Menu

予想外の連続!異例の山岳部通過ルートを採用
実績

山岳部を掘進する流域下水道

予想外の連続!
異例の山岳部通過ルートを採用

# 官公庁のお客様 # 国内 # 都市・地域 # 上下水道

山岳部を通過する下水道

沼隈幹線(沼隈町~福山市)は、芦田川流域下水道に流入する下水道管渠であり、平成9年度より工事着手しました。本工区は広島県でも観光地として有名な鞆の浦に近接した地区となります。
本設計区間の沼隈幹線(6工区)は、沼隈町能登原~福山市鞆町後地の約3.4kmにおよぶ汚水管渠であり、下水道管きょとしては異例な山岳部を通過する区間であることから山岳トンネル工法の一種である、TBM工法(トンネルボーリングマシン)を採用することとなりました。
通常、下水道事業は都市部を対象に実施することから沖積層をシールド工法で掘進することが多く、山岳部を通過することは極めて異例です。本業務では鞆の浦付近の海岸ルートは道路が狭隘で施工が困難と判断し、山岳部を通過するルートを採用しました。

  • 鞆の浦付近の市街地(写真提供:広島県)

  • 沼隅半島とトンネルの計画線

  • 計画ルート

小断面トンネルで多数の断層を掘進

掘進対象区間における岩盤分布域は、前半の火山岩、後半の堆積岩に大別されます。起点から800m付近までは流紋岩、800m~2,500m付近までは石英安山岩、2,500m~3,200m付近までは砂岩・頁岩、3,200m付近~終点までは風化花崗岩となっています。岩盤強度は概ねqu=1,000~1,200kgf/cm2(最大1,235 kgf/cm2)で、弱層部においてはqu=300kgf/cm2程度でした。また、地質的な弱線である断層はトンネル区間で8ヶ所想定され、そのうち6ヶ所が到達付近の1,000m区間に集中していました。
施工では坑口から400m地点で水脈に遭遇し予想を超える出水により掘進を停止するという事態が発生しました。当初予定では坑口より2,500m区間は順調な掘進を予想していたため予想外の出来事であり、山岳トンネルの難しさを実感することとなりました。
後半に集中する断層に対しては前方探査と水平ボーリングにより断層位置を正確に把握することで、断層内の水抜きと機内からの地盤改良が可能となり、断層内でマシンが停止する事態を回避しながら無事竣工することが出来ました。



※2020年1月時点での情報です。

  • TBMを立坑内に設置

  • TBMの後方台車

プロジェクト詳細

    業務名 :沼隈幹線(6工区)詳細設計委託
    発注者名:広島県福山土木建築事務所