姿や取り組みの方向性・考え方等を示す計画をつくることとなりました。当社は、協議会事務局とともに、この計画の策定支援を行いました。
計画書の画像
大切なことは、地域の現状を知ることです。ひとの行動や交通手段の選択等は、個人の意識、世帯の事情、地域の慣習等によって様々であり、人と接し見たり聞いたりしてわかることも多くあります。このプロジェクトでは、資料による情報収集のほか、現地視察・取材、市民町民・高校生や全バス会社の乗客へのアンケート、市町との意見交換、観光地・病院・スーパーでの聞き取り、電車に乗り込んでの乗降客調査等を通して、6市町からなる広い地域の現状を把握することに力点をおきました。
スーパーのお客様への聞き取り調査の様子
電車に乗り込んで、調査している風景
調査によって、日常的に各市町内・市町間・関西方面等の移動があり、鉄道・バス等に対する多様な要望があること、観光で不便・不案内な面があること、一方で、人々のクルマ志向が極めて高く、利用客減や乗務員不足でバス等が厳しい運営状況にあること等が明らかになりました。
これらを踏まえた検討の結果、「日常の移動手段としての公共交通の利便性向上」「観光周遊に利用できる公共交通の確保」「公共交通を中心としたまちづくりやライフスタイルの定着」という3つの方針を計画に掲げ、鉄道・バス等の運行方法の検討・調整等だけでなく、運休時の対応、駅の案内等の充実、アプリやITを活用した新たなサービス、周遊バス・イベント列車や企画きっぷ、意識を変容するモビリティ・マネジメント施策など、多岐にわたるメニューに今後取り組むものとしました。
この計画は、法定会議において公式な計画として承認されました。
※2021年9月時点の情報です。
美浜駅
若狭本郷駅
左から敦賀市のコミバス、小浜市の流星号、西日本JRバス若江線
プロジェクト詳細